来週の相場で注目すべき3つのポイント:米関税緩和、独メルケル就任宣誓、国内政治リスク
■株式相場見通し
予想レンジ:上限22000-下限21300円
来週は米雇用統計の結果を受けた海外市場の動向に振らされる状況となる。2月の米雇用統計は、賃金増が抑制されながらも経済が好調を維持したことが示され、利上げペースを加速させるとの懸念が和らいだことが好感され、週末のNYダウは440ドル高となった。シカゴ日経225先物清算値は大阪比345円高となり、週明けの日本株市場もこの流れを引き継ぐ格好から、買い先行の展開が期待される。また、トランプ米大統領による関税計画の影響は見極めが必要だが、カナダとメキシコに加え、オーストラリアも適用除外とする考えを、ツイッターで明らかにした。強くて軽い高品質の鉄鋼製品など、課税すると米製造業にとってマイナスとなる特殊な製品についても除外する方針と伝えられており、過度な警戒感は後退しそうである。
そのため、米雇用統計が通過しVIX指数も低位安定のなか、市場は落ち着きをみせてくるだろう。地政学リスクについても、5月までは小康状態といったところである。一方で、森友学園への国有地売却をめぐり、財務省近畿財務局の担当部署で対応に当たった男性職員が自殺したほか、佐川国税庁長官の辞任により、国内政治不安が高まる状況には注意が必要であろう。その他、破産した仮想通貨交換業者、マウントゴックスの破産財団は2000億円相当の仮想通貨を管理しており、これを放出すると報じられている。本来は関係ないであろうが、個人主体の売買が大きい仮想通貨の影響が株式市場に波及してくる可能性にも警戒したい。
今週は14日にドイツのメルケル首相が4期目の就任宣誓を行う。欧州も落ち着きをみせてくるとみられるなか、日本は国内の政治リスクを警戒する必要から、積極的には動きづらそうだ。SQが通過し市場は期末モードにも入る。機関投資家の積極的な売買は引き続き手控えられ、先物主導によるインデックス売買が中心になりそうだ。個人主体の売買としては配当・優待志向の物色に向かいやすいだろう。
■為替市場見通し
来週のドル・円は伸びやなみの展開が見込まれる。トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との首脳会談は5月までに行なわれる予定だが、正式な日時や会談場所などは決まっていない。米ホワイトハウスのサンダース報道官は9日、「北朝鮮が具体的な行動を示さなければトランプ大統領は北朝鮮の金正恩委員長との会談は行わないと述べた」と発表しており、米朝首脳会談の実現については予断を許さない状況が続くとみられる。また、トランプ政権の保護主義的な通商政策に対する市場の警戒感は消えていないことから、リスク選好的なドル買いがさらに拡大する可能性は低いとみられる。
米国経済の回復基調やインフレ進行を考慮して、米連邦準備制度理事会(FRB)は20-21日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25ポイントの追加利上げに踏み切る公算。13日発表の2月消費者物価指数(CPI)や14日発表の2月小売売上高など主要経済指標が市場予想を大幅に下回る内容でなければ、追加利上げを想定して短期筋などのドル売り・円買いは抑制されるとみられる。
■来週の注目スケジュール
3月12日(月):法人企業景気予測調査、米・財政収支、ユーロ圏財務相会合など
3月13日(火):国内企業物価指数、米消費者物価コア指数など
3月14日(水):機械受注、中鉱工業生産指数、米小売売上高、独首相の就任宣誓など
3月15日(木):欧新車販売台数、米NAHB住宅市場指数、米輸入物価指数など
3月16日(金):米住宅着工件数、米鉱工業生産指数、米ミシガン大学消費者信頼感など
3月18日(日):ロシア大統領選
《TM》
提供:フィスコ