富田隆弥の【CHART CLUB】 「三角保ち合いのNYダウ」

市況
2018年3月10日 10時00分

◆信用買い残が3兆6162億円(3月2日申し込み時点)と10年半ぶりの水準に増加中だ。2月16日時点で3兆3555億円と2週連続で減少したものの、そこから再び増加に転じ、個人投資家を中心に引き続き押し目買い意欲の強さをみせている。専門家から先高観測が多く聞かれるほか、1月までの上昇の余韻も強気にさせる背景だろう。

◆だが、日経平均株価は2月14日に安値2万0950円をつけ、2月27日に2万2502円まで戻したものの、いまなお2万1000円台で低迷している。信用買い残の評価損率は-8.86%(3月2日現在)と1月12日時点(-3.36%)からじわり悪化傾向にある。思惑通り日経平均が上昇し2万3000円を回復するなら評価損率は減少に向かい、買い方は息を吹き返すだろう。だが、上昇できずに軟調に推移するようだと買い方は一層苦しくなり、上値に抱えた、そのシコリ玉をほぐすのに時間を要することになり兼ねない。

◆日経平均のチャートは、200日移動平均線(2万1200円)や52週線(2万0850円)を意識するように2月14日と3月5日に2万0900円台で二点底を打った。そして、上から降りてくる25日線(2万1830円)と上値抵抗線(2万1900円処)を待っているところ。短期RCI(25日線や9週線)が底値に到達しており、3月後半は配当取りなど期末を意識することから、25日線や上値抵抗線を突破して2月25日高値2万2502円や75日移動平均線(2万2650円処)を目指す可能性は十分にある。

◆だが、13週線も2万2600円処で節として待ち構えており、75日線(2万2650円処)までは「崩れたあとのアヤ戻り」といえる。それだけ2月に入れた調整でチャートは厳しくなっている。少なくとも1月にもみ合った2万3000円台を回復しなければチャートは好転の兆しも出てこない。

◆逆に二点底になった2万0900円台を割り込むことがあれば、二段下げとして1万9000円台に向かうリスクが高まる。日本株の行方のカギ握るのはNYダウ平均だが、リスクオフとなる円高基調が続くほか、利上げ観測と貿易摩擦懸念(トランプリスク)など、下落要因が相次ぐいまの地合いは好ましいとはいえない。

◆日銀金融政策決定会合とメジャーSQ、そして米雇用統計を終えた今週の動向がまずポイントになるが、NYダウの日足もいま三角保ち合いにあることから、上放れ(2万5800ドル超)確認まで買いは慎重を要すべきだし、逆に下放れ(2万4200ドル割れ)への注意も怠れない。そして、忘れてならないのは10年間に及ぶマネーバブルの反動懸念が出始めたということ。日本株は配当狙いや年度末高を狙いにいくタイミングではあるが、NY次第、短期勝負といった割り切りが必要なところでもある。

(3月8日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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