ゼロから始める「株探」の歩き方 ― (14)有望成長株は花開く瞬間を待っている!

特集
2020年2月14日 10時30分

「企業が発表する情報を読み解き、急騰銘柄を探そう」

横山利香(ファイナンシャルプランナー、テクニカルアナリスト)

◆重要度の高い「決算」、お勧めは「決算速報」の活用

次に「決算」のタブでは、企業が発表した決算短信や業績修正、配当予想の修正などを時系列で確認することができます。これらのリリースは株価に影響することも多く、「会社開示情報」の中でも最も投資家の注目度の高いカテゴリーとなっています(図5参照)。そして、「追加・訂正」のタブでは、決算短信を補足するための説明資料や決算短信の発表後に出された数値データの訂正などがまとめてあります。

図5 「決算タブ」と「追加・訂正タブ」

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これらは、本連載の12回(株価急騰・急落の材料はこうして調べる)で解説した個別銘柄の基本ページの「ニュース」のタブからも確認することができます。また、13回(いち早く急騰・急落株の材料をキャッチして飛び乗ろう!)で解説した「市場ニュース」の緑マークの「決算」や、第5回で解説した「決算速報」のどちらからでもアプローチすることができます。ざっくりとではありますが、「決算速報」では見出しを見ただけでさまざまな企業の決算内容を把握することができますから、個人的には「決算速報」を利用した方が便利だと思います(図6参照)。さらに、市場ニュースの「決算」では一部銘柄については掲載が省略される場合がありますが、「決算速報」では決算・業績修正を発表した全企業について確認できますから、この点でも「決算速報」の利用をお勧めします。

図6 グローバルナビからアクセスできる「決算速報」

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◆1株当たり利益の増加をもたらす「自社株買い」

ところで、企業が決算などを発表する時に、その他の追加の情報を発表する場合もあります。これらの情報は「自社株取得」「エクイティ」「追加・訂正」「その他」に記載されていますから、必ず確認しましょう(これらは単独で発表される場合もあります)。

まずは「自社株取得」からみていきましょう(図7参照)。自社株取得は自社株買いのことです。このページでは自社株を消滅させる「消却」の情報も確認することができます。

自社株買いとは、過去に発行した自社の株式を、企業自らがお金を使って直接買い戻すことです。自社株買いが行われると、市場に流通する実質的な株式数は自社株買いが行われた分だけ減少します。仮に、企業が発表している利益に変化がない場合、一株当たりの利益はこの減少した株式の分だけ増加することになります。自社株買いを行っても発行された株式の総数そのものは変わりませんが、1株当たり利益の計算では会社が保有する自己株式数を差し引いた株式数が使われるためです。また、会社側が自社株買いで取得した株式を消却した場合、発行済株式総数が減り、同様に1株当たり利益が増加します。このケースでは自社株買いで取得された株式が将来的に再度、市場に流通する可能性もなくなることになります。

株主の視点で自社株買いをみた場合、企業の利益が変わらなくても一株当たりの利益は増加することになります。株主への利益還元策と考えることができますので、好材料と判断されて買いが集まることも多くあります。

図7 好材料の「自社株取得」だが、行動を伴うかをしっかりと確認

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さらに、企業の視点で自社株買いを考えた場合、自社が保有する持ち株の比率を高められますし、敵対的買収(TOB)を仕掛けられそうになった時に対抗することもできます。最近では、アクティビスト(物言う株主)として知られる米国の投資ファンドであるエリオット・マネジメントが東証一部に上場しているソフトバンクグループ <9984> の株式を取得し、数百億ドルの自社株買いなどを求めているとの報道がなされ、孫正義社長が2月12日の決算会見で、自社株買いの可能性についても発言しました。また、不動産会社で東証一部に上場しているユニゾホールディングス <3258> が敵対的買収を仕掛けられたことをきっかけに、ファンドによる買収合戦が激化したのは記憶に新しいところです。ユニゾホールディングスの例では買収防衛策に自社株買いは使われていませんが、今後、増加も予想される敵対的買収への防衛策として重要性が高まりそうです。

ただし、自社株買いについては、自社株買いの取得枠の設定を発表しても実際には行動を伴わない不誠実な企業がある点には注意が必要です。その一方で、毎年定期的に自社株買いを行っている企業もあります。企業が発表しているリリースを過去に遡って、本当に自社株買いを行っているのかどうかなどを必ず確認しましょう。

次ページ:「エクイティ」、プラス材料の株式分割とマイナス材料の増資・売り出し

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