有賀泰夫の有望株リサーチ

市況
2018年3月1日 13時00分

●アルビス <7475>

―有力な逆張り候補として注目の価値あり!―

株式投資の手法に、順張り、逆張りがあります。日本経済新聞や業界紙などで比較的安易に使われることが多いのですが、単に下がったら買う、上がったら売るのを「逆張り」、下がったら売り、上がったら買うのを「順張り」というのではあまり意味がありません。なぜかというと、まさにそれでは丁半ばくちであり、そこから有意なリターンが得られるとはとても思えません。ただし、少しだけ工夫をすることで、特に「逆張り」は有効な投資手段となり得るのです。

例えば、ある企業がある年に、一時的要因で業績が大きく落ち込んだとします。あくまで一時的要因であれば、次の年にはかなり高い確率で業績は戻ります。仮に、業績悪を織り込んで株価が十分下がっているのであれば、そこで買えば、次の年には業績が回復して、株価が戻ることは十分考えられます。まさに、これこそが逆張りの一つの手段です。

この例としては、しばしば天候不順や自然災害による影響があげられます。冷夏で夏物商品が売れずに業績が大きく落ち込んで、株価が下がっていれば、その時が投資チャンスということが往々にしてあります。

また、業績とは別に、エクイティファイナンスが嫌気されて大きく株価が売られたときなども、しばしば逆張りのチャンスが訪れます。ただし、これは前向きなファイナンスか、切羽詰まったうえでのファイナンスかで異なります。前向きなファイナンスは業績が順調で、投資を行う必要があるわけですので、希薄化を嫌って叩き売る方がどうかと思うのですが、しばしばファイナンス発表で株価急落という現象が見られます。そして、後になって振り返ると、そこが絶好の買い場であったということが見られます。

現時点でそんな逆張りに最適な株があります。富山県の食品スーパー ・アルビス <7475> です。同社は2016年末に当コラムで紹介した銘柄です。

当時の株価は3000円ほどでしたが、半年後には5400円ほどになりました。同社は鮮魚に強い食品スーパーだったのですが、昨年春先にアニサキス問題がSNSでにぎわったことから、2017年5月、6月と既存店が大きく落ち込んで、第1四半期の業績が大きく悪化しました。そのため、株価は半年以上低迷し、つい最近の2月18日には第三者割当増資と公募増資を発表して、さらに株価が下がり、2016年末の水準まで売られました。アニサキス問題と言っても決して同社が問題を起こしたわけではなく、世間で騒がれたというものです。

さて、もうお分かりでしょう。今期はアニサキス問題が影響しましたが、すでに夏場には既存店も戻っています。つまり、来期はその反動が期待できます。また、実はアニサキスによる一時的な落ち込みを除けば業績は順調であり、ファイナンスも鮮魚、精肉の加工センターのための投資資金ですので、極めて戦略的な用途といえます。その意味では、まさに逆張りに最適な株という位置づけになります。

(2月28日 記)

有賀泰夫(ありがやすお)

H&Lリサーチ代表。新日本証券(現みずほ証券)に入社後、アナリストとしてクレディ・リヨネ証券に転職。現三菱UFJモルガンスタンレー証券を経て、09年4月に独立して、H&Lリサーチを設立。ファンド向けアドバイスなどを行う。日本証券アナリスト協会検定会員。

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