三井郁男氏【衆院選前に円急伸の波紋、潮目に変化はあるか?】 <相場観特集>
―予想外の米当局「レートチェック」、高市トレード小休止後の投資戦略を練る―
26日の日経平均株価は一時1100円を超す下げとなった。米当局が前週末23日に為替介入の前段階となる「レートチェック」を行ったとの観測から急速なドル安・円高が進行し、先物売りが全体相場を押し下げた。国内では翌27日が衆院選の公示日となり、2月8日に投開票が行われる予定だが、「高市トレード」は足もとでは小休止の感もある。この先の投資戦略をどう練るべきか。アイザワ証券投資顧問部・ファンドマネージャーの三井郁男氏に話を聞いた。
●「連立与党の過半数が基本シナリオ、財政懸念後退で持続的な株高へ」
三井郁男氏(アイザワ証券 投資顧問部 ファンドマネージャー)
2月8日投開票の衆院選の結果が出るまではボラティリティの高い状態が続きそうだ。ドル円相場は急速な円高が進行したものの、連立政権で議席数の過半数を獲得するというシナリオを前提とすれば、日本株に関して過度に悲観すべき局面ではないだろう。とはいえ主要政党が消費減税を主張するようになり、国内金利が大きく上昇することとなった。連立与党が過半数を確保した際には、「責任ある積極財政」に関して高市政権が丁寧な情報発信に努め、市場の財政悪化懸念を和らげることができるかがポイントとなっていく。高市政権のもとで掲げられた17の重点投資分野はいずれも日本の経済成長に大きく関わるものとなる。財政懸念が後退すれば、長期的な株高トレンドは不変となるだろう。
これまでのドル円相場に関して言えば、かなりの円安水準であったのは否めない。貿易黒字が拡大するなかで、トランプ米政権から自国通貨安誘導政策とのそしりを受ける恐れもあった。円高の進行自体、ファンダメンタルズの観点では決して悪い話ばかりではない。個人消費を含め内需の安定的な拡大を後押しすることも見込まれ、海外投資家から日本経済に対する評価を高める要因となる可能性がある。適度なインフレ環境のもと、企業が利益を出しやすい状況が続けば、持続的な株価上昇につながる。来期の日本企業の業績に関しては5%程度の増収で10~15%程度の利益成長が見込まれている。25年10-12月期の業績に関しても堅調なものとなると期待されている。衆院選で与党が過半数確保に至らなかった際には日本株は下値を探る形になるが、基本シナリオとしては企業業績のモメンタムがサポート要因となると考えられ、この先1ヵ月間の日経平均は5万1000円から5万4500円のレンジで推移するとみている。
日銀が展望リポート(経済・物価情勢の展望)で26年度のインフレ見通しを引き上げた。金利の上昇自体は地銀にとっては保有債券の含み損など気がかりな点もあるが、証券株を含め金融セクターは引き続き投資家からの高い関心を集めることになりそうだ。来年度業績への期待という点で、半導体や非鉄金属、精密機器関連も押さえておきたい。半導体製造装置の東京エレクトロン <8035> [東証P]やアドバンテスト <6857> [東証P]、メモリーのキオクシアホールディングス <285A> [東証P]のほか、DXニーズが追い風となる日立製作所 <6501> [東証P]やNEC <6701> [東証P]、防衛関連株などに対し、投資家の注目度が高まった状態が続くだろう。
(聞き手・長田善行)
<プロフィール>(みつい・いくお)
1984年からファンドマネージャーとして日本株運用を40年以上にわたり続ける。国内銀行投資顧問、英国の投資顧問会社、国内大手信託銀行を経て、投資顧問会社を設立。2013年からアイザワ証券の投資顧問部で日本株ファンドマネージャー。自ら企業調査するボトムアップ運用を続けている。
株探ニュース