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株価は今後、上下に強烈に振られる!? で、注目する「一石二鳥」の指標は

特集
2020年12月9日 10時00分

大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第54回

パフォーマンスの計測方法はファクター単独の場合と同様ですが、条件としてマージンと売上高成長率の5分位(上位下位20%)の高低の組み合わせの「双方」を満たす銘柄を抽出しています。

■マージンと「売上高」成長率の組み合わせ別パフォーマンス

【タイトル】

出所:データストリーム

高マージン・高成長率が突出しアウトパフォームしているのは想定通りで、その安定した高リターンは想像以上と言ってもいいでしょう。しかし問題は、最もパフォーマンスの悪い群です。

意図に沿えば、低マージン・低成長率がそれに該当すべきところですが、実際には高マージン・低成長率銘柄群が一貫したマイナスのリターンを生み出し続けています。

同じ高マージンの銘柄でここまでの差が出る背景は、一体何なのでしょうか。あくまで仮説の域を出ませんが、以下のような原因が推測されます。

■マージンと「売上高」成長率の組み合わせ別の特徴

【タイトル】

出所:智剣・Oskarグループ

まずマージンですが、これは冒頭で述べたように「高いことが善、低いことが悪」とは一概に言えない点が挙げられます。

マージンが低いことは積極的な事業投資を行う成長の過程にいる場合があり、実際に先ほどのパフォーマンスでも足元はマージンが低くても成長率が高い銘柄であればパフォーマンスは良好です。

一方で、問題となるのは「高マージン・低成長」銘柄群ですが、こちらはすでに高い収益性を有する事業を展開しており、かつ成長への期待が難しい銘柄です。つまり、すでに十分に高い収益性が改善する余地に乏しく、それどころか将来的な成長性の低さから今後は悪化する可能性が高い銘柄になります。

無論、「低マージン・低成長」の銘柄にも同種の銘柄が含まれる恐れは高く、実際に景気が急速に悪化している現在では同群のリターンの悪化は最も大きくなっています。

しかし、好況時には逆に長期の成長期待銘柄が含まれる可能性があるためにパフォーマンスは底堅くなります。つまり、景気に振り回され、一貫した投資効果が得られていないと想定されます。

この観点に立てば、仮にこのアイデアでロングショートを試みる場合は、

高マージン・高成長率」銘柄と「高マージン・低成長率」銘柄の組み合わせ

が整合的と解釈することが可能です。実際に、同ロングショートのパフォーマンスの推移を見たものが、以下のグラフです。

■「高マージン・高成長」をロング、「高マージン・低成長」をショートのパフォーマンス

【タイトル】

出所:データストリーム

無論、すべての局面で機能するわけではなく、2016年央から後半に発生した強烈なリスクオン相場(トランプ相場前後)のようにバリュー・リバーサルに巻き込まれて逆に持っていかれる場合もあります。

しかし、基本的には一貫して高いパフォーマンスを生み出し続けています。特に、経済・企業業績の回復期待とコロナ再拡大に伴う失速懸念が相互に入り乱れる現在、最も隙が無く手堅い投資アイデアと言えるのではないでしょうか。

参考までに、本アイデアの銘柄リストの一覧を添付しておきます。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。

次ページ 該当銘柄リストは

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株探ニュース




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