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明日の株式相場に向けて=「FCF黒字化」で息吹き返す強気派に立ちはだかる壁

市況
2026年10月29日 17時43分

29日の東京株式市場で、日経平均株価は前日比705円高の6万4659円と3日続伸。直近3営業日の上昇率はいずれも1%を超えた。日足チャートは陽線が3本並ぶ「赤三兵」で強い上昇トレンドの継続を示唆する。東証プライム市場の売買代金は13兆8657億円と4カ月ぶりの高水準。東証株価指数(TOPIX)のリバランスに伴うパッシブ資金の機械的な売買フローに起因するものだが、浮動株比率の引き上げでこの日に約1兆円の買い需要が発生すると見込まれていたキオクシアホールディングス<285A>はクロージングオークションを経て急速に上げ幅を縮めて取引を終えた。高水準の信用買い残を抱える同社株はパッシブ資金の買い需要に合わせる形で、大量の売り注文がぶつけられる結果となった。

韓国サムスン電子が29日午前に発表した26年7~9月期決算は、半導体部門の営業利益がコンセンサスを下回った。株主還元策を示さなかったことも嫌気され、同社株が下落。韓国株安に連れる形で日経平均は朝高後に一時200円を超す下げとなったものの、後場に持ち直した。ナスダック100先物が1%を超す下げとなるなか、日本株は需給イベントという特殊要因に助けられたともいえる。

米国ではハイパースケーラーが28日に相次いで決算を発表した。マイクロソフト<MSFT>はクラウド事業が好調で、26年7~9月期の設備投資は増加しながらも会社計画を下回り、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)は改善。時間外での株価上昇につながった。対照的にアルファベット<GOOG>は7~9月期の売上高と1株利益が市場予想を下回り、FCFは赤字の状態が継続。時間外で株価は急落するなど、明暗が分かれた。もう一つ、FCFの軸で注目が集まったのがオラクル<ORCL>である。27年12月~28年5月期においてFCFを黒字化する計画を28日に明らかにし、同日の上昇率は10%超と急騰劇を演じた。

アルファベットもFCFの赤字幅自体は縮小している。巨額の設備投資による財務悪化リスクが意識されていたハイパースケーラーから、AI関連企業の信用不安を和らげる材料が相次いで投入されたとみなすこともできる。「コアウィーブ・ショック」から相場全体が立ち直りつつある過程において、強気派の目からは安心材料として映るに違いない。ただし長い目でみるとハイパースケーラーやネオクラウドのFCFの改善は、決していい話ばかりではない。FCFを改善させる方策には、営業キャッシュ・フロー(営業CF)の拡大と設備投資の抑制の二つがある。営業CFの拡大には、値上げなどを通じてトップラインを伸ばすこと、そしてコストダウンを図ることが求められる。巨大IT企業が相次いでこの方向に舵を切ればマクロ環境にはインフレ要因となるはずだ。金利に再び上昇圧力が掛かれば、ネオクラウドの資金調達コストを巡る不安が再燃することにつながりかねない。設備投資の削減については、半導体や光部品などデータセンター向け製品を取り扱う企業や、半導体製造装置メーカーにとって基本的にネガティブな話でもある。そもそも米中間選挙後のトランプ政権による中東での軍事行動再開の可能性が取り沙汰されるなかで、原油相場次第では再び波乱含みの相場展開となる恐れがある。弱気派が息を吹き返す余地は大きい。

30日は国内では日銀の金融政策決定会合の結果発表を控えているが、連続利上げの見送りが報じられており、米連邦公開市場委員会(FOMC)と同様に無風通過となる公算が大きい。引け後にはキオクシアが9月中間期決算を発表する。市場では「マイクロン・テクノロジー<MU>の決算を踏まえてみても、キオクシアが好決算になることは明らかだが、コンセンサスを上回る結果となっても需給が重荷となり、上値の重い状態が続きそうだ」(国内証券)との声がある。キオクシアに限らず、6月に高値をつけたAI・半導体関連株の一角に関しては、12月まで期日売りの懸念と付き合う必要に迫られる。需給の壁が立ちはだかるなかでの戻り相場は脆弱さも孕んでいる。

日程面では、30日は国内では寄り前に9月の完全失業率と有効求人倍率、10月の東京都区部消費者物価指数(CPI)、9月鉱工業生産、9月商業動態統計が公表される。日中は9月の自動車輸出実績や住宅着工件数、外食売上高の発表を控えている。トグルホールディングス<652A>が東証グロース市場に新規上場するほか、キオクシアや東京エレクトロン<8035>、村田製作所<6981>など主要企業の決算発表が相次ぐ。海外は30日、ドイツ10月失業率と消費者物価指数、ユーロ圏の7~9月期GDP、米10月シカゴ購買部協会景気指数などが公表される予定だ。(長田善行)

出所:MINKABU PRESS

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