明日の株式相場に向けて=AIインフラ加速で奔流に乗る銘柄群
きょう(15日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比256円高の5万8134円と続伸。頂上(最高値)が見えてきた途端、戻り売りを浴びて押し返されたが、終値で5万8000円台をキープした。中東情勢に関してはトランプ米大統領が米メディアの取材で、イランとの和平交渉が2日以内にパキスタンで再開する可能性があると伝え、これが投資家のセンチメント改善につながったという。しかし、今更この手の報道にマーケットが真正面から反応するかといえば答えはノーであろう。既に相場は中東有事そのものに左右されなくなってきている。ここから注視すべきは日米の長期金利の動向で、これが相場を取り巻く材料をすべて集約し、咀嚼したバロメーターとしてチェックしておきたい。
日経平均は高値圏を舞っているが、個別株については物色対象がやや偏った状態にあることは否めない。米株市場の地合いをなぞるように資金が流れ込み、とりわけ半導体関連セクターの誘引力が強い。半導体でもAI関連寄りの企業、もっと踏み込めばAIデータセンター に関わる銘柄群に物色の矛先が集中している。市場関係者は「過剰投資懸念が払拭できないとはいえ、例えば米ビッグテックにとってAIデータセンターへの投資を怠れば、近い将来に勝者となることを放棄するに等しい。手を緩められないのはそうした事情がある」(ネット証券アナリスト)と説明する。AI投資に関して今の時間軸は、赤信号に見えても“皆で渡れば怖くない”という局面であり、「リスクを取らないことがリスク」と思われているフシがある。最高値圏で躍動するフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は、半導体のスーパーサイクル再来を確信しているような動きに見えなくもない。
そうしたなか、米株市場の地合いを引き継いで東京市場でも半導体セクターへの注目度が高まるのはごく自然な流れである。ただし、投資家心理として主力級の銘柄の高値に食いつくことには警戒感も拭えない。それも当然で、ファンダメンタルズからのアプローチで買いを急がなければいけない理由はどこにも見当たらない。そこで、指標株として見ておきたいのはやはり日経平均構成比が最も高いアドバンテスト<6857>ということになる。
アドテストの株価は1月29日に大陰線でアイランド・リバーサルを示現、その後は値を崩すも驚異的な脚力で切り返し、2月26日に2万9345円で最高値を更新した。だが、そこが戻り一杯となり典型的な2点天井を形成した。テクニカル的には、3度目の高値チャレンジはさすがに困難を極めると思われたのだが、直近その常識を覆す大出直り相場を演じ、きょうは一時1610円高の2万8610円まで上値を伸ばし、最高値まであと700円あまりに急接近する場面があった。きょうのところは青空圏突入とはならなかったが、2月下旬の最高値を早晩クリアするようであれば、半導体大相場の新たな上昇ステージを暗示するだけのインパクトがある。
半導体セクターが強いが、目を凝らせばAIデータセンターという一つの括りの中で循環物色の流れが形成されていることが分かる。振り返れば昨年後半のキオクシアホールディングス<285A>の株価はNANDメモリーの需要先であるスマートフォン市場の動向が常に気にされていたが、これがAIサーバーに搭載される記憶装置であるSSD向け特需発生で、マーケットの認識が劇的に変化した。今年のキオクシアの大相場はすべてAIデータセンターによって作り出されたようなものである。これに連鎖するテーマでは光ファイバーや光コネクター、光測定器などがスポットライトを浴び、関連最右翼である電線御三家のほか、精工技研<6834>やsantec Holdings<6777>の大相場を生んだ。
ここにきて、村田製作所<6981>や日本ケミコン<6997>などのコンデンサー関連株の異彩高もAIデータセンターありき、であった。コンデンサー関連は動兆著しい銘柄が少なからず見受けられるが、目先押し目は拾い場となっているケースが多いと思われる。そうしたなか、株価が3ケタ台の中低位株では、AIサーバー向けジルコニアボールの需要獲得が進むニッカトー<5367>。75日移動平均線を滑走路にテイクオフのタイミングを待つ段階にあり、待ち伏せ買いの対象として妙味は十分だ。またAIデータセンター関連で、意外性のある有力株としてエヌエフホールディングス<6864>を挙げておきたい。量子コンピューターのテーマで代表格ともいえるが、量子技術は次世代データセンターで要注目分野であることは論をまたない。また、もう少し現状に近い話で、同社はデータセンターの電源評価・計測システムで大いに活躍余地がある。これ以外では、データセンター空調工事を行う日比谷総合設備<1982>や新日本空調<1952>なども改めてマークしたい。
あすのスケジュールでは、週間の対外・対内証券売買契約が朝方取引開始前に財務省から開示される。前場取引時間中には1年物国庫短期証券の入札が行われる。海外では1~3月期の中国実質国内総生産(GDP)、3月の中国70都市新築住宅価格動向、3月の中国小売売上高、3月の中国工業生産高、3月の中国固定資産投資、3月の中国不動産開発投資のほか、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、3月の米鉱工業生産指数・設備稼働率、週間の米新規失業保険申請件数などが発表される。また、この日は20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が開催される。海外企業の決算発表では、台湾積体電路製造(TSMC<TSM>)やネットフリックス<NFLX>の1~3月期決算に市場の注目度が高い。(銀)
株探ニュース