TrueData Research Memo(6):2024年3月期は増収増益見込み。新領域サービス強化で成長加速(2)
■今後の見通し
3. トピックス
2024年3月期は将来の成長の種となる新サービスの開発に注力しており、相次いで新サービスをリリースした。True Data<4416>の運営するビッグデータプラットフォームをベースにして協業先などとのエコシステムで新サービスを開発・展開しており、今後のスケール化が期待される。
(1) 「Shopping Scan for LINE」
2023年5月、ドラッグストアや食品スーパーマーケットなどの小売業向け新サービス「Shopping Scan for LINE」をリリースした。顧客の許諾を得たうえで、ID-POSデータとLINEアカウントを連携させ、ID-POSデータから顧客の嗜好やニーズをAIが判定して、顧客に合わせたLINEのメッセージやクーポン配布などの販促施策を実施するサービスである。施策実施後には、販促の効果をID-POSデータで検証して次のアクションにつなげ、販促施策のPDCAを一気通貫で支援する。
(2) 「Poswell」
2023年5月、新たに広告領域における消費財メーカー向け新サービス「Poswell」をリリースした。Googleがオープンソースで公開しているCausal Impactという統計モデルと同社の購買ビッグデータを活用して、YouTube広告による実店舗での売上効果を検証するサービスである。
(3) 楽天グループ「Instore Tracking」とのデータ連携
2023年5月、楽天グループのIDマーケティングソリューション「RMP-Omni Commerce」におけるメニュー「Instore Tracking」と、同社が統計化した全国規模のオフライン購買データとの連携をリリースした。「Instore Tracking」は、企業が出稿するディスプレイ広告や動画広告などオンライン広告の効果を、実店舗での購買実績に基づいて測定することができるメニューであり、そのデータ基盤として楽天ポイントカードの加盟店データなどに加え、同社のデータを活用することで、広告配信のターゲティングや事後分析に活用されるデータボリュームが拡大する。同サービスはレベニューシェアで売上高が計上される。
(4) ドラッグストアにおけるインバウンド消費分析
2023年6月、ドラッグストアにおける新型コロナウイルス感染症収束後のインバウンド消費を分析するサービスをリリースした。これは、全国ドラッグストアの統計化された購買データから、複数の購買条件によりインバウンド消費を抽出するもので、全国またはエリアを限定してデータ分析できる。
(5) 「SalesSensor」
2023年9月、小売業向け新サービス「SalesSensor」をリリースした。幅広い業界におけるアルゴリズム構築に強みを持つ(株)DATAFLUCTと連携し、小売業が新規出店する際の売上高を予測するサービスである。小売業が独自に持つ売上実績データや店舗情報に加え、競合店の情報、人口や乗降客数、平均世帯年収など外部のオープンデータをAIが分析し、地域特性を加味した売上予測を自動的に算出する。社内に専門知識のある担当者がいなくても、高精度の売上予測を立てることができ、売上の最大化と新規出店コストの最適化につなげることが可能である。
(6) 「POSデータクレンジングサービス」
2023年9月、プラネット<2391>と共同で消費財メーカー向け新サービス「POSデータクレンジングサービス」をリリースした。これは、消費財メーカーが取引している小売業から提供されたバラバラな形態のPOSデータを統一のフォーマットに整形し、必要な情報を付与することでデータ分析できる状態に下ごしらえを行う、購買データクレンジング代行サービスである。
(7) 「Potential Scan」
2023年12月、今村商事(株)と共同で小売業向け新サービス「Potential Scan」をリリースした。これは、小売業向けに「自社店舗での売上と市場全体での売上を比較する」「もっと売れそうな商品を見つける」といった機能を提供し、売上の伸びしろを可視化するサービスである。売上データや来店顧客データをクイックに確認できるダッシュボード機能と、もっと売れそうな商品をさがす商品ポテンシャルAI機能を搭載している。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《HH》
株探ニュース