新興市場見通し:決算期末に向けて中小型株中心の相場展開へ、IPOも続々

市況
2018年3月10日 15時59分

先週の新興市場では、週初から東証マザーズ指数や日経ジャスダック平均が急落する波乱のスタートとなった。日経平均が前週半ばから週初にかけて連日で3ケタの下落となり、それまで比較的強い値動きだった中小型株にもリスク回避目的の売りが広がった。その後は外部環境への懸念が和らぐとともに日経平均は持ち直し、新興市場でも主力株を中心に買い戻しが入ったが、週初の下落分を埋めきれなかった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+1.4%であったのに対して、マザーズ指数は-0.3%、日経ジャスダック平均は-0.5%だった。

個別では、ミクシィ<2121>が週間で2.5%高、そーせいグループ<4565>が同1.4%高となる一方、サイバーダイン<7779>が同1.6%安、PKSHA Technology<3993>が同5.5%安となるなど、マザーズ時価総額上位は高安まちまちだった。売買代金上位では直近IPO銘柄のジェイテックコーポレーション<3446>、従前人気だったイグニス<3689>などで利益確定売りがかさんだ。また、遺伝子治療薬の試験結果がマイナス視されたナノキャリア<4571>が週間のマザーズ下落率トップとなった。一方、スギHD<7649>との業務資本提携を発表したメドピア<6095>が人気化し、機関投資家の買いが観測されたFringe81<6550>なども大きく上昇した。ジャスダック主力では、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>が同6.1%安、セリア<2782>が同9.5%安と軟調だった。セリアは2月既存店売上高が2ヶ月連続のマイナスとなった。エン・ジャパン<4849>は同5.6%高と堅調な展開が続いた。売買代金上位ではIGポート<3791>が利益確定売りに押され、細谷火工<4274>が地政学リスクに対する警戒感後退を受けて週間のジャスダック下落率トップとなった。反面、セルシード<7776>やナビタス<6276>が大きく買われた。

今週の新興市場は、しっかりとした展開になりそうだ。外部環境の改善を受けて個人投資家の相場急落に対する警戒感が後退し、徐々に中小型株への物色意欲が強まりそうだ。週初こそ米2月雇用統計を好感した大型株への買いが先行するだろうが、その後は決算期末に向けて個人投資家による中小型株中心の相場展開となることが見込まれる。ただ、需給面などで銘柄選別色は強まるだろう。

今週は、3月13日にサンバイオ<4592>、14日にジャストプランニング<4287>、ハイアス・アンド・カンパニー<6192>、15日にエニグモ<3665>、SKIYAKI<3995>、ACCESS<4813>、スリー・ディー・マトリックス<7777>、明豊エンタープライズ<8927>などが決算発表を予定している。ACCESSは従前に前期業績の修正を発表済みだ。明豊エンタープライズは業績期待から強い値動きが続いている。

IPO関連では、3月15日に神戸天然物化学<6568>がマザーズへ、16日に日総工産<6569>が東証1部へ、フェイスネットワーク<3489>がマザーズへそれぞれ新規上場し、3月後半のIPOラッシュが本格的にスタートする。ここからは公開規模の大きい案件も多く、従前のような初値高騰は期待しづらいだろう。ただ、ブックビルディングにおける需要はいずれも堅調で、IPO人気は根強いようだ。なお、先週はコンヴァノ<6574>(4月11日、マザーズ)及びヒューマン・アソシエイツ・HD<6575>(4月10日、マザーズ)の新規上場が発表されている。

《FA》

提供:フィスコ

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