来週の株式相場に向けて=深まる「米中分断」と勢いづく「PBR1倍割れ銘柄」
8日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比384円安と大幅続落となった。一時3万2500円台にまで売り込まれたが、この背景となったのが言うまでもなく、中国が政府機関や国有企業の職員に対してアップル<AAPL>の主力製品である「iPhone」の使用禁止を広げる、と報じられたことだ。
米中対立を象徴するものと受け止められ、米国でアップルを含めハイテク株が売られ、日本でもレーザーテック<6920>や東京エレクトロン<8035>など半導体関連株を中心に売りに押される展開となった。
この中国問題に関して、ある市場関係者は「中国はメンツを重んじる国。中国サイドからみれば米国での中国に向けた規制強化に対するいら立ちがある。今回の動きも、その意趣返しの性格が強いのではないか」とみている。特に、24年の米大統領選挙が近づき民主・共和党が中国に対する強硬姿勢を競い合う姿勢をみせるなか、それに刺激され中国が対抗措置を繰り出すということも起こりかねない。市場からは「当面ハイテク株は手が出しにくい」とみる声が一段と強まった。
そんな流れのなか、日本株に目を移すと、一段と注目を集めそうなのがやはりバリュー系銘柄だ。TOPIX主導の相場は変わりそうにない。折しも今週は7日にアクティブETFの第1弾が上場した。そのなかの1本に「PBR1倍割れ解消推進ETF<2080>」がある。市場関係者からは「分かりやす過ぎるネーミング」との声も上がっているが、このようなアクティブETFが人気を集めればバリュー株に対する人気が一段と高まるとみられる。日本製鉄<5401>もホンダ<7267>も三菱UFJフィナンシャル・グループ<8306>も日本郵船<9101>も、まだPBR1倍割れであり投資対象は豊富だ。
スケジュール面では、来週は13日の米8月消費者物価指数(CPI)の発表に関心が集中しそうだ。14日には米8月小売売上高が公表される。12日にはアップルのイベントが予定されており、新型iPhoneの発表などが期待されている。また、14日には欧州中央銀行(ECB)理事会が開催され、15日に中国の8月工業生産などが公表される。
国内では13日に7~9月期法人企業景気予測調査が発表される。12日には、神戸物産<3038>、三井ハイテック<6966>、14日にはパーク24<4666>の決算が発表される。12日にはライズ・コンサルティング・グループ<9168>が東証グロース市場に新規上場する。来週の日経平均株価の予想レンジは3万2200~3万3100円前後。(岡里英幸)
株探ニュース