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リソー教育 Research Memo(9):生徒数・教室数の拡大によりすべての事業で持続的な成長を目指す方針(2)

特集
2020年6月8日 15時09分

■リソー教育<4714>の今後の展開

(4) 幼児教育事業の成長戦略

幼児教育事業を担う伸芽会は創業64年目となる老舗で、名門幼稚園・小学校へのいわゆる“お受験”の業界において、パイオニア企業であると同時にNo.1の合格実績を持ち、圧倒的なブランド力を持っていることが特徴だ。幼児教育事業における成長戦略としては、「伸芽’Sクラブ」の拡大が挙げられる。

名門幼稚園や小学校のお受験市場は非常に特殊で、それを手掛ける「伸芽会」の事業はヨコ展開(地理的拡大)が難しく、首都圏と京阪神地域に限定される。そこで成長戦略として打ち出したのがタテ展開(年齢層の拡大)であり、その具体的なプラットフォームが「伸芽’Sクラブ(託児・学童)」となる。

小学校のお受験は4歳ごろからスタートするがその年齢をさらに下に拡大するという視点と、「伸芽会」の卒業生(すなわち小学1~3年生)を、中学校受験のための「TOMAS」(通常は小学4年生から受験勉強が始まる)に確実につなげるという、2つの視点が骨格となっている。その具体的サービスが「伸芽’Sクラブ」の託児事業と学童保育事業となる。

託児事業は1~5歳児を対象としており、お受験指導の「伸芽会」の1段前の年齢層を取り込む事業だ。特長は1)お受験対応型の長時間託児、2)共働き世帯へのお受験対応のソリューション提供(伝統的に、お受験は母親が専業主婦でないと合格は困難と言われてきた)の2つだ。現在首都圏で6校(2020年2月末現在)を展開しているが、ほぼ定員一杯となっている。このため、運営スタッフや不動産物件などの条件が整えば新規校の開設を進めたい考えだ。

学童保育は小学1~3年生を対象としている。一般的な学童保育は児童福祉法を根拠とし、行政からの補助金が受けられるが、数少ない成長市場であることもあり、学習塾事業者など民間企業の参入も相次いでいる。同社はこの市場に“(中学受験を見据えた)進学指導付きの長時間学童保育”を特長・差別化要因として参入している。現在首都圏で15校を展開しており、いずれも入会生徒数は好調に推移している。託児事業と同様、運営スタッフや不動産物件などの条件が整えば新規校の開設を進めていく方針となっている。

弊社では「伸芽’Sクラブ」の教室数は中期的に現状の約3倍となる60教室程度への拡大は十分可能だと考えている。「伸芽’Sクラブ」が既存の「伸芽会」の対象年齢を前後に拡大する位置付けだと考えれば、首都圏で20校の「伸芽会」教室に託児・学童を併設する形での開設が1つの基本形になってくると考えられる。そうなれば2教室×20ヶ所で40教室となり、他のターミナル駅・中核駅への開設を合わせれば60教室という目標は現実的な想定と言えるだろう。実現するうえでのハードルは、市場性よりも不動産物件の確保や教師人材の確保にある。特に人材については、託児や学童で必要とされるスキルは学習塾におけるそれとは全く異なるため、今後の課題と言えるだろう。

一方、「伸芽会」の教室数拡大に関して、同社は慎重な姿勢を貫いている。名門幼稚園・小学校のお受験というある種、特定の市場において、首都圏で既に20校、京阪神で3校を展開しており、地理的に開設余地がないことや、入会生徒数の増加に対しては、既存教室の増床などで対応可能と見ているためだ。このため、「伸芽会」についての成長は他の事業と比べて緩やかなものにとどまるが、収益性に関しては高く、また毎年安定した需要が見込めることから、キャッシュ・カウ的な事業として位置付けている。

(5) 学校内個別指導事業の成長戦略と進捗状況

スクールTOMASが展開する学校内個別指導事業では、学校内で個別指導サービスを提供する「スクールTOMAS」とオンライン英会話教育を提供する「ハローe先生」の2つのサービスを展開している。

「スクールTOMAS」では、学校内で希望者に1対1の個別指導を行い、授業の内容も補習ではなく受験指導であるという点が大きな特徴となっている。このため、導入する学校側の目的も進学実績の向上にある。私立学校などでは生徒獲得のため、進学実績をアピールポイントとしていることが多い。学校の授業に「スクールTOMAS」を付加することで合格実績を高めることができれば、入学志望者数の増加につなげていくことが可能となり、潜在的なニーズも極めて多いと推測される。一方、同社側のメリットとしては、不動産経費や生徒募集のための広告宣伝費がかからないことが挙げられる。このため、「スクールTOMAS」の理論上の営業利益率は15~20%程度が期待できると同社では見ている。

2020年2月期末時点の導入校数は前期末比19校増加の55校(契約ベースで65校)と、導入ペースが加速している。講師の確保も含めて体制が整備されてきたことが背景にある。また、2019年4月には東京都教育委員会と「進学アシスト校」事業にかかる業務委託契約を締結しており、今後、東京都立高校での導入が拡がる可能性も出てきている。同事業では、都立高校の生徒を対象として、大学進学に向けた学力伸長並びに進学実績の向上を図ることを目的に「スクールTOMAS」を導入するというもので、現在2校で試験的に導入が進んでいる。1年生を対象に実施しているため、導入効果(進学実績)を確認するにはまだしばらく時間が掛かりそうだが、効果が確認されれば都立高校での導入進展も期待できるだけに、今後の動向が注目される。そのほか、駿台予備学校の映像授業コンテンツをアルバイト講師が不足している地域の「スクールTOMAS」で活用できるよう、駿河台学園と現在交渉を進めている。

同社では「スクールTOMAS」の導入校数について、当面の目標は100校としているが、潜在需要としては300校程度まで拡大余地があると見ている。「スクールTOMAS」についても、進学実績という結果を出し続けることで認知度を向上し、中期的に2ケタ台の高成長を目指していく。

「ハローe先生」は、学校内でのマンツーマン型の個別英会話指導で、契約当事者が学校法人となるBtoBtoC型事業モデルである点で「スクールTOMAS」と共通しており、シナジー効果は高い。「ハローe先生」の特長は、ネイティブスピーカーの英会話講師による英会話指導にある。国内でネイティブの英会話講師を確保することはコスト面で容易ではないことから、フィリピン・セブ島に「TOMASイングリッシュトレーニングセンター」を開設し、現地で講師を集めて日本の高校にオンラインで英会話指導を行うモデルを2017年に開発した。システム開発を含めた先行投資負担によりここ数年赤字が続いていたが、償却負担も一巡し、2020年2月期からは「スクールTOMAS」と同様に黒字化を実現しており、今後の収益貢献が期待される状況となっている。課題としては、オンライン英会話市場の成長に伴い参入企業が増加しており、価格競争が激化していることが挙げられる。いかに、サービス面で差別化を打ち出せるかが、今後の成長のカギを握ることになる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《EY》

提供:フィスコ

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