【村瀬智一が斬る！深層マーケット】冷静に「高市」銘柄の押し目を狙う

「冷静に『高市』銘柄の押し目を狙う」

●「高市トレード」により最高値を更新

今週の東京株式市場では熱を帯びる「高市トレード」を背景に、 半導体や人工知能（AI）関連株への物色が勢いを増し、日経平均株価は10月9日に4万8500円台に乗せ史上最高値を更新した。週間では2300円余り上昇し、4万9000円、5万円の大台といった節目が意識されてきている。

週末10日は3連休を控えて、前日の米国株安、さらには午後に予定される自民党の高市早苗総裁と公明党の斉藤鉄夫代表との会談の行方が警戒されて、持ち高調整の動きに向かわせたようだ。そのため、週初に買われていた、高市氏が公約に掲げるテーマに関連した銘柄などにも利益確定の売りが目立った。

なお、公明党の斉藤代表は10日、自民党との連立政権からの離脱を表明したが、臨時国会で行われる首相指名選挙では、依然として史上初の女性首相が誕生する公算が大きいだろう。高市関連のテーマ株には、改めて資金流入が強まる可能性がありそうだ。高市氏が公約で掲げた「防衛」「防災」「エネルギー」「 ロボット」「半導体」「量子コンピューター」「AI」「バイオ」「セキュリティ」「医療DX（デジタルトランスフォーメーション）」「次世代原発」「ペロブスカイト太陽電池」などのテーマに関連する銘柄は、冷静に押し目を狙いたい。

また、米国市場では政府機関の一部閉鎖の長期化が重荷となる可能性があり、相対的に日本株の底堅さが意識されてくるようだと、海外ファンドなどによる日本株への資金シフトにつながる展開もあり得よう。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆ソシオネクスト <6526> [東証Ｐ]

SoC（システム・オン・チップ）と呼ばれる半導体の設計・開発から販売までを手掛けるファブレスメーカー。顧客の用途に合わせてSoCを設計・開発する「カスタムSoC」が主力。9月11日、同社はベルギーの半導体研究機関imec（アイメック）との共同研究契約の更新を発表。3D先端実装技術に関する活動を拡張し、自動車分野を含めたチップレット実証設計の研究活動を強化する。株価は足もとで2600～3000円処で高値保ち合いを継続。13週移動平均線近辺での底堅さがみられており、同線を支持線とした保ち合い上限の突破に期待したい。

◆ＢＩＰＲＯＧＹ <8056> [東証Ｐ]

大日本印刷系の情報システム大手。企業に眠るデータの力を引き出すデータ＋AI活用支援ソリューションの「Rinza」や、画像解析AIによる物流倉庫の可視化・データ化ソリューション、販売実績や気象情報などのデータを活用してAIで需要を予測し、店舗での日々の商品発注数を自動算出するサービスなどを手掛ける。株価は直近の急落で13週線を割り込んだが、強弱の節目の26週線水準まで調整してきたことで、ここからはリバウンド狙いのスタンスで臨みたい。

◆ＴＨＫ <6481> [東証Ｐ]

LMガイド（直線運動案内）で世界トップシェア。同社は9月10日、複雑な形状をした対象物の吸着に適した、自動車部品業界向けロボット「次世代マルチ吸着ハンド」の受注を開始すると発表。複雑な形状の多様な部品を生産ラインに流すうえで、ロボットハンド取り替えなどのタイムロスが課題だったが、同製品ではハンド交換が不要となり、生産性の向上につながる。株価は足もとで急伸し、およそ2カ月ぶりに年初来高値を更新。いったんは8月高値とのダブルトップが意識される可能性もあるが、下値支持の13週線水準での押し目を狙いたい。

◆ナブテスコ <6268> [東証Ｐ]

産業用ロボットの精密減速機で世界シェア6割を誇る。自動ドアでも世界大手。同社は2022年12月に小型ロケットによる人工衛星打上げ事業に取り組むスペースワンと資本提携しており、将来的には定常的に年間20機の小型ロケット打ち上げを目指す計画。株価は上向きで推移する13週線を支持線に強いトレンドを形成し、2021年11月以来の水準を回復している。21年4月の上場来高値5610円が次第に意識されてくる可能性がありそうだ。

◆エクシオグループ <1951> [東証Ｐ]

電気通信工事大手。通信キャリア向けに、5G基地局建設や交換伝送設備の設計・施工・保守などを行うエンジニアリングソリューション事業が主力。また、システムソリューション事業ではICTを活用したシステム構築のほか、AIや DX分野にも注力する。株価は9月4日に付けた上場来高値2240.5円をピークに調整をみせているが、支持線として意識される13週線水準まで押しを入れたことで、切り返しのタイミングは近いとみる。

（2025年10月10日　記）

株探ニュース