ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (9)市場の評価をチャートで確認しよう
「株価のトレンドで織り込み度合いを確かめてリスクを減らす」
◆トレンド系のチャート(2) 「ボリンジャーバンド」
その次が「ボリンジャーバンド」です。ボリンジャーバンドは、過去の株価の変動幅を元に、現在の株価がどの程度の水準にあるのかを表したチャートで、移動平均線とそれ以外の線(標準偏差を使って算出された線)で構成されています。ちなみに、標準偏差とは、平均からデータがどれくらいばらついているか(離れているか)を数値で表す統計で使われる用語で、ばらつきの集まる確率をσ(シグマ)で表します。
日足のボリンジャーバンドの場合、真ん中に引かれている線が25日移動平均線で、「ミッドバンド」と言います。ミッドバンドを中心に、上部と下部のそれぞれに3本(少ない場合もあります)の線が引かれ、ミッドバンドを中心に上がプラス圏、下がマイナス圏になります。ミッドバンドから一つ外側の線が「プラス(マイナス)1σ(シグマ)」、二つ外側の線が「プラス(マイナス)2σ」、三つめの一番外側の線が「プラス(マイナス)3σ」と呼ばれます。
図3 ボリンジャーバンド
株価は基本的に、ミッドバンドを中心とした比較的に狭い変動幅の中で収まる確率が高いとされています。株価がミッドバンドからプラス圏にある場合、プラス2σ、3σに近づくほど買われすぎとされています。反対に、マイナス圏にある場合、マイナス2σ、3σに近づくほど売られすぎとされています。そして、ミッドバンドから上か下かに離れたら、再びミッドバンドに戻ってくると考えられています。
ちなみに、株価がどんなに動いても、プラス・マイナス2σの中に収まる確率が95%程度、プラス・マイナス3σの中に収まる確率が99%程度と言われています。過去の株価の動きから算出されますので絶対ではありませんが、プラス・マイナス3σからはみ出るような時はそれだけ極端な事態だと言えますから注意が必要です。
また、株価の動きが小さい場合や、株価が一定の範囲内で動いている場合には、バンドの幅は縮小傾向となります。この状態を「スクイーズ」と言います。一方、株価の動きが大きい場合には、バンドの幅は拡大傾向となり、トレンドを形成する場合があります。これを「エクスパンション」と呼び、株価がバンドが拡大した方向に合わせて動くことを「バンドウォーク」と言います。株価のトレンドが発生している場合には、バンドウォークしているトレンドに合わせて取引していくことが大切です。
なお、「指標エリア1」「指標エリア2」ともに、「無し」の項目があります。「指標エリア2」で「無し」を選択すると、下段の領域まで上段のチャートの表示を大きくすることができます。
図4 株価チャートは上段の縦幅を拡大することも可能
これまで本連載の7、8、9回では、トレンド系チャートの見方を中心に解説してきました。トレンド系チャートで確認することは、5、6回で行った企業業績の評価を過去から現在、そして、将来にわたってどれだけ株価に業績を織り込んでいるのか、株価の方向性を使って分析することです。大化け期待の有望成長銘柄を探す時には、欠かすことができないチャートだといえるでしょう。
とはいえ、こんなにたくさんのチャートを利用すれば必ず儲かるというわけでもありません。人それぞれ売買手法が異なりますから、自分の売買手法にあったチャートを利用すればよいのです。
そして、株式投資では、明日の株価がどうなるのかは誰にもわかりません。だからこそ、過去の株価の動きを参考にして売買を行っている多くの投資家が使っているチャートを利用して、その大きな流れに乗ることが損失を被るリスクを低減する上でも大事なのです。
慣れるまでは正直、面倒かもしれませんが、まずは使いやすいチャートから利用してみることをおススメします。
次回以降は、株探で使えるオシレーター系チャートの基本情報などを解説していく予定です。
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