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窪田製薬HD Research Memo(6):スターガルト病を適応症とした第3相臨床試験は2020年5月被験者登録完了

特集
2021年3月17日 15時56分

■窪田製薬ホールディングス<4596>の主要開発パイプラインの概要と進捗状況

3. エミクススタト塩酸塩

エミクススタト塩酸塩のうち、スターガルト病を適応症とした第3相臨床試験(2018年11月開始、目標被験者登録数162名、世界11ヶ国の医療施設で実施)について、2020年5月1日付で被験者登録が完了したことを発表している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮して、194名と当初の予定よりも被験者数を上積みした。順調に進めば2022年第3四半期以降に試験結果のデータベースロックが完了する見込みで、結果が良好であれば欧米の規制当局に製造販売承認申請を行うことになる。また、販売パートナーとの契約交渉も同結果を見て動き始める公算が大きい。

スターガルト病とは、遺伝性の若年性黄斑変性で8千人から1万人に1人の割合で発症し、患者数は日米欧で15万人弱、米国だけで見ると3.2~4万人と推計されている※。小児期から青年期における視力低下や色覚障害などが主な症状として挙げられ、大半の患者が視力0.1以下に低下すると言われており、有効な治療法がいまだ確立していないアンメット・メディカル・ニーズの高い疾患の1つである。

※Market Scope,「Retinal Pharma & Biologics Market」「UN World Population Prospects 2015」をもとに、同社が推計。

発症原因は、網膜内にあるABCA4遺伝子の突然変異によるものと考えられている。ABCA4遺伝子は光を感じる働きを司る「視覚サイクル」によって生じる有害なリポフスチン(以下、A2E)を処理する役割を果たすが、本遺伝子が突然変異により本来の役割を果たさなくなることで網膜内にA2Eが過剰に蓄積し、視細胞が損傷を受けることで視機能障害が徐々に進行していくメカニズムとなる。

エミクススタト塩酸塩は動物モデルを用いた前臨床試験において、このA2Eの蓄積を抑制する効果が確認されている。エミクススタト塩酸塩が「視覚サイクル」において重要な役割を果たすRPE65と呼ばれる酵素を選択的に阻害し、視覚サイクルによって生じる老廃物の蓄積を軽減する薬理作用があるためと考えられる。このため、エミクススタト塩酸塩の投与によりスターガルト病の症状の進行を抑制する効果が期待される。

第3相臨床試験はプラセボとの二重盲検比較試験で、1日1回、10mgの経口投与を24ヶ月間実施する。主要評価項目は、プラセボ群に対する黄斑部の萎縮進行の抑制効果を検証するというもの。また、副次的評価項目として最良矯正視力のスコアや読速度などの視機能の変化も見る。スターガルト病は疾患の原因が特定遺伝子の突然変異であることが明確であることから、同社では比較的薬効証明がされやすいと見ている。エミクススタト塩酸塩は、これまでの臨床試験でもRPE65の働きを抑制する効果が確認されているため、弊社では開発が成功する可能性も高いのではないかと考えている。なお、競合薬の開発状況としては、サノフィ<SNY>(フランス)が第1/2相臨床試験を進めていたが、安全上の問題から開発を中止している。

同社資料によれば、スターガルト病治療薬の市場規模は2027年に世界で1,600億円になるという予測※1もある。米国に続いて欧州でもオーファンドラッグ指定※2を2019年6月に受けており、開発に成功すれば大きく収益に貢献することが期待される。また、2020年8月には第3相臨床試験がFDAの助成金プログラムに採択されたことを発表している。同プログラムは希少疾患治療のための医薬品や医療機器などの臨床開発を促進するために設けられた制度で、1983年の開始から37年間で667件が採択されているが、そのほとんどが大学所属の研究者によるもので、日本企業では同社が初めてとなる。なお、支給される助成金の総額は3年間で最大163万ドル(約1.7億円)となっている。

※1 出典:WISEGUY RESEARCH CONSULTANTS PVT LTD.(インド)

※2 欧州では、生命を脅かすような疾患や重篤で慢性的な衰弱状態の疾患で、1万人当たり5人未満の発症率である疾患の診断や治療のための医薬品が指定対象となる。上市後10年間の市場独占販売権、医薬品の製造販売承認申請費用の減額、優先承認審査等のインセンティブ、税制優遇などを受けられることになる。なお、米国でも2017年1月にオーファンドラッグ指定(上市後7年間の独占販売権)を受けている。

なお、増殖糖尿病網膜症を適応症としたエミクススタト塩酸塩の開発については、2018年1月に第2相臨床試験を完了し、主要評価項目は達成しなかったものの、網膜症の発症や悪化に関連するバイオマーカーであるVEGF(血管内皮増殖因子)濃度の軽度改善が確認され、黄斑浮腫を改善する可能性が示唆される結果となった。ただ、第3相臨床試験を行うには多額の研究開発資金が必要となるため単独で開発を進めることは難しく、今後はパートナー企業との共同開発の可能性を模索していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

提供:フィスコ

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