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「2024年問題」のカギ握る、「物流DX」関連株が効率化需要で疾走する <株探トップ特集>

特集
2023年2月1日 19時30分

―課題山積みで変革迫られるビジネスモデル、持続可能な物流実現へ政府も本腰―

物流業界が変革を迫られている。インターネットショッピングの普及や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う個人向け小口配送の増加、慢性的な人手不足、燃料費高騰によるコストの増大、2024年度からのトラックドライバーへの時間外労働の上限規制などの適用に加え、カーボンニュートラルへの対応も求められているためで、国土交通省では「国民生活や経済活動に不可欠な物資が運べなくなる事態が起きかねない危機的な状況にある」と指摘している。これら課題を解決するためには、単なるデジタル化・機械化だけでなく、オペレーション改善や働き方改革も実現し、物流業界のビジネスモデルそのものを革新させる「物流DX」の推進が求められる。

●働き方改革で深刻化するドライバー不足

国交省と経済産業省、農林水産省は22年9月に「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を立ち上げ、今年1月17日には中間とりまとめ案を示した。課題の一つとして挙げられているのが労働時間規制などによる物流への影響で、トラックドライバーは24年4月以降、年960時間の時間外労働の上限時間が適用されることになっている。

同案では年間の拘束時間の上限を原則3300時間とした際に、荷待ち時間減少などの対策を行わなかった場合に不足する輸送能力について、19年度の貨物輸送量などと比較して輸送能力の14.2%(営業用トラックの輸送トン数換算で4.0億トン相当)が不足すると明記。不足する輸送能力を発荷主別で試算した場合の影響については、「農業・水産品出荷団体」が最も高く、次いで「特積み」「元請の運送事業者」「紙・パルプ(製造業)」となっている。

更にドライバー数の減少の影響も加味して30年度の物流需給ギャップについて試算した場合、輸送能力の34.1%(営業用トラックの輸送トン数換算で9.4億トン相当)が不足する可能性があるという。こうした影響が懸念されるなか、「荷待ち時間や荷役時間の削減をはじめとする物流生産性向上の取り組み、労働環境改善を通じた担い手確保の取り組み、モーダルシフトなどによりトラック輸送量を減らす取り組みを進めていくことが急務」とする方向性が示された。

足もとでは、物流センターの運営機能(業務)を提供するオペレーションサービス、及びルート配送やラストワンマイル配送などを担うトランスポートサービスなどを展開するファイズホールディングス <9325> [東証P]が1月31日、23年3月期通期の連結業績予想を上方修正したこともあり、物流関連株への関心が改めて高まりそうだ。

●効率化関連企業にビジネスチャンス

トラックドライバーの労働負担を軽減し、作業効率を上げることに役立つのが、荷物の保管や輸送に使用される箱型の「パレット」で、レンタル大手の日本パレットプール <4690> [東証S]やレンタル・販売を手掛けるユーピーアール <7065> [東証S]、吊りパレットを製造する信和 <3447> [東証S]、スチールパレットを扱うシンニッタン <6319> [東証S]のビジネスチャンスが広がりそうだ。

また、材料や製品が倉庫に入庫してから出庫するまでを管理できるシステム「WMS(Warehouse Management System:倉庫・在庫管理システム)」を展開するロジザード <4391> [東証G]、東計電算 <4746> [東証S]、関通 <9326> [東証G]などにも注目。倉庫自動化システムを手掛けるYE DIGITAL <2354> [東証S]、物流システムの企画・設計・製作・施工・販売・メンテナンスを行うトーヨーカネツ <6369> [東証P]、モノを動かすマテリアルハンドリング(マテハン)など物流ソリューションを提供するダイフク <6383> [東証P]、グループ会社が無人搬送車(AGV)を販売する田中精密工業 <7218> [東証S]、倉庫内運営と輸配送管理をトータルにサポートするトランコム <9058> [東証P]にも目を配っておきたい。

●椿本チ、凸版、みずほリースなどにも注目

このほか直近では、凸版印刷 <7911> [東証P]が物流DXソリューション「LOGINECT(ロジネクト)」の提供を開始すると発表した。第1弾として、物流業務で発生する倉庫内在庫や出荷実績、輸送車の積載量などのさまざまなデータを集約し、可視化することが可能な「LOGINECTデータ可視化」を開発、2月から提供する予定。このサービスを利用することで、在庫や輸送の状況が可視化され、物流業務における課題解決施策の検討が迅速に行えるという。

みずほリース <8425> [東証P]はこのほど、野村不動産ホールディングス <3231> [東証P]傘下の野村不動産が運営する物流DX推進プラットフォーム「Techrum(テクラム)」に参画した。同プラットフォームは野村不が、自動化機器の効率的な活用で物流オペレーションを最適化するために21年4月に開始した企業間共創プログラムで、みずほリースは物流DX化につながる物流ロボットなどの取り組みに積極的に関与していくとしている。

NEC <6701> [東証P]とソニーグループ <6758> [東証P]傘下のソニーセミコンダクタソリューションズは昨年12月から、人工知能(AI)カメラなどのエッジデバイスを活用した物流業界向けエッジAIセンシングソリューションの実証実験を行っている。これは倉庫における荷物の入出荷などオペレーションの効率化を目的としたもので、今年3月まで実施する予定だ。

椿本チエイン <6371> [東証P]にも注目したい。同社とグループ会社の椿本マシナリーは昨年11月、物流倉庫内の省人化やコスト削減、生産性向上に向け、KDDI <9433> [東証P]と業務提携した。3社の知見や技術を掛け合わせ、倉庫自動化システムの共同開発とベンダーフリーな倉庫自動化ソリューションのワンストップ提供に取り組み、倉庫自動化における検討・導入プロセスや運用監視の複雑さや課題を解決するとしている。

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