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2018年3月6日 19時30分
特集

上放れ前夜「5G関連株」――本命・対抗、そして穴株 <株探トップ特集>

―商用化1年前倒しで始まる「関連銘柄」再評価、内需有力テーマの波に乗る―

東京株式市場は2月末を境に再びぬかるみに足をとられる格好となっていたが、6日の日経平均株価は一時500円高超と目の覚める切り返しをみせた。2月初旬に始まった米国主導の急落相場は、売り方の踏み上げ(強制的な空売り買い戻し)による撤退でいったん幕を閉じたかに見えたが、その後は再度乱気流に巻き込まれる展開を余儀なくされた。しかし、波状的な売り仕掛けが一巡すれば、強い株はV字型に戻ってくるのが今の相場だ。個別テーマ物色の流れは健在である。

現時点では、米国を筆頭とする海外市場の影響や為替の円高の受けやすい輸出ハイテク株には風向きが悪い地合いといえる。内需の有力テーマで物色の波にうまく乗りたいところだ。

●500億台の機器をつなぐ通信インフラで必須

そうしたなか、マーケットの有力テーマとして急浮上しているのが次世代高速通信規格「5G」関連株だ。あらゆるものをオンライン化するIoT の概念がわれわれの日常に浸透して久しいが、実際に普及の加速過程においてクリアすべき課題は多い。その課題のひとつが5Gの普及であり、今後官民を挙げて国策的に取り組んでいく有力テーマとなっている。

工場の生産ラインや産業ロボット、家電や住宅、自動車などあらゆるモノをインターネットで接続するというIoTは、2020年に全世界で約500億台の機器がネット接続され、情報を吸い上げるために約2000億個のセンサーデバイスが必要になると試算されている。またその際に、インフラ面で重要となるのが5Gであり、LTEの1000倍以上の大容量化と10Gbps以上の通信速度を実現する必須の通信技術としてマーケットで注目されている。

現行の通信規格である「4G」でもその通信速度は十分に早く、1980~90年代の1Gと比較して100万倍に相当する。4Gはスマートフォンなどを使った動画のデータ送信など、高度な通信サービスの実現に貢献した。しかし、それではまだIoTの普及には不十分である。5Gは一段の高速・大容量化に加えて、多数同時接続といったIoT社会に求められる重要技術を有している。多数同時接続では4Gの10倍に当たる1平方キロメートル当たり100万台の端末接続を可能とすることで飛躍的な環境の変化に対応していく。さらに送受信時のデータの遅延時間は1ミリ秒と現在と比較しても格段に短縮化される。

●IoT化する自動車市場も5G技術取り込みへ

また、自動運転車の普及の前段階としてトヨタ自動車 <7203> などが注力する「コネクテッドカー」もIoTの一形態であり、250兆円規模といわれる膨大な自動車市場をもIoT社会が飲み込んでいくことになる。近い将来に世界規模で押し寄せるであろうパラダイムシフトの波に乗るために、インフラ面で5Gの整備は不可欠といってよい。

そうしたなか、2月下旬から3月にかけてスペインのバルセロナで開催された世界最大のモバイル関連機器の見本市「MWC(モバイル・ワールド・コングレス)」において、各国の通信機器メーカーや通信事業者が5Gの商用化を20年から19年へ1年前倒しすることを明らかにしたと伝わり、にわかに関連銘柄が色めき立った。安倍政権では5Gの商用化に向け17年度から実証実験を開始、20年には国内で商業化されるというシナリオを描いていたが、この流れが一気に加速する可能性が出てきたからである。日本が世界に遅れることは許されない。NTTドコモ <9437> 、ソフトバンクグループ <9984> 、KDDI <9433> など国内メガキャリアの投資が今後加速することは必至とみられ、つれて5G分野に関連する企業には大きな商機をものにするチャンスが巡りそうだ。

●本命格のアンリツや富士通、アドバンテも虎視眈々

有力関連株として、本命格の1社とみられるのがモバイル市場向け通信計測器大手のアンリツ <6754> 。通信計測器の市場規模は大活況だったLTE関連の規模に匹敵するとの見方も市場では根強いが、そのなか同社は16年に米アジマスシステムを子会社化しフェージング(電波の受信レベルの変動)に関するソリューションを強化、5G関連需要に対応した準備に余念がない。

また、NTTドコモと大容量化技術などの5G実験で協業している富士通 <6702> も鍵を握る存在だ。ドコモに対して5G商用サービスの開始を目指した基地局制御装置のハードウエアを提供することが決まっている。半導体製造装置大手のアドバンテスト <6857> は開発段階でのテスター需要を取り込むために高周波用集積回路や無線通信用集積回路などを同時測定することが可能なモジュールを開発している。また、アンテナメーカーでは低周波から高周波帯まで対応した小型統合アンテナを大量生産できるヨコオ <6800> や、日本アンテナから譲受した車載用アンテナ事業が順調に伸びている原田工業 <6904> [東証2]などがマークされる。

●火柱高のサイバーコム、動兆しきりのアイエスビー

今の株式市場で個人投資家の資金を呼び込んでいるのは相対的に時価総額の小さい銘柄群だ。アンリツや富士通を本命馬とするなら、これらは対抗馬といえるが、何といっても値運びの速さが魅力である。その象徴がサイバーコム <3852> だ。通信機器関連のソフト開発メーカーでLTE監視制御システムなどを手掛けており、5G関連の前倒し投資により特需を得るとの思惑が物色人気の背景にある。株価は2月27日と28日に連続ストップ高を演じるなど異彩を放ち、その後も買い物を集め動意直前の倍増水準である2500円近くまで買われる場面もあった。

これに続けとばかりに動兆しきりなのがアイ・エス・ビー <9702> だ。同社は携帯電話向けで優位性を持つソフト開発会社。920MHz帯の通信規格「Wi-SUN」を用いるM2M向けの情報収集システム「dataSamplr」を開発・販売しており、技術力の高さに定評がある。現在も5G活用の基地局開発に絡む案件を手掛け、今後頭角を現してくる可能性がある。時価総額は100億円を下回っており、それだけ変身余地は大きい。

また、製造業や建築業界向けにシステム開発を手掛ける構造計画研究所 <4748> [JQ]も積極的に5G分野を深耕しており関連有力株として市場の熱視線を集めている。出資先企業を通じた米エヌビディアとの連携も思惑を呼ぶ。

都市型データセンターを運営するブロードバンドタワー <3776> [JQ]は株価低位ならではの妙味を内包する。新たに開設した「5G対応データセンター」で、ニュースサイト運営会社のイード <6038> [東証M]と協業、業容拡大に向けた戦略を進めている。

●アバール、大井電気などが穴株候補に

さらに、テーマ物色の勢いが強まってくると、ここまで5G関連として市場で認知されていない銘柄にも物色の矛先が向かう可能性が高まってくる。

例えば、半導体製造装置向けモジュールメーカーで高速画像処理技術を手掛けるアバールデータ <6918> [JQ]は5G普及でビジネスチャンスが一気に膨らむことになる。また、無線機器や情報通信機器製造を手掛ける大井電気 <6822> [JQ]はネットワーク工事およびメンテナンスも手掛けており、5G関連の穴株として浮上する余地がありそうだ。電源機器大手でメカトロニクスやケミトロニクス分野にも展開するオリジン電気 <6513> もLTE用基地局電源で収益機会が期待される。

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