北陸企業ニュース-クオリティ株-【今村証券アナリストレポート】
株式市場は不安定な動きが続いている。高止まりする原油価格や世界的な金利の上昇などが株式市場の重荷となっている。
こうした中で投資対象として視野に入れたいのがクオリティ株(優良株)だ。クオリティ株とは持続的なビジネスモデルと持続可能な競争優位性を持つ企業を指し、株式市場での長期のパフォーマンスも良い傾向がある(下チャート参照)。

その特徴は高い収益性、堅実な財務だ。具体的にはROE(自己資本利益率)やROA(総資産利益率)などで表される収益性、フリーキャッシュフロー(FCF)に表れる現金創出力、負債自己資本比率(DEレシオ)などに現れる財務安定性が重視される。指数会社のMSCIはROE、DEレシオ、収益安定性の3つの財務指標をベースに銘柄を選定し、「MSCIクオリティ指数」を算出している。不安定な相場の中では中長期の投資対象としてクオリティ株に注目したい。
以下は北陸の上場企業のうち5年平均ROEが10%以上の企業だ。今回は以下の中から財務安定性を示す負債自己資本比率(DEレシオ)が80%以下で、フリーキャッシュフロー(FCF)が黒字の銘柄に注目し、その中からセーレン、システムサポートHD、ゴールドウインを取り上げる。
注)ROE(自己資本利益率)=当期純利益÷自己資本×100
ROA(総資産利益率)=当期純利益÷総資産×100
負債自己資本比率(DEレシオ)=有利子負債÷自己資本×100

●セーレン<3569>[東証P]
作成者 近藤 浩之
レーティング: OUTPERFORM
世界シェアNo.1のカーシート表皮材など、繊維技術を基盤に多分野展開

今期(2027年3月期)第1四半期は売上高、営業・経常・純利益のいずれも過去最高となった。合わせて通期会社予想を上方修正し、従来予想から売上高を50億円、営業利益を17億円、経常利益を19億円、純利益を7億円引き上げた。けん引したのは「車輌資材」「エレクトロニクス」「環境・生活資材」の3セグメントだ。「車輌資材」は新型車種向けカーシート材・エアバッグの受注増加、「エレクトロニクス」はモバイル機器向け商材の販売伸長、「環境・生活資材」は中東情勢悪化に伴う住宅資材の供給懸念を踏まえた前倒し需要が寄与した。

1月に買収したユニチカ岡崎事業所(現NBセーレン)の業績も加わった。NBセーレンは不採算事業からの撤退、老朽化した設備の自動化・合理化投資を実施した上で、NBセーレンが持つ不織布や機能性差別化原糸を用いた製品の開発や販売拡大、グループ内での原材料の共同調達などを推し進めていく。
既存事業における成長投資については、4月に、主に自動車等のシート材に用いられる合成皮革「QUOLE(クオーレ)」のメキシコでの生産能力増強が完了した。人工衛星事業は、福井県や東京大学などと連携し超小型人工衛星、超小型人工衛星搭載機器の製造を手掛けている。生産能力の引き上げに加えて、衛星運用・データ提供までのワンストップサービスを提供していく。半導体事業は、シリコンウェーハ上に回路の素材となる層を作る工程である成膜加工サービスを提供しており、世界シェアNo.1の厚膜熱酸化膜加工企業として、光ファイバ通信のほか、AIデータセンター、電気自動車、ロボット用センサなどで需要拡大が見込め、新工場を建設中だ。
好調な業績が続きそうで、来期(2028年3月期)は7%程度の営業増益を予想し、増配も続くだろう。投資判断は「OUTPERFORM」とする。
●システムサポートHD<4396>[東証P]
作成者 近藤 浩之
レーティング: OUTPERFORM
クラウド・AIに特化した技術者集団

8月に堅調な業績、中期経営計画を公表した後、株価が上昇した。これまでもAI時代を見据え、AI関連サービスのラインアップ拡充、導入支援を行ってきた。今後はこれをより強化する方針を打ち出した。
注力するクラウドインテグレーション事業は、今後3年間、増収率年率18%、営業増益率同19%の見通しとした。AI活用を推進する企業が増え、システム刷新、クラウド基盤やデータ基盤の整備、セキュリティ対策強化などの需要が拡大している。業務効率化にとどめずに業務変革へ発展させる企業も多くなっている。これに対応できる存在として、①顧客知見…エンドユーザー直接取引比率74.8%(システムサポートの売上高に占める割合:前期(2026年6月期))による深い顧客業務理解、②マルチクラウド…ServiceNow、AWS、Google Cloud、Microsoft Azureなど主要ベンダーとの強固なパートナーシップ・高度な技術認定、③フルスタック対応…情報システムの企画・コンサルティングから、システム開発、クラウド導入、運用・保守までをワンストップで提供―の強みを活かし、受注を獲得していく。顧客がクラウドサービスに移行した後は、ストック型収益であるリセール(データ利用量に応じた従量課金が売上の中心)の拡大につなげる。技術者のクラウド分野へのスキルチェンジも進め、かつ技術者はコンサルティングやAI導入後の運用・定着などの役割を担い、開発プロセスではAI活用範囲を広げることで、収益性向上も狙う。

また、配当方針を変更した。従来からの累進配当(原則として減配せず、配当の維持・増配を行う配当政策)を継続しつつ、「配当性向40%以上を目安」(前期35.3%)を追加した。
今村証券による業績予想は、会社予想に沿った水準になるとみて、今期が売上高350億円(前期比+12.6%)、営業利益35億円(同+18.0%)、配当金43円(前期(株式分割考慮後)比+11円)―、来期が売上高390億円(今期今村証券予想比+11.4%)、営業利益40億円(同+14.3%)、配当金49円(同+6円)―とする。投資判断は「OUTPERFORM」。
●ゴールドウイン<8111>[東証P]
作成者 近藤 浩之
レーティング: OUTPERFORM
「ザ・ノース・フェイス」等のスポーツ・アウトドアアパレルメーカー

今期(2027年3月期)第1四半期は「ザ・ノース・フェイス」の夏物商材の販売が減少した。スポーツ量販店などに対する卸売部門で出荷を前期末に前倒した反動が生じたほか、6月の気温が直近数年に比べて低く、汎用性の高い商材(Tシャツ、ハーフパンツ、サンダル等)の売れ行きが低調だった。対して、機能性(UV対応、レイン、通気性等)商材の販売は堅調だった。また、「ゴールドウイン」の販売は拡大した。特に海外が伸び、高価格帯ながら機能性と審美性を兼ね備えた商品が中国人富裕層に受け入れられている。

こうした状況を受けた第1四半期の連結売上高は前年同期比1%減、営業利益は同82%減となった。第2四半期累計期間の会社予想については、売上高を当初予想比43億円減額の556億円(前年同期比0.0%)へ、営業利益を当初予想比28億円減額の42億円(同39.6%)へ見直した。一方で通期予想は変更していない。取り扱い比率が高い秋冬商材の販売が伸びるとの前提を変えていないためだ。「ザ・ノース・フェイス」ブランド生誕60周年関連施策の展開や、秋冬商材の立ち上がり強化、店頭を起点とした販売活動の徹底に取り組む。
今村証券による今期業績予想は、売上高1414億円(前期比+2.8%)、営業利益245億円(同▲5.3%)とする。会社予想を下回るが、秋冬商材の販売増加、経費抑制により、第3四半期から業績が回復に向かうと考える。来期(2028年3月期)は、売上高1500億円(今期今村証券予想比+6.1%)、営業利益265億円(同+8.2%)を予想し、「ゴールドウイン」の業績向上、経費の伸び鈍化を背景にした増収率の加速、営業増益への転換を見込んだ。株主還元に関しては、今期が16期連続の増配、来期も増配が可能と考え、継続的な自己株式の取得が期待できるとの見方も堅持する。
| 【レーティングの定義】 OUTPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超上回ると予想される。 NEUTRAL:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンの+10%と-10%の間に入ると予想される。 UNDERPERFORM:今後12カ月間のトータルリターンがTOPIXの予想リターンを10%超下回ると予想される。 トータルリターン:株価変動率+配当利回り 目標株価は12カ月間の投資を想定しており、将来発行されるレポートで修正されることもあります。 |
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金融商品取引業者 北陸財務局長(金商) 第3号
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今村証券より提供されたレポートを掲載しています。
株探ニュース