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明日の株式相場に向けて=甦る個別物色の喧騒、大相場の気配を追う

市況
2025年6月10日 17時30分

きょう(10日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比122円高の3万8211円と続伸。3万8000円大台近辺は累積売買代金が突出しており、それだけに戻り売り圧力も意識されやすい、というのが定説。きょうもザラ場3万8000円台半ばまで水準を切り上げたが、伸び切れなかった。メジャーSQ算出日に向けての先物を絡めた仕掛けは今のところ上にも下にも音沙汰無しだ。市場では「日経平均3万9000円はおろか4万円のコールに厚みが加わっているのは少々驚きで、ワンチャン踏み上げを期待した向きが多いようだ」(ネット証券マーケットアナリスト)という声が聞かれる。

前日の欧州株市場では、米国からのキャピタルフライトで今世界最強の株式市場と化しているドイツの主要株価指数DAXが続落した。ここにきて上げ一服という印象も受ける。また、米国株市場でもナスダック総合株価指数こそ強調展開を維持したが、NYダウはわずかながら安く引けるなど様子見ムードが拭えなかった。しかし、東京市場は朝方に日経平均が高く始まった後、前場中盤から上げ足を強める展開に。米国からの資金シフトの波が、遅ればせながら日本にも寄せてきているのかと思わせるような値運び。先物にAIアルゴリズム売買が作動する気配もあった。しかし、結局期待は空回りで後場終盤には我慢していた向きの手仕舞い売りが噴出し上げ幅を縮小した。

だが、個別株の物色意欲は活発だ。東証グロース株市場の大復権が個人投資家の株心に火をつけたというべきなのか「森より木を見る相場」がスペクタルな進行をみせている。ネット証券大手の店内情報では、信用買い残は3月末の3400億円から4月初旬の暴落で2700億円まで急減したが、その後は再び増勢に転じ、直近で3000億円前後まで戻したという。しかし、これは減らした分の半分弱を回復したに過ぎない。4月の投げ売り相場の残像が残っていて、今の相場に乗れていない個人投資家が多いことを窺わせる。一方で、信用評価損益率はマイナス4%と極めて良好な需給を示唆している。個人投資家の買い余力の大きさに加え、需給改善効果の象徴となっているのが今のグロース市場だ。もちろん、だからといってグロース市場に凝り固まった銘柄選択をするのは本末転倒ともいえ、プライム・スタンダードを問わず、テーマ物色の波にのる値動きの軽い銘柄を探していく。そこには先物主導のインデックス相場より遥かに魅力ある風景が広がっている。

大真空<6962>は水晶デバイス専業大手メーカーで海外売上高比率が9割近くあるが、民生用水晶振動子で世界屈指の高い競争力が自慢。スマートフォン向けではエッジAIの普及に伴い同社の差動出力発振器へのニーズが高まっている。26年3月期は業績も急速に回復に向かう見通しで、PBRは0.4倍台と解散価値の半値以下に株価が放置されている。5%を超える高配当利回りも見逃せない。一目均衡の雲抜けから大勢トレンド変化の機が熟している。

また、4月上旬を底値に一貫した下値切り上げ波動を形成しているクロス・マーケティンググループ<3675>にも目を配りたい。ネット調査を祖業とした会社だが、デジタルトランスフォーメーション(DX)活用による付加価値の高い事業への業態チェンジによって業績を大きく開花させた。25年6月期営業利益は前期比63%増の30億円を予想し、これは3期ぶりに過去最高更新となる。PERも割安感が強い。また、同じくWeb系銘柄で抜群の収益変化を見せているのが、不動産関連サイトを運営する楽待<6037>だ。25年7月期は営業4割増益でピーク利益更新を見込む。今週13日に第3四半期(24年8月~25年4月)決算を発表予定で内容を見極めたいが、基本的に上値指向は変わらないだろう。

このほか業績好調ぶりが際立ち、株価も右肩上がりの銘柄ではIBJ<6071>とジェイエイシーリクルートメント<2124>などが挙げられる。IBJは婚活サービスを展開するが、25年12月期は営業利益が前期比21%増の31億2400万円を見込み、連続過去最高更新。今後もM&A戦略などを駆使して業容拡大に努めていく構えだ。他方、近年飛躍的な収益拡大を続けているのが、語学力に長じるグローバル人材や幹部級などのハイクラス人材の高額案件に特化した人材紹介企業、ジェイエイシーリクルートメントだ。ハイクラス人材へのニーズは旺盛で、同社はその橋渡し役として確かな実績を積み上げている。株価は株式分割の影響で1000円未満の3ケタ株だが、実質上場来高値街道をまい進し、青空圏で戻り売りからも解放されている。

あすのスケジュールでは、5月の企業物価指数が朝方取引開始前に日銀から開示される。このほか、6月の月例経済報告の発表も行われる。海外では5月の米消費者物価指数(CPI)にマーケットの関心が高い。また、5月の米財政収支も合わせて注目される。なお、米国では10年国債の入札も予定されている。国内企業の決算発表ではANYCOLOR<5032>の4月期本決算、GENDA<9166>の26年1月期第1四半期(2~4月)決算に耳目が集まる。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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