【村瀬智一が斬る!深層マーケット】政策期待を支えに押し目買い意欲は強い
「政策期待を支えに押し目買い意欲は強い」
●連日で最高値更新、SQ値は4万5000円を超える
日経平均株価は連日で史上最高値を更新している。米国市場では利下げ期待が根強いなかで 半導体や人工知能(AI)関連株に資金が集中しており、東京市場でもソフトバンクグループ<9984>[東証P]やアドバンテスト<6857>[東証P]、フジクラ<5803>[東証P]などが高値を更新し、日経平均株価を牽引している。一方、9月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)はSQ値が4万5016.28円と節目の4万5000円台に乗せてきたことで、いったん達成感が意識されてくる可能性もある。
ただし、9月16-17日に予定される米連邦公開市場委員会(FOMC)で市場の期待通りに利下げが決まり、かつ年内あと2回の利下げに踏み切るとの観測が強まりをみせる局面では、一段の米株高が意識されてこよう。国内では日銀の金融政策を巡って利上げの機運が高まっているが、自民党総裁選が9月22日告示、10月4日投開票の日程で実施されることが正式に決まったことで、9月18-19日の決定会合では現状維持が見込まれる。日米中銀イベントを通過後はアク抜けが意識されるほか、次期政権の政策期待に支えられて押し目買い意欲は強まりそうである。
物色面ではAI関連に資金が向かいやすい地合いが続きそうだが、過熱感も警戒されて次第に出遅れ感のある銘柄を見直す動きが意識されてこよう。先高期待の強い相場展開のなかで、先駆した銘柄の利益確定に対して出遅れ銘柄が物色されるといった理想的なリバランスの動きが期待される。
●活躍が期待される「注目5銘柄」
◆アシックス <7936> [東証P]
競技用シューズを中心にスポーツウェアやスポーツ用具を手掛ける。8月23日付の日本経済新聞は、富永満之社長が取材に応じ、「2027年12月期~29年12月期の3年間の次期中期経営計画は『少なくとも連結売上高1兆円、営業利益率20%を目標にしてつくる』と述べた」と報じている。高級ブランド「オニツカタイガー」などの成長を見込むという。また、9月13日から開催される「東京2025世界陸上」では、同社は日本代表チームが着用するオフィシャルウエアを手掛けており、日本人選手の活躍によって話題性が高まりそうだ。株価は8月19日につけた上場来高値の4289円をピークに調整していたが、上向きで推移する25日移動平均線を支持線としてリバウンドをみせてきており、高値更新が期待される。
◆SCREENホールディングス <7735> [東証P]
半導体やフラットパネルディスプレー(FPD)製造装置などを手掛ける。ウエハ洗浄装置で世界首位。株価は2024年3月に付けた上場来高値2万0440円をピークに調整に転じ、25年4月7日には7825円まで売られた。その後、出直りをみせ、足もとでは7月以降のレンジ上限の1万2700円処に差し掛かってきた。半導体関連の出遅れ修正の動きに期待したい。
◆MIXI <2121> [東証P]
「モンスターストライク(モンスト)」などスマートフォン向けゲームを中核に、スポーツ領域でも事業を展開。2026年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業利益は前年同期比3.9%減の26億7700万円で着地した。デジタルエンターテインメントなど3事業が振るわなかった一方、スポーツ事業はスポーツベッティングサービス「TIPSTAR」のオンライン車券販売高の増加などが寄与し、セグメント損益が黒字に転換した。株価は決算が嫌気されて窓を空けて急落したが、その後は上向きで推移する200日線に支えられて緩やかにリバウンドを継続。足もとは上値抵抗の75日線を捉えてきており、同線突破からの一段のリバウンド加速を想定する。
◆TOWA <6315> [東証P]
半導体後工程用製造装置の大手。2026年3月期第1四半期(4-6月)の連結営業損益は5億8100万円の赤字(前年同期は22億1200万円の黒字)に転落した。一部地域の顧客工場への納入スケジュールが第2四半期にずれ込んだことなどが影響した。ただし、会社側によると、足もとの受注環境は回復基調にあるほか、生成AI分野での需要の高まりを背景に、次世代メモリ関連製品向けのモールディング装置の顧客基盤が拡大しているという。株価は6月30日の年初来高値2162円から調整を続けてきたが、200日線を支持線とする底固めを経て直近ではリバウンド基調が強まっている。
◆フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]
フジサンケイグループ。メディア・コンテンツ事業を主力に都市開発、観光、通販、音楽など経営を多角化。9月12日に、2026年3月期の連結最終損益を従来予想の100億円の黒字から165億円の黒字(前期は201億円の赤字)に上方修正した。同社が保有する東映アニメーション <4816> [東証S]株の売り出しにより特別利益として280億円を計上する見込み。傘下のフジテレビジョンのCM出稿は4-8月では前年同期比4割となり、8月単体では5割まで回復した。人権問題の再発防止策などへの取り組みが評価されて、10月以降の広告出稿の本格的な再開も見込まれ、業績回復への期待が高まってきている。株価は1月中旬以降、大きく上下に振れながらも上向きで推移する75日線にサポートされてリバウンドを維持している。
(2025年9月12日 記)
株探ニュース