【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ 突然の春の雷鳴が告げるのは失速か蘇生か?
「突然の春の雷鳴が告げるのは失速か蘇生か?」
●日欧中の経済指標が不安を増幅
春風相場に異変だ。絶好調とまではいえないものの、まずは堅調な展開を続けていた春風相場に、想定外の突風だ。
実際の天候も変調気味で、8日夜には私の住む横浜では雷鳴があった。いわゆる春雷で、不意打ち的なそれだったため、当然びっくりだったが、気象学的には寒冷前線の通過時に発生するとされている。
しかし、同時にそれは、春の訪れの3月から5月頃に発生する雷。寒冷前線の通過時に発生する界雷で、この雷雨はよくひょう(雹)を伴う。春の到来を伝える雷ともされていて、冬眠していた地中の虫たちが雷鳴に驚き目覚めるという。
株式市場でも同じ現象が見られるのか。
すでに多くの銘柄たちが、昨年12月に叩き込まれた谷底(虫なら地中)から這い上がりはじめていることから、一足先に目覚めたと見てよい。
今後は目覚め期から活動期に入るかどうか。この点どうなのか。
現在の急反落要因が、今年の世界経済の減速懸念によるものであることから、市場の回復確率は高いと見てよい。
世界経済が減速するのだったら、株はさらに下げるのではないか。
こういうことになろうが、減速の可能性はすでに昨年から予測されていたこと。新たな予測ではない。
ただ、現在懸念が高まっているのは、それを加速させる指標の発表が相次いでいるから。代表的なものが、中国の経済成長率目標の引き下げだ。前年の6.5%を6.0~6.5に引き下げたのだ。微妙な引き下げ方だが、基本的には減速に備えた引き下げになる。
直近では欧州中央銀行(ECB)も19年のユーロ圏の経済成長率見通しを、従来の1.7%から1.1%へ引き下げた。
そして日本。こちらは1月の景気動向指数(2015年=100)の速報値が、前月より2.7ポイント低い97.9。5年7ヵ月ぶりの低い水準だった。悪化は3ヵ月連続となったことで、内閣府が景気の基調判断を「足踏み」から、「下方への局面変化」へと変えたのはすでにご承知の通りだ。
●各国の経済対策が買い戻しを後押し
要するに、世界経済は減速方向に向かう。こんな見方を再確認させられる形になっていることで、
「とても新規投資はできない。」
こうなっているわけだが、ここから見込めるのは、各国の経済失速阻止策だ。米国はすでに市場金利の引き上げを凍結しているし、ECBも同様の方針を表明した。
中国は李克強(リー・クォーチャン)首相が、5日の政府活動報告で2019年に2兆元(約33兆円)規模の減税と社会保険料下げを実施すると表明した。
これらによりすぐに経済の失速を防げるものではないものの、どうしようもない状況に陥ることは阻止できる。
株式市場はそれだけでも安心するので、今後は買い戻しが優勢になると見てよい。
そこで注目は、まずはこのところ上昇を続けていたものの、市場全体の失速から連れ安してしまった銘柄の中から、楽天 <4755> だ。同社が首位株主となっている米配車サービス大手リフトが上場申請したという材料は引き続き魅力的だ。
理系研究職や研究補助人材の派遣に強いWDBホールディングス <2475> も株価が急落した。下げればよいというものではないが、収益好調が続いていることを考えると蘇生は早いと見てよい。
ゴーン元日産CEOの保釈で弁護士の存在感が高まったことを考えると、弁護士ドットコム <6027> [東証M]も評価が高くなる。株価は目先反落ながら、下げ止まりから続伸へという展開が見込める。
宿泊施設向け予約管理システムに強い手間いらず <2477> [東証M]も、緩やかに浮上中だったが、下値支持ラインの2200円近くまで下げてきたので拾っておきたい水準だ。
ネットで印刷を低価格で仲介提供する「ラクスル」を運営するラクスル <4384> [東証M]も高値から反落中であり、新元号の発表が控えていることを考えると印刷需要の急増が予見される。株も蘇生確率が高い。
最後にルックホールディングス <8029> を。かつてのレナウンルックであり、一時は経営危機に陥っていたが、いまは蘇生鮮明。株式市場もそれに気づき、次第に評価し直しそうだ。
2019年3月8日 記
株探ニュース