4812東証P貸借
業種 情報・通信業

電通総研 株価材料ニュース

5,320
+80
+1.53%
業績
(15:00)
PTS

(ー)
株価は20分ディレイ

サイバネット Research Memo(4):CAE分野で蓄積したノウハウ、技術力を基盤としたソリューション力が強み

特集
2021年3月31日 15時04分

■サイバネットシステム<4312>の会社概要

CAEソリューションでは世界トップのAnsysや光学系トップのSynopsysの製品が主力

3. CAEソリューションサービス事業

主力事業となるCAEソリューションサービス事業では、機械系や光学系、電機・電子系、制御系など分野ごとに様々なシミュレーション・ソフトウェア製品がある。CAEとは、ものづくりにおける研究・開発工程において、従来は試作品を作って実施していたテストや実験などを、コンピュータ上に作成した仮想モデルでシミュレーションし、分析する技術のことを言う。CAEソフトウェアを使うことで、試作や実験の回数を劇的に減らすとともに、実際には作れない物理条件下のシミュレーションも行うことが可能となる。開発効率の向上だけでなく、試作実験によって排出される廃材なども激減させる環境に配慮したものづくりの実現に貢献するソフトウェアと言える。適応範囲は自動車や電子機器・デバイスなどから機械・精密機器、医療分野に至るまで幅広い。

主力製品はAnsysのマルチフィジックス解析ツールで、構造・伝熱・電磁場・圧電・音響・熱流体・落下衝撃などあらゆる解析が可能な汎用解析ツールとなる。また、光学系については米国Synopsys<SNPS>の製品を主に取り扱っており、いずれも同領域では世界トップベンダーとなる。その他にも業界トップクラスの開発ベンダーの製品や自社グループ会社の開発製品を取り扱い、顧客ニーズに合わせて最適なソリューション提案を行っている。

ITソリューションではBroadcomの情報セキュリティ対策製品(Symantecブランド)が主力

4. ITソリューションサービス事業

ITソリューションサービス事業では、クラウド・セキュリティやエンドポイント・セキュリティなど各種情報セキュリティ対策ソフトウェア製品を中心となり、主要取引先ベンダーはBroadcom Ltd.(旧 Symantec Corporation)となる。そのほかのソリューションとしては、ビッグデータ可視化ソリューションやIoT、デジタルツイン構築支援等の先進的なソリューションサービスを提供している。デジタルツインとは、ものづくりの開発現場において実際に稼働している物理設備を仮想空間上(コンピュータ上)にモデルとして作成し、物理設備の情報をIoTセンサなどによってリアルタイムで収集、仮想空間に送ることで、仮想空間上に物理設備と同じ環境を再現し、物理設備の現在の状態を評価するほか、様々なシミュレーションテストを行う開発手法を指す。現実世界の検証データと仮想空間上のシミュレーションデータを合わせることで、ものづくりプロセスの高度化・最適化を実現するソリューションとなる。

5. 強みと事業リスク

同社の強みは以下の4点にまとめることができる。

(1) 経験に支えられた高度なノウハウ

CAEシミュレーション技術によって、ものづくりの研究開発や設計開発を30年以上にわたって支援してきた豊富な実績、積み重ねてきたノウハウや高度な技術力が財産となっており、他社には真似のできないソリューションを提供できることが強みとなっている。

(2) 幅広い専門分野とグローバルなパートナー網

CAEソフトウェアの最大手であるAnsysを筆頭に、国内外の有力ベンダー30社以上と提携し、50種類以上の製品の販売・サポートを行っているため、顧客の抱える様々な課題に対して、複数のソフトウェアやノウハウを組み合わせて最適なソリューションを提供できることが強みとなっている。また、顧客からのフィードバックを開発元ベンダーに伝えることで、開発ベンダーは製品の改良に生かしており、顧客・提携先の双方と強い関係を構築できている点も強みと言える。

(3) 安定性が高い収益構造と業界環境

同社の売上高の過半は、既存顧客から得られるライセンス更新料で占められているため、収益の安定性が高いことが挙げられる。さらに、CAE業界は競合が比較的少ないため、価格競争が起きにくい業界環境にあることも特徴となっている。企業にとって研究開発は競争力の源泉でもあることから、多少景気が悪化したとしても大きく需要が冷え込むこともない。こうした状況が同社の安定性の高い収益につながっているものと考えられる。

なお、CAEソフトウェアの販売代理店ビジネスにおける競合企業としては、Ansysの販売代理店である(株)IDAJや伊藤忠テクノソリューションズ<4739>、フランスのダッソーの販売代理店であるアルゴグラフィックス<7595>、ドイツのシーメンスなどの製品を取り扱っている電通国際情報サービス(ISID)<4812>などが挙げられる。

(4) 幅広い顧客基盤

現在、同社は国内外に14の連結子会社を展開し、グローバル企業や大学、研究機関を多く顧客に持っていることが強みとして挙げられる。顧客企業は国内だけで2,000社以上、研究機関で500機関(大学、研究所等)となっており、国内の大手製造業の大半は顧客となっている。

(5) リスク要因

リスク要因としては、代理店ビジネスが売上高の70%以上を占めている点にある。開発ベンダーとの販売代理店契約は、原則として非独占かつ短期間で更新されることになっている。開発元の変化、つまり、M&Aや経営者の交代によって販売戦略が変更となり、代理店契約が終了した場合は業績にマイナス影響を与えることになる。ただ、同社の主要取引先であるAnsysやSynopsysについては、日本法人を自社で開設するなかで同社を優良販売パートナーとして位置付け、良好な関係を構築していることから、現時点で契約が解除されるリスクは極めて低いと見ている。同社は、今後も開発元ベンダーや顧客との強固な関係を構築し、ほかとは替えの効かない存在となることで代理店契約解消リスクを低減していく方針となっている。とは言え、開発元の経営方針がM&Aなどによって変わる可能性もゼロではないため、継続して有望な開発ベンダーを探索し、製品ラインナップの拡充を図っていくほか、自社プロダクト製品の強化も同時に進めていく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《YM》

提供:フィスコ

株探ニュース

▶︎この銘柄を取引する

証券会社のアプリを起動して
この銘柄の取引画面へ移動します

株探からのお知らせ

過去のお知らせを見る
米国株へ
株探プレミアムとは
PC版を表示
【当サイトで提供する情報について】
当サイト「株探(かぶたん)」で提供する情報は投資勧誘または投資に関する助言をすることを目的としておりません。
投資の決定は、ご自身の判断でなされますようお願いいたします。
当サイトにおけるデータは、東京証券取引所、大阪取引所、名古屋証券取引所、JPX総研、ジャパンネクスト証券、China Investment Information Services、CME Group Inc. 等からの情報の提供を受けております。
日経平均株価の著作権は日本経済新聞社に帰属します。
株探に掲載される株価チャートは、その銘柄の過去の株価推移を確認する用途で掲載しているものであり、その銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
決算を扱う記事における「サプライズ決算」とは、決算情報として注目に値するかという観点から、発表された決算のサプライズ度(当該会社の本決算か各四半期であるか、業績予想の修正か配当予想の修正であるか、及びそこで発表された決算結果ならびに当該会社が過去に公表した業績予想・配当予想との比較及び過去の決算との比較を数値化し判定)が高い銘柄であり、また「サプライズ順」はサプライズ度に基づいた順番で決算情報を掲載しているものであり、記事に掲載されている各銘柄の将来の価値の動向を示唆あるいは保証するものではなく、また、売買を推奨するものではありません。
(C) MINKABU THE INFONOID, Inc.
各証券会社のスマホアプリを起動できます。アプリのインストールがまだの場合は、以下からダウンロードしてください。
SBI証券 株 アプリ
閉じる