大荒れだろうが全額投資を続ける!~「フルインベスター3人衆」座談会-第3回
長期成長テーマの鉄板「高齢者関連」銘柄は、ココに注目
登場する銘柄:ルネサンス<2378>、コメダホールディングス<3543>、燦ホールディングス<9628>、ハークスレイ<7561>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
こうした環境の中でも全額投資を掲げるフルインベスターのすご腕投資家さんがいる。『株探』では、そんな「フルインベスター3人衆」に集まってもらい、2019年の投資戦略や注目銘柄を語ってもらう座談会を開催した。
前回の座談会2回目では、長期投資を見据えて「市場全体が伸びている業界の銘柄」や、投資家の認識と実際の姿のギャップを狙う「実は○○銘柄」に着目する投資戦略を紹介してもらった。3回目の今回も引き続き『会社四季報』の最新号(2019年新春号)を参考にしながら、厳寒相場に立ち向かう方策を探っていく。
――今回は、www9945さん(ハンドルネーム・以下、9945さん)を中心に話を進めていきます。9945さんの銘柄選びの特徴は、世の中の移ろいゆくさまを街角ウォッチングなどで感じ、その変化の波に乗りそうな銘柄を『会社四季報』で抽出していく方法だと思います。
もちろん四季報の情報から世の中の変化を感じ、それを街角ウォッチングで確認するパターンもあると思います。最新号の『四季報2019年新春号』では、どんな変化が読み取れましたか。
9945さん: 私が『四季報』を読み際に意識していることは大きく2つあり、1つは月足チャートが右肩上がりで上昇しているのかを確認すること。もう1つは、社会の変化の波に乗って成長しそうな有望テーマを決めて、それに合致しそうな銘柄を探すことです。
キーワードⅵ~「高齢化関連を横断的に攻める!」
今回私が注目したテーマは「高齢者関連」です。ありきたりと思われうかもしれませんが、足元の業績見通しがぐらつきそうな局面では、長期的に成長期待の高まるテーマに投資家の関心が向くと考えたからです。
高齢者関連で有望視しているのが、スポーツクラブのルネサンス<2378>、コーヒーショップのコメダホールディングス<3543>(以下、コメダ)、葬儀を行う燦ホールディングス<9628>(以下、燦HD)ですね。燦HDは、葬儀大手の公益社を傘下に持つ会社です。
投資歴約25年の現在は専業投資家。年収300万円の清掃員時代に、100万円を元手に始めた株式投資で4億円以上の財産を築きあげたサラリーマン投資家の星。投資スタイルは割安株重視で、高配当でじわじわと上昇する銘柄が好き。日本株以外にも米国株やベトナムなどの海外の割安株にも手を広げている。趣味は銘柄発掘も含めた街角ウォッチング。株探プレミアム専用コラム「すご腕投資家さんに聞く 『銘柄選び』の技」に参考記事を掲載。
―― 一口に高齢者関連と言っても、注目した銘柄の業種はかなりちらばっていますね。
9945さん: はい。四季報のコメント欄を見ながら、高齢者関連ビジネスを手掛けているところで、キラッと光るものがないかを探してみました。
鍛えるだけでなく回復のための施設も追加
まずルネサンスですが、とにかく月足チャートの動きがきれい。度々の調整をこなしながら、12カ月の短期線、24カ月の中期線、60カ月の長期線ともにきれいに上昇トレンドを描いています。それから予想PERも約14倍と、そう高くないのも魅力的です。
■ルネサンス <2378> の月足チャート
さらに見ていくと、コメント欄には「20年3月期はFC展開加速のリハビリ施設が寄与へ」の文字が並んでいます。これに目を奪われて同社のウェブサイトにアクセスしたところ、最近は「元氣ジム」という、脳梗塞などの後遺症を抱えた高齢者向けのリハビリ施設の運営に力を入れていることが分かって益々興味を持ちました。
■「元氣ジム」を紹介するルネサンスのホームページ
スポーツクラブは最近かなり増えて競争が激しくなる一方ですが、サービス内容はどこも変わり映えがなく、差違化によって競争優位を図ろうとしている企業が少ないように感じていました。ところがルネサンスは、打開策を探って手を打ち始めていました。儲かっていない通常のスポーツジムの店舗はこの元氣ジムや、暗闇の中でエクセサイズする新感覚のスタイルのジム、24時間営業のジムなどにリニューアルしています。その効果は収益に表れ、2019年3月期も最高益を更新する見込みです。
登場したばかりの元氣ジムについても変化を加え、最近は高齢者向けではなく、「ジュニア」として、障害者や事故にあった子供たちのリハビリ支援などを行う店舗も増やしており、こちらも新たなマーケットとして拡大が期待できそうです。
最近、ネットを活用した定額使い放題のサブスクリプション・サービスが注目されていますが、スポーツジムはこの言葉が注目される前から実施していました。
キーワードⅶ~「定額課金システムは手堅し」
とりでみなみさん(ハンドルネーム・以下、とりでさん): 「サブスクリプション効果」はここ最近の注目キーワードで、サービスも広がっています。デジタルの世界では、雑誌から最近、映像と分野を広げています。次はどんな分野でサービスが始まるのか、気になるところです。
例えば居酒屋さんなどが提供する飲み放題プラン。なんと3000円払えば30日間ビールやチューハイが飲み放題になるプランを出す店が出てきました。これを行動経済学で分析するとすごく面白い。前払い(「サンクコスト」)によって、通わないと損と思わせリピート率を上げることで食材の回転が良くなると共に、混雑から人気店と判断される「ハーティング効果」を狙うことができます。
また、人はお金に関して複数の基準を設け、無駄遣いを戒める一方で、「これは自分へのご褒美」と散財してしまう非合理的な行動を取ってしまう「メンタルア・カウンティング(心の会計)」を使うこともできそうです。
―― どういうことですか?
とりで: 通常、お客は食べ物と飲み物を合わせた金額を基準にしますが、飲み放題サービスによって、1回あたりの支払い代金の基準が食べ物のみになってしまうことがあり得ます。例えば、これまでは1回あたり飲食込みで3000円を目安にしていたのが、食べ物だけで同額を支払ってもらえるようになる。店側にとっては客単価の上昇になります。
また人は自分が保有しているものを過大評価してなかなか手放さい「保有効果」によって、飲み放題プランを購入し続ける顧客が一定割合で確保できる可能性もあります。
投資家として、サブスクリプション・サービスを評価できるところは、キャッシュフローがある程度読みやすくなるということです。サブスクリション・サービスのほとんどは月単位で契約を更新するので、新規に契約しても1カ月後には解約されることはあります。
ただ、特段の意思表明がない場合は契約を自動継続する場合が多く、お客側からすると手続きが面倒で契約を解除しないこともある。会社側からすれば、利用されなくても会費だけ毎回落ちてくる状態にもなります。
IT関連企業に勤める兼業投資家。投資歴は約17年。使用中の証券口座のパスワードを度々忘れてしまうほどの、自称「超・長期投資家」。銘柄選択をじっくり行い、あとはほったらかしにして長期的な株価上昇を待つスタイルを基本方針とする。投資する銘柄の市場全体の成長力を重視し、5~10程度の主力銘柄に絞った投資を行う。2017年に「億り人」達成、現在も着実に資産拡大中。
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