資源関連株を狙え! 米“貿易戦争モード”が導く上昇トレンドに乗る <株探トップ特集>

特集
2018年1月30日 19時30分

―ドル安基調が市況押し上げ、強まる“業績増額期待”―

原油や銅、亜鉛といった資源価格が上昇基調を強めている。足もとでは穀物価格を含むCRB指数も上昇基調にあるが、この資源高騰の背景には世界景気の拡大に加え、ドルの下落懸念が指摘されている。上昇基調を続けてきた世界の株式に下値不安も台頭するなか、コモディティ市場は株式からの流出資金の受け皿としても関心を集めている。足もとの市況上昇は、原油や非鉄、それに商社などの関連各社には業績増額修正要因となるだけに、資源関連株には一段高期待が膨らんでいる。

●原油、金、CRB指数が軒並み上昇基調、数年ぶりの高値圏に

資源価格が軒並み上昇基調を強めている。米原油先物相場では、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近3月物が26日に1バレル66ドル台と3年2ヵ月ぶり水準に上昇した。また、非鉄市況では昨年末に銅価格が一時1トン=7300ドル台と約4年ぶりの高値となった。金価格も25日に1トロイオンス1360ドル台とほぼ1年5ヵ月ぶりの水準に上昇。商品の総合的な値動きを示すCRB指数も26日に2年3ヵ月ぶりに200に乗せた。

この資源価格の上昇をもたらしている背景は何か――。ひとつには、世界景気の拡大期待がある。中国の国内総生産(GDP)は17年10-12月期に前年同期比6.8%増を記録。市場では「中国は依然、堅調な成長が続いている」との見方が強い。米国の同期のGDPも2.6%増と底堅い伸びを示しており、米中を加えた世界景気の拡大が資源需要を押し上げているとみられている。

●ムニューシン発言が資源高誘発、米インフラ投資拡大なら非鉄など一段高も

さらに、もうひとつ見逃せない要因として指摘されているのが、ドルが下落基調を強めていることだ。ドルの総合的な強さを示す米インターコンチネンタル取引所(ICE)のドルインデックスは89前後と約3年ぶりの低水準にある。「原油や非鉄価格はドルとの逆相関の関係が強い」(非鉄アナリスト)こともあり、ドル安は資源価格の上昇となって跳ね返ってくる構図がある。

気になるのはドル安の背景だが、「米ムニューシン財務長官の弱いドルは米国の貿易にとって良いことという発言が象徴するように、トランプ政権は保護主義政策の下、ドルの一段の下落を促す懸念が払拭できない」(同)ことが指摘されている。米国発の貿易戦争の懸念が強まるなか、ドル安が進み、それが資源価格の上昇要因に結びつく、という思惑は根強い。

さらに、史上最高値水準にあり高値警戒感が高まる米株式市場から、原油や非鉄などに資金シフトが起こってくるとの見方もある。加えて今晩予定されているトランプ大統領の一般教書演説では、インフラ投資を1.7兆ドルに拡大させるとの観測がある。この場合、非鉄などを中心に資源価格は一段の上昇も期待される。

●原油、非鉄、商社は遅かれ早かれ増額修正も

足もとの資源価格は上昇ピッチが速かったこともあり、目先一服予想もあるが、例えばWTI価格は「夏場に向けて60ドル台後半での強含み状態が続く」(アナリスト)との見方は少なくない。こうしたなか、原油や非鉄など資源関連株には業績増額修正が強まっている。

例えば来月8日に決算発表を予定している国際石油開発帝石 <1605> の18年3月期の連結経常利益は会社予想3670億円に対して、4060億円前後への増額修正期待がある。同様に、8日に決算を予定している住友金属鉱山 <5713> の今期の連結経常利益は会社予想970億円に対して1130億円前後へ上方修正期待が浮上している。

資源価格の上昇局面では、商社の業績拡大期待も膨らむ。2月6日決算発表の丸紅 <8002> の今3月期連結純利益予想は1700億円から1860億円前後への増額期待がある。今第3四半期決算では、慎重姿勢をとり業績予想を据え置く可能性もあるが、原油や銅価格が想定レートを上回って推移するなか、遅かれ早かれ業績が上方修正されるとの期待は強い。

こうしたなか原油関連では、石油資源開発 <1662> やJXTGホールディングス <5020> 、コスモエネルギーホールディングス <5021> 、富士石油 <5017> などへの注目が高まっている。同じく原油など資源市況の上昇局面では業績拡大期待が膨らむプラント株の日揮 <1963> や千代田化工建設など、非鉄関連株では、三井金属鉱業 <5706> や日鉄鉱業 <1515> 、日本伸銅 <5753> [東証2]、アルコニックス <3036> 、アサカ理研 <5724> [JQ]、アサヒホールディングス <5857> など、商社株では双日 <2768> や豊田通商 <8015> などに注目したい。

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