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エリアリンク Research Memo(4):国内ストレージ市場シェア50%、2025年に経常利益100億円を目指す

特集
2018年8月30日 15時24分

■中長期の成長戦略

1. 長期ビジョンと中期経営計画の概要

エリアリンク<8914>は中長期の成長について、中期経営計画と長期ビジョンの2つを策定し、その着実な実現を通じて中長期にわたる持続的成長の実現を目指している。

(1) 中期経営計画

同社は現在、2018年12月期から2020年12月期の3ヶ年中期経営計画に取り組んでいる。今中期経営計画では“ストレージ事業への集中”を基本方針としている。数ある不動産投資の業態の中で、ストレージ事業が最も成長ポテンシャルが大きいとの判断による(詳細は後述)。前述のように、同社はストレージ事業を大まかに3つのタイプ(屋外型コンテナタイプ、屋内型トランクタイプ、土地付きストレージ)で展開しているが、今中期経営計画においては、土地付きストレージの出店加速により収益拡大を目指す方針だ。

こうした決断に至った背景には、エンドユーザーのニーズの高いエリアへの出店が成長実現には不可欠だ、ということがある。それはすなわち、都市部の住宅街ということになり、土地付きストレージという商品は、まさにそうした地域への出店をスムーズに拡大するために産み出されたものだ(なお、土地付きストレージは、“アセット屋内型ストレージ”と呼称されることもある)。

土地付きストレージに注力する一方で、屋外型コンテナタイプも出店を続ける方針だ。屋外型コンテナタイプは都市部郊外をターゲット地域としており、土地付きストレージの外周を固めながら成長するイメージだ。

ストレージ事業への集中方針と、それに基づく土地付きストレージの出店加速によって同社が今中期経営計画で目指す業績数値は、最終年度の2020年12月期において、売上高43,414百万円、営業利益5,000百万円というものだ。同社が成長エンジンと位置付けるストレージ事業は、不動産運用サービスセグメントに属するが、同セグメントの業績は、最終年度において売上高40,412百万円、営業利益5,882百万円を計画している。2017年12月期実績を起点として2020年12月期までの3年間の年平均成長率は、売上高27.2%、営業利益23.4%となる。

不動産運用サービス事業の中のストレージ事業だけを取り出し、さらにストレージ運用とストレージ流動化に分けると、売上高、営業利益ともに、ストレージ流動化事業の年平均成長率が、ストレージ運用のそれを大きく上回って成長をけん引する構造となっていることがわかる。言うまでもなく、ストレージ流動化の収益のほとんどは土地付きストレージの販売にかかるものだ。

室数の推移を見ると、土地付きストレージは2018年12月期から出店が急拡大し、2018年12月期末には前期末の1,319室から一気に増加し、5,000室に達する見通しだ。その後も倍増ペースが続いて2020年12月末時点では20,000室に達する計画となっている。ただし、部屋数については、顧客ニーズを見ながら部屋の区切り方が変わるため、出店計画以上に変動する可能性があると弊社では見ている。仮にこの計画どおりに室数が増加すれば、総室数の年平均成長率が14.4%であるため、ストレージ運用売上高のそれも、現在の計画である10.6%を超えてくる可能性があると考えられる。

(2) 長期ビジョン

同社は、“未来型理想企業”を長期的に目指す企業像として掲げている。未来型理想企業の具体的内容としては、“従業員1人当たりの経常利益1億円の達成を目標にまい進する”、“欧米の論理性と日本の丁寧さ、緻密さを融合したマネジメントで世界展開”を掲げている。当面の数値目標としては、“国内ストレージ市場シェア50%”、“2025年に正社員100人で経常利益100億円”を掲げている。

こうした長期ビジョンの実現に向けて、同社は1)ビジネスモデル、2)人材、3)マネジメントの3点を重点取組事項としてピックアップしている。それぞれをブラッシュアップ(磨き上げ)するだけでなく、相互作用(掛け合わせ)によって効果を最大化することを目指している。同社の成長戦略の根幹はここにあると言える。

1)のビジネスモデルについては、ストレージ事業で国内シェアNo.1を目指すことがテーマとしてまず挙げられている。その具体的成長エンジンはと中期経営計画の項で前述したように、土地付きストレージの出店加速と屋外型コンテナタイプの継続出店だ。これに加えて、海外展開(アジアへの出店)と、国内における物流企業、小売企業などとの異業種協業による事業拡大をテーマに掲げている。土地付きストレージの事業モデルでは販売というプロセスが加わるため収益が急拡大する爆発力があるが、同時に土地仕入や販売面での実力が要求されることになる。

2)の人材に関しては、少数精鋭主義で臨むことを基本方針としている。少人数でも1人当たりの生産性・収益性を高めることで、収益規模の拡大は可能だという考え方がベースにある。それゆえ同社は、人材の育成のために各種研修の充実と実施に注力しているが、重要なのは教育の理念だ。同社の林社長は、常に自ら考え、前向きに人生を楽しみながら働く社員像を人材教育の根本に置いている。それに加えて、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション、AIや機械学習技術を活用した業務の自動化)の導入や在宅・パート社員の活用などにも積極的に取り組んでいる。

3)のマネジメントでは、“残業が少なく休日が多く、給与の高い会社”の実現を目指している。この実現には、一人ひとりの社員のレベルアップが不可欠であるが、その先には理想的な職場環境があるということで、これは2)と3)がポジティブスパイラルを形成する状態と言える。こうしたモチベーションアップの仕組みづくりに加えて、現在はESGへの取り組みも強化している。具体的な例としては、トランクルームを通じた地域貢献ということで、大田区と防災協定を締結し、トランクルームの無償提供を行っている。これは帰宅困難者向け備蓄品の保管庫として活用されている。また、働き方改革を促進する観点から、本社移転を機にオフィスのデザインやレイアウトを一新し、頭脳労働型ワークスタイルへの変革を促すものへと変更した。

こうした取り組みは着実に成果を上げつつあり、同社は“社員100人で経常利益100億円”という目標を、従来の2025年から2023年に前倒しで実現することを目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)

《NB》

提供:フィスコ

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