窪田朋一郎氏【下げ止まった日経平均、相場反転の可能性は】(1) <相場観特集>

特集
2019年3月11日 18時30分

―覆いかぶさる世界景気減速懸念、マーケットの行先―

週明けの東京株式市場は日経平均株価が5日ぶり反発に転じた。前週末までの4営業日続落で800円近い下げをみせていたこともあって、値ごろ感からの押し目買いを誘発したが、反騰力は弱く今のところ自律反発の域を出ていない。世界的な景気減速懸念が投資家心理を冷やしているが、ここからマーケットは一段と下値を試すのか、それとも立ち直って再び上値指向を取り戻すのか。1ドル=111円台を割り込むなど足もと円高に振れている為替動向も気になるところだ。今回は、株式市場の第一線で活躍する証券関係者2人と為替のスペシャリスト1人に今後の見通しを聞いた。

●「世界景気や企業実態を考慮して下値リスクに備える」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

日経平均は2月初旬の下げから立ち直りジリ高歩調にあったが今月4日にマドを開けて十字足をつけたところで目先の天井を形成し、米株安に追随する形で再び下値を試す局面に移行している。これまでの米国株高を牽引したのは空売り比率の高い銘柄であったことが指摘されているが、それらの銘柄の買い戻しが一巡したことで3月相場は株式需給面から潮目が変わった。そうしたなか、中国に限らず欧米や日本で景気減速を示唆する指標が相次いだことで、ファンダメンタルズ面から株価の調整を促す格好となっている。世界景気や企業実態を考慮した際に、目先的には依然として下値リスクが警戒される局面にある。

週明けの東京市場では中国・上海株市場が頑強な値動きをみせたことで投資家の不安心理がやや後退、前週の反動で値ごろ感からの買いが優勢となっているが、市場エネルギーは乏しく、今後も不安定な動きが予想される。注目された米雇用統計は雇用者数の伸びは市場予想を大きく下回ったとはいえ、これは寒波による一時的な影響による部分が大きい。一方で平均時給は想定以上であり、米景気の実勢は決して弱くはない。マーケットにはポジティブな材料とみてよいが、日本時間21日の未明に判明するFOMCの結果は比較的タカ派寄りに傾く可能性があり、この点は注意が必要となる。

中長期視野に立った場合、日経平均は2万円~2万2000円のボックス圏往来とみており、ここからはボックス下限をうかがう展開が想定される。短期的には13週移動平均線が位置する2万700円近辺が下値抵抗ラインとして意識されるが、ここを下に抜け2万円大台攻防まで水準を切り下げる可能性も否定はできない。日本株は3月決算期末を控え国内機関投資家に買いポジションを高める動きは期待しにくいうえ、個別企業の業績をみても日米ともに足もと悪化傾向が目立っており、実需の買いが入りにくい状況にある。

物色の方向性としては、短期的には売り込まれた機械や電機セクターのリバウンド狙いの買いが奏功する可能性はある。しかし、中長期的には電力や水産株などのディフェンシブストックに有利な地合いとみている。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)

松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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