ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (9)市場の評価をチャートで確認しよう

特集
2019年11月28日 10時30分


「株価のトレンドで織り込み度合いを確かめてリスクを減らす」

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆トレンド系のチャート(1) 「平滑移動平均線」「一目均衡表」

株価の動きを表したチャートは、大きくわけて二つに分けられます。株価の方向性、いわゆるトレンドを表す「トレンド系のテクニカル指標」と、株価の過熱感を表す「オシレーター系のテクニカル指標」です。一般的に「指標エリア1」ではトレンド系、「指標エリア2」ではオシレーター系のチャートが表示されます。

トレンド系のテクニカル指標では、株価が上昇(もしくは下落)基調にあるのか、いわゆる方向性を分析することができます。一方、オシレーター系のテクニカル指標では、株価が売られすぎ、もしくは買われすぎであるか、いわゆる過熱感を分析することができます。前回の8回目(大化け期待の有望成長銘柄をチャートで探そう)では、株価の動きは3パターンに分けられることを解説しました。トレンド系のテクニカル指標とオシレーター系のテクニカル指標では分析できる内容が異なるため、利用する場面が異なってきます。どちらかを利用するのではなく、それぞれを適した場面で使い分けることが大事です。

今回は「指標エリア1」で表示することができるチャートをみていきましょう。なお、どのチャートでも、表示されている線の詳細(数値データ等)は左下の枠内に記載してあります。このデータを表示する枠がチャートに重なって邪魔な場合はドラッグして移動させることができます。

「平滑移動平均線」は、普段よく使っている移動平均線の欠点を補正するために、過去の数値よりも直近のデータにより比重を置いて算出された移動平均線です。使い方は通常の移動平均線と同じです。

自分で計算して間違えると大変ですから計算式の紹介はここでは省きますが、過去の値動きを切り捨てることなく直近の価格に比重を置いて算出しているため、移動平均線よりも実際の値動きに近いと言われていますから、利用してみても損はないでしょう。興味があれば計算式を確認してみてください。

図2 「一目均衡表」チャート

【タイトル】

次が「一目均衡表」です。一目均衡表では、株価を表すローソク足の他に「転換線」(株探では青色)、「基準線」(緑色)、「遅行線」(黒色)、「先行スパン1」「先行スパン2」(ピンクと濃緑色)で構成されています。チャート上の薄緑色で塗られた部分(先行スパン1と先行スパン2に挟まれた間の部分)が抵抗帯(雲)になります。

一見すると、他のチャートに比べると線が多いため複雑そうに見えますが、一目均衡表には時間の分析を行えるというメリットがあります。

株価の動きによっては、先行スパン1と先行スパン2の位置関係は常に変化して入れ替わります。そのため、雲の大きさが厚くなったり、薄くなったりします。先行スパン1と先行スパン2の上下が入れ替わるタイミングでは二本の線が交差します。この交差したタイミングを「変化日」と呼び、株価のターニングポイントになりやすいと言われています。

転換線と基準線は時間軸の異なる移動平均線のようなものだと覚えてください。転換線が基準線を下から上に突き抜けるタイミングを買いサインとします。反対に、転換線が基準線を上から下に突き抜けるタイミングを売りサインとします。

雲は一般的に、雲に厚みがある場合には抵抗力が強いとされ、厚みが薄い場合には抵抗力が弱いとされています。株価が雲に跳ね返されずに、下から上に突き抜ける場合は、株価上昇の勢いが強いことになります。反対に、株価が雲に跳ね返されずに、上から下に突き抜ける場合は、株価下落の勢いが強いことになります。

代表的な売買シグナルとしては、(1)株価が雲の上にあり、(2)転換線が基準線の上にあり、(3)遅行線が26日前の株価を上に突き抜けた場合は「三役好転」と呼ばれる買いサインになります。反対に、(1)株価が雲の下にあり、(2)転換線が基準線の下になり、(3)遅行線が26日前の株価を下に突き抜けた場合は「三役逆転」という売りサインになります。 

次ページ:トレンド系のチャート(2) 「ボリンジャーバンド」

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