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明日の株式相場に向けて=日銀“チャレンジング狂騒曲”の顛末

市況
2023年12月20日 17時01分

きょう(20日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比456円高の3万3675円と大幅続伸。前日に続き先物主導で強烈な上昇気流が発生している。日経平均は一時600円を超える上昇で3万3800円台まで上昇し、7月3日につけた終値ベースでのバブル崩壊後高値3万3753円を上回る場面があった。引け際に手仕舞い売りで上げ幅を縮小したが2営業日で900円強の上昇は望外といえる。

前日に発表された日銀金融政策決定会合の結果は大規模金融緩和政策の現状維持であり、植田日銀総裁の記者会見でも相変らずハト派的印象が強く、マイナス金利解除に向けた思惑は再び遠のいた。「今回もまた植田総裁の“タカ派フェイント”にヘッジファンドが騙された格好で、パニック的な空売り買い戻しを誘い全体指数が押し上げられた」(準大手証券ストラテジスト)という。タカ派フェイントとはいうまでもなく植田総裁が今月7日の参院財政金融委員会で発した「年末から来年にかけて一段とチャレンジングな状況になる」というコメントのことを指している。これだけマーケットでマイナス金利解除に向けた思惑が高まっていれば、植田総裁が放つ言葉の一つ一つにも非常に重みがあるわけだが、12月上旬のタイミングでの、この「チャレンジング発言」については「年末から来年にかけて」というセンテンスが頭についている以上、マイナス金利解除のタイミングを示唆していると捉えられて当然。実際、植田総裁はそのニュアンスで言った可能性が高い。

しかし、今回の記者会見で植田総裁は経済の先行きに不確実性が高いことなどを理由に緩和継続を決めたとし、チャレンジング発言については、「政策の話ではなく、仕事への取り組み姿勢について気を引き締めるという意味で言った」と説明した。記者会見後は、来年1月の決定会合でのマイナス金利解除の可能性すら急速にしぼむ格好となった。これについて市場関係者は「苦しい弁明で、今回のアンワインド相場でショートポジションの後始末(損失)を余儀なくされた海外ファンド筋は『市場とのコミュニケーションが著しく欠如している』と憤慨していた」(ネット証券アナリスト)とする。

状況的にマイナス金利を解除するのであれば、この年末年始がまさにチャンスという見方もある。なぜなら、来年はFRBが利下げの機をうかがっている。FRBの動きと日銀の金融政策(が逆行すること)とは関係ないと植田総裁は強弁したが、「実際はなかなかそう簡単にはいかない」(前出のアナリスト)というのが実情だ。そして、来年3月までの段階でFRBが利下げに動く可能性は今のところ低そうだが、かといって日銀は3月の決定会合でマイナス金利解除を決めるのは難しい。「金融機関の決算期末直前に債券価格の見直しなどでブーイングの嵐になる」(同)からだ。とすれば、1月に解除を見送ると2月は会合がなく、結局4月以降にずれ込む公算が大きくなる。FRBが利下げのカードを切るタイミングと合致しかねない。ノンビリと構えてはいられないという思いが植田総裁にはあるはずで、それが参院財政金融委員会での発言につながったとすれば辻褄が合う。

しかし、マイナス金利解除をよしとしないのが政治の側だ。デフレ脱却を第一義とし、アコードを通じて緊密な連携を取ることを公言している岸田政権にとって、日銀が勝手に金融政策の正常化に動いてもらっては困るという思惑が働く。翻意を促す形で圧力が働いた可能性はないとはいえない。あくまで推論だが、これが海外筋からあり得ないとまで言われた植田総裁の苦しい弁明の真相ではないか。

個別株は半導体関連の強さが光っている。青空圏を翔ける野村マイクロ・サイエンス<6254>の背中を見ながらジェイ・イー・ティ<6228>が走り出すか否か。また、日本マイクロニクス<6871>も要マークだ。低PBR・高配当のバリュー株では小野建<7414>に着目。また程よい仕手性を持つ三菱製紙<3864>はPBR0.3倍未満、PER5倍台と驚愕の割安放置。高配当ではないが有配企業にしてこの数値はバーゲンセールかもしれない。

あすのスケジュールでは、国内では目立ったイベントはないが、IPOが1社予定されており、東証グロース市場にマーソ<5619>が新規上場する。海外ではトルコ中銀、インドネシア中銀、チェコ中銀が政策金利を発表する。また米国では、12月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数、23年7~9月期GDP確定値、11月の米景気先行指標総合指数、週間の新規失業保険申請件数などにマーケットの注目度が高い。(銀)

出所:MINKABU PRESS

株探ニュース

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