前日に「買われた株!」総ザライ ―本日につながる期待株は?―
■松尾電機 <6969> 572円 (+80円、+16.3%) ストップ高
松尾電機 <6969> [東証2]がストップ高。東京証券取引所が4日の取引終了後、上場廃止にかかる猶予期間から解除したと発表しており、これが好感された。2020年12月の時価総額が、上場廃止基準に定める所要額の10億円以上となったためとしている。
■神栄 <3004> 1,111円 (+150円、+15.6%) ストップ高
東証1部の上昇率3位。神栄 <3004> が連日のストップ高、ツインバード工業 <6897> [東証2]も大幅高。両銘柄とも新型コロナワクチン関連株として人気が集中し、前日4日は値幅制限いっぱいに買われた状態で引けており、5日もその余勢を駆って上値追い基調が鮮明となった。神栄は医薬品などを保管・輸送する際の温湿度管理に必要な温度ロガーと温湿度ロガーを手掛け、既に昨年10月に今年1月から販売することを発表しており、ワクチン関連の一角として短期資金が集中した。また、ツインバード工業はワクチン保存で必要となる超低温保冷庫などを製造していることで同関連株として再び物色人気化した。
■エネチェンジ <4169> 6,300円 (+700円、+12.5%) 一時ストップ高
ENECHANGE <4169> [東証M]が一時ストップ高と連日の急騰。同社は、12月23日に東証マザーズ市場に新規上場した直近IPO銘柄。消費者向け電力・ガス切り替えプラットフォーム「エネチェンジ」を運営し、エネルギー関連会社向けクラウド型デジタルトランスフォーメーション(DX)サービス「EMAP」及び「SMAP」などを展開。価格比較サイトでは再生可能エネルギーを織り込んだ料金プランなども紹介している。上場2日目に公開価格600円から4.0倍の2400円の初値をつけた。直近IPOと新エネルギー関連株人気に乗り、その後も連日の上昇を続け、上場8日目となる5日は一時値幅制限いっぱいの6600円まで上昇。公開価格から10倍高となるテンバガーとなった。
■ペプドリ <4587> 5,730円 (+490円、+9.4%)
東証1部の上昇率5位。ペプチドリーム <4587> が急伸。4日の取引終了後、20年12月期の連結業績予想について、売上高を116億円(従来予想100億円以上)、営業利益を67億円(同53億円以上)に上方修正しており、これが好感された。新型コロナウイルス感染症の拡大による影響があったものの、PDC(ペプチド薬物複合体)に関する新規ライセンスなど活発な事業開発活動に基づく業績の着実な積み上げのほか、売上構成の変化に伴う利益率の向上や各種コストの削減などが寄与した。なお、19年12月期に決算期変更を行っているため、前の期との比較はない。
■インソース <6200> 1,813円 (+151円、+9.1%)
東証1部の上昇率6位。インソース <6200> が急反発。4日の取引終了後に12月度のKPI(業績指標)進捗状況を発表。講師派遣型研修実施回数が1211回(前年同月比8.7%増)、公開講座受講者数は7401人(同5.5%増)となり、これを好材料視する買いが入った。このうち、オンライン研修は講師派遣実施回数が468回、公開講座受講者数が5143人だった。また、Leafの利用組織数は298組織(前月比19組織増)に増加し、STUDIO(eラーニング)は4万2488ID(同2411ID増)、レンタル受講者数は期初来累計で1000人を突破した。コロナ禍における第1波、第2波と異なり、現在は研修のオンライン化が進んでいるという。
■ETS・HD <1789> 954円 (+59円、+6.6%)
ETSホールディングス <1789> [JQ]が続急伸。同社は東北電力を主要取引先とする電気工事会社でメガソーラー発電所関連工事も手掛けており、脱炭素社会を目指し再生可能エネルギーが見直されるなか、商機が高まるとの思惑が投資資金の攻勢を誘った。業績も21年9月期は営業利益段階で前期比2.4倍の3億5200万円予想と急拡大を見込んでいることも買いの根拠となった。
■駒井ハルテク <5915> 2,655円 (+161円、+6.5%)
駒井ハルテック <5915> が5連騰、連日で昨年来高値を更新した。昨年12月28日にマドを開けて買われてから異彩を放つ上昇スピードで、5日の高値まで5営業日で上昇率は30%を超えた。時価は2018年2月以来2年11ヵ月ぶりの株価水準に浮上した。脱炭素社会への取り組みが世界的に加速しており、太陽光発電や風力発電などに関連する銘柄に投資資金が流入している。同社はインフラ関連事業部門で耐風強度に優れた風車の製造を手掛けており、ここにきて風力発電関連の有力株として頭角を現している。
■稀元素 <4082> 918円 (+53円、+6.1%)
第一稀元素化学工業 <4082> が全般地合い悪に抗して続急伸。同社は自動車排ガス触媒や電材向けジルコニウム化合剤の大手メーカーで、足もとの業績こそ低迷しているものの電気自動車(EV)向け2次電池材料などを展開していることで、関連有力株として頭角を現している。また、国内では燃料電池車普及に向け政策面からの後押しが利いているが、同社は燃料電池材料分野でも独自技術力に注目が集まっている。米国株市場ではEV大手のテスラが株価を一段と上昇させており、東京市場でもEV周辺銘柄に物色の矛先が向きやすくなっている。
■東邦鉛 <5707> 2,430円 (+123円、+5.3%)
東邦亜鉛 <5707> が大幅高で6日ぶりに反発。5日午後1時ごろ、連結子会社が保有する2件の資産などの売却に伴い、特別利益を計上すると発表しており、これを材料視する買いが入った。1つ目は豪州子会社CBH Resourcesが保有する港湾荷役会社ConPorts Pty。豪州大手鉄道貨物輸送のAurizon Holdings子会社に4000万豪ドルで売却し、21年3月期第4四半期に特別利益として27億円を計上する。もう一方は、CBHが保有する豪州探査案件権益で、権益の50%を案件パートナーのPeel Miningに1700万豪ドルで売却。今期第4四半期に約3億円を計上するとしている。
■サンバイオ <4592> 1,461円 (+71円、+5.1%)
サンバイオ <4592> [東証M]が続急伸。5日8時ごろ、再生細胞医薬品「SB623」の外傷性脳損傷を対象にしたフェーズ2試験(STEMTRA試験)の中間解析結果が、米国神経学会の学会誌Neurologyオンライン版に掲載されたと発表しており、これが好感された。STEMTRA試験では、主要評価項目である「SB623」移植群で投与後6ヵ月のFugl-Meyer MotorScale(FMMS)のベースラインからの改善を達成した。事前に設定されたSB623投与後6ヵ月時点に行われた中間解析において、SB623による治療は安全で忍容性が高いことが示唆されたとしている。
■明電舎 <6508> 2,483円 (+100円、+4.2%)
明電舎 <6508> が大幅高で4日続伸。5日付の日本経済新聞朝刊で「明電舎は2025年3月期をめどに売上高営業利益率で6%を目指す方針だ」と報じられており、これが好材料視された。21年3月期の売上高営業利益率は3%の見通しであり、2倍に引き上げる。記事によると、来期から4年間の経営計画づくりを進めており、 電気自動車(EV)向けモーターやインバーターなどの販売を伸ばすことが軸になるという。日本や各国政府がEVなどの普及を進める政策を掲げており、増産に向けた体制も整えるとしている。
■富士フイルム <4901> 5,629円 (+206円、+3.8%)
富士フイルムホールディングス <4901> が3日ぶり大幅反発。5日昼ごろ、子会社の富士フイルムがバイオ医薬品CDMOの中核会社であるフジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズに約40億円の設備投資を行い、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造拠点を米国ボストンエリアに新設すると発表しており、これが好感された。今回、富士フイルムはバイオ医薬品の開発・製造受託事業を更に拡大するため、最先端の研究開発を進める製薬会社やアカデミアが集積するボストンエリアに進出する。最先端の研究開発を行う顧客のそばで、開発初期段階から受託サービスを迅速に提供することで、顧客の新薬開発を支援する構えだ。今後、新拠点の設備を順次稼働させ、21年秋にプロセス開発、23年秋に原薬製造の受託を開始する予定としている。
■恵和 <4251> 2,070円 (+67円、+3.3%)
恵和 <4251> が大幅反発。同社は5日、トヨタ自動車 <7203> が昨年12月9日に発売した燃料電池車(FCV)の新型「MIRAI」の燃料電池関連部材として、自社の高機能フィルムが採用されていることを明らかにしており、これが株価を刺激したもよう。世界的に脱炭素社会の実現に向けた取り組みが進むなか、クリーンエネルギーとされる水素への注目度は高く、同社株の物色人気につながった。
■天昇電 <6776> 676円 (+21円、+3.2%) 一時ストップ高
天昇電気工業 <6776> [東証2]が大幅続伸、一時ストップ高。同社はプラスチック業界のパイオニアで自動車部品を主力に弱電向け成形品などで高シェアを有している。ここ世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が再加速するなか、ワクチンの普及が急がれる状況にある。同社は医療廃棄物容器「ミッペール」を手掛けており、同関連株としての位置づけでテーマ買いの対象となっている。また、同社にとって実際に収益面で強力な追い風となっているのが、世界的に進む電気自動車(EV)などへの電動車シフトだ。車体の軽量化に際し、主力とする自動車向けプラスチック成型品に新たな需要創出が見込まれる状況にある。
■東エレク <8035> 38,880円 (+970円、+2.6%)
東京エレクトロン <8035> 、アドバンテスト <6857> など半導体製造装置関連株が堅調。前日4日の米国株市場ではNYダウやナスダック総合指数など主要株指数が大幅安となり、リスク回避の動きが鮮明となったが、半導体銘柄で構成されるフィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)も反落となった。ただ、SOX指数の下げは小幅だった。半導体製造装置市場は新型コロナウイルスの感染拡大のなかにあって拡大傾向を続けており、2020年の半導体製造装置の世界販売額は前年比16%増と2ケタの伸びで過去最高を記録したことが伝えられている。21年も米国や中国を中心としてデータセンター向けで旺盛な投資需要が見込まれ、製造装置の販売額は増勢を保つことが予想されている。こうした状況を考慮した機関投資家の買いが下値を支える格好となった。
■村田製 <6981> 9,619円 (+213円、+2.3%)
村田製作所 <6981> が続伸、連日で上場来高値を更新するとともに9000円台後半に歩を進めていることで未踏の1万円大台を意識する段階に入った。積層セラミックコンデンサーで世界トップシェアを誇るが、今後5Gサービスの本格的な普及局面で需要の大幅な伸びが期待されている。一方、世界的な脱炭素への取り組みが加速するなか電気自動車(EV)シフトの動きも日増しに強まっている。EVはガソリン車に比べ積層セラミックコンデンサーの搭載点数が大幅に増加することから、同社にとって追い風が強い。業績も22年3月期は営業利益段階で今期予想比2ケタ成長が有力視されている。
■住友鉱 <5713> 4,692円 (+56円、+1.2%)
住友金属鉱山 <5713> が続伸、昨年11月を境に5日移動平均線を絡めた強力な上昇波動を形成。ここにきて金市況の上昇が再び強まっている。前日4日のNY金先物価格は大幅に4日続伸となった。米株安でリスクオフの流れが強まるなか安全資産とされる金を買う動きに拍車をかけた。そのなか、菱刈鉱山を持つ同社は、金市況と株価連動性の高い銘柄として知られており、投資資金の流入を誘った。
※5日の上昇率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。
株探ニュース