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明日の株式相場に向けて=アンソロピック新潮流で生まれる勝機

市況
2026年9月15日 17時31分

きょう(15日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比8円安の6万3484円と小幅ながら3日続落。今週は日米中銀による政策決定会合があるため様子見ムードが強くなりがちだが、それにしても方向感が定まらず、分足チャートは日経平均、TOPIXともに酩酊状態を思わせる千鳥足に終始した。世界的な金利上昇が改めて警戒されている。日本の場合、政府の債務残高が増勢一途にあるだけに、金利上昇は財政悪化を加速させるというのが売り方の口実だが、もとより日本は債権大国であり、債務危機に陥るリスクを大上段に掲げるのは必ずしも理に適っていない。金利上昇をむしろ脱デフレのシグナルとして捉えたからこそ、日経平均は1989年のバブルの頂をやすやすと越えたのではなかったか。

足もとの株式市場に目を向けると、10月中下旬にも米ナスダック市場に上場が見込まれるアンソロピックが吸引する形でAI関連に投資資金が誘導されている。AI関連といえば、データセンター建設などのインフラ分野を担う銘柄群が花形セクターである。これにはメモリーやロジックなどの半導体チップも含まれるが、いわゆる「ツルハシ銘柄」がテーマ物色の中心軸を担っていた。だが、アンソロピックの上場というビッグイベントを控え、株式市場を取り巻くマネーフローに変化が生じている。アンソロピックの上場に向けたロードショーが始まるや否やという微妙な時間軸で、同社のダリオ・アモデイCEOが自身のブログに放ったコメントが大きく取り沙汰された。前週末12日にAI脅威論ともいうべきニュアンスで「AI開発を減速させる必要性」に言及したのだ。これが計算されたものであったのかどうかは不明だが、オープンAIのサム・アルトマンCEOや、テスラ<TSLA>はじめ複数の巨大IT企業を率いるイーロン・マスク氏が同調した。その結果、依然としてくすぶるAI過剰投資懸念と共鳴する形となり、週明け14日の米株市場では半導体やその製造装置メーカーなど十把一からげにハード系銘柄群が売りの洗礼を浴びた。

前日は半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も5.85%安と急落、1万1000台後半で収れんする5日・25日移動平均線をマドを開けて下放れる格好となった。こうなると東京市場でも向かい風が強まるのは当然の成り行きで、今朝方は東京エレクトロン<8035>やアドバンテスト<6857>、ディスコ<6146>といった半導体製造装置大手や、SUMCO<3436>、イビデン<4062>といった半導体部材関連のトップメーカーが逆風に抗えず、軒並みウリ気配で始まる展開を強いられた。

しかし、時計の針を戻すと前日の米株市場ではハイテク株比率の高いナスダック総合株数の下落率は0.55%と軽微な下げにとどまっていることに、少なからず首をかしげる市場関係者も少なくなかったはずだ。この違和感の正体は、ツルハシではない方の AI関連、即ちAIソリューションなどを手掛けるクラウド関連株などが逆行高を演じたことにある。メガテックの親玉的存在であるマイクロソフト<MSFT>が2%弱の上昇、アルファベット<GOOGL>は3.2%高に買われたほか、セールスフォース<CRM>が4.7%高、サービスナウ<NOW>が7.4%高と気を吐き、クラウドストライク<CRWD>に至っては13.9%高と大人気を博した、AI関連のツルハシではなく、ゴールドマイナー(ツルハシを使って金鉱脈を掘る側)の方にホットマネーが押し寄せた。AI開発を減速させるべきとした発言は、ソリューション企業にとってはむしろ企業価値を高める方向で思惑が働いた。

アモデイ氏の主張はAI開発そのものを否定しているのではない。第三者的見地での安全性評価、及び国際的なセーフティー・スタンダードが、AIの進化に追いつかなければ人類は自分で自分の首を絞めることになってしまう。とりわけ、AIが人間と実社会で共存していく過程で自律的に判断して行動する存在へと発展を遂げていく、いわゆる「 フィジカルAI」時代にAIの暴走は一段とリスクが大きい。これは自動運転や医療・介護分野におけるロボティクスを念頭に置けば容易に想像がつく話だ。アンソロピックをはじめとするソリューションを主戦場とする企業群は、サイバーセキュリティーやインシデントに対するソリューションが重要視されるなか、そのリスクの解消が商機となり得る。淘汰の波にもまれながらも残存者は自ずと株価の居どころを大きく変えることになる。ソフトウェア関連企業はグロース市場に上場している銘柄も多く、個人投資家にとっては今後新たな視点で、有望株を発掘するチャンスが巡ってきそうだ。

近い将来、主力どころで光が当たるのはおそらくNEC<6701>。そして富士通<6702>も併せて注目だ。両銘柄ともアンソロピックの存在が東京市場で意識されたとき、いったんは大きく株価に下方圧力が働いた。しかし、それは初動時特有のイレギュラーであることが分かってきた。また、中小型株ではフィジカルAI分野と関わりの深い銘柄に目星をつけるのが一法である。セック<3741>、ソリトンシステムズ<3040>、フィーチャ<4052>など。また、自動運転のハード分野にも絡む銘柄で原田工業<6904>などに穴株妙味がありそうだ。

あすのスケジュールでは、7月の機械受注、8月の貿易統計、1年物国庫短期証券の入札など。また、8月の訪日外国人客数にもマーケットの耳目が集まる。この日は東証グロース市場にオーディオストック<621A>、東証スタンダード市場にオリバー<619A>がそれぞれ新規上場する。海外では7月のユーロ圏鉱工業生産、8月の英消費者物価指数(CPI)、ブラジル中銀による政策金利決定のほか、米国ではFOMCの結果発表とウォーシュFRB議長の記者会見に世界の視線が集中する。このほか、8月の輸出入物価指数、9月のNAHB住宅市場指数、7月の企業在庫、7月の対米証券投資なども注目される。(銀)

出所:MINKABU PRESS

株探ニュース

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