■要約

1. 厳しい環境においても継続的な成長を実現、業績は過去最高を更新

USEN-NEXT HOLDINGS<9418>は、飲食・小売など業務店やホテル・病院・オフィスといった各種施設に、音楽配信を軸に店舗・施設の運営やDX（デジタルトランスフォーメーション）に必要な各種機器・ソリューションを提供している。個人向けには、映画や電子書籍などを配信するサービスを行っている。2017年12月に(株)USENと(株)U-NEXTが再統合して同社が設立された。これによりキャッシュカウな音楽配信からコンテンツ配信事業など成長事業へと資金を還流して成長を促すとともに、グループ各社の持つ強みや販売チャネルを生かし主力商品をクロスセルすることで相乗効果を生んできた。このため、新型コロナウイルス感染症拡大（以下、コロナ禍）から、ウィズコロナという厳しい環境変化においても継続的な成長を実現し、業績は過去最高を更新し続けている。

2. 音楽配信で培った厚い顧客基盤と営業力という強みを5つの事業で共有

同社は5つの事業を展開している。コンテンツ配信事業では、定額制配信サービス「U-NEXT」を通じて個人向けに映画や電子書籍などのデジタルコンテンツを提供している。店舗サービス事業では、店舗・施設向けに音楽配信や音楽著作権の管理を行うほか、店舗DXの商材・サービスなど店舗運営に関するあらゆるソリューションを展開している。通信事業では、法人向けICTや業務店向け自社光回線の販売・サービスなどを提供している。業務用システム事業では、ホテルや病院などに対し自動精算機や業務管理システムなどの販売・保守を行っている。エネルギー事業では、店舗サービス事業を支援する商材として電力やガスの販売を行っている。各事業がそれぞれに強みを持つほか、グループ全体として音楽配信で培った厚い顧客基盤と営業力という強みを共有している。

3. 「Paravi」統合で中期的な業績貢献とコンテンツ配信業界トップ追撃を期待

同社は「U-NEXT」とキー局系動画配信サービス「Paravi」を統合した。「Paravi」がテレビ局のコンテンツを幅広くラインナップしていることから、豊富なコンテンツというコンテンツ配信事業の強みがさらに増すことが予想される。短期的な統合効果は、「Paravi」の業績や統合作業からややネガティブなものになりそうだが、足元の好調さによりある程度カバーできると思われる。2024年8月期以降はラインナップの充実のほか、ユーザー基盤の拡大、ブランディングの強化、新サービスの創出、コスト抑制など統合効果が続々発現し、中期的に業績向上への貢献は非常に大きいものになると考えられる。

4. 足元業績は総じて順調、業務用システム事業と「Paravi」も2024年8月期には増益貢献へ

2023年8月期第2四半期の業績は、売上高133,732百万円（前年同期比17.3%増）、営業利益9,544百万円（同7.9%増）となった。通期業績予想に対する進捗は非常に順調に推移したが、2024年の新紙幣発行に備えた買い控えなどにより、ウィズコロナのなかで環境好転が期待された業務用システム事業の業績が想定外に伸びなかった。同社は2023年8月期の業績見通しを、売上高247,000百万円（前期比3.8%増）、営業利益18,400百万円（同6.2%増）としている。業務用システム事業への懸念と「Paravi」統合の影響から期初予想のままになったと推測するが、いずれも2024年8月期には増益貢献に転じることが見込まれている。このため中期経営計画も、アップサイドケースでの進捗を続けることが期待される。

■Key Points

・ウィズコロナの厳しい環境でも継続的な成長を実現、業績は過去最高を更新

・コンテンツ配信事業で中期的に「Paravi」統合効果を期待、マーケットシェアはNetflixに次ぐ第2位

・中期経営計画進捗もアップサイドケースで持続

（執筆：フィスコ客員アナリスト　宮田仁光）

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提供：フィスコ

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