米中貿易摩擦など懸念材料あるも、今週は最大の買い場に?! <東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2018年4月10日 19時00分

「米中貿易摩擦など懸念材料はあるも、今週は最大の買い場に?!」

米国と中国の間で関税引き上げを巡る恫喝と非難の応酬が続き、貿易戦争のリスクが世界経済を揺るがす懸念材料として浮上している。

確かに貿易摩擦問題は無視し得ぬ材料ではあるものの、株式市場では目先、今週が最大の買い場となる可能性があるのではないだろうか。

ちょうど一年前のこの時期に、トランプ大統領と習近平国家主席による直接会談が行われている。現在と同様に対中貿易赤字を巡って「米国が中国を為替操作国に認定する」との懸念が広がり、米国や日本のマーケットはともに軟調に推移していた。だが、2017年を振り返ると、日米ともに相場が反転したのは4月20日前後。筆者は今年も相場反転のタイミングはこの時期になるのではないかと考えている。

●米国では毎年4月が年間でパフォーマンスが高い

米国では1月後半から始まった確定申告が4月15日に締め切られる。毎年1月末から5月にかけて行われる税還付の額は年30兆円程度と言われており、今年はそこにトランプ政権の大型減税の効果で10兆円程度が上乗せされるといわれる。税還付手続きの遅れが指摘されているものの、4-5月にはそのペースが上がり挽回することだろう。なお、米国における4月株高のアノマリーの背景にはこの税還付の影響があるともいわれている。

この還付金の額がはっきりするまでは投資へ振り向けられる資金が不明瞭なため、これまで新たな買いを控えていた投資家もいたが、それも解消に向かう。また、例年より多めに還付金を投資に回す投資家・ファンドも少なくないとみられる。しかも、米国株は現状の水準であれば、買いを入れやすい状況にあるともいえる。

●米国の決算発表が間もなくスタート

米国の企業決算ではトータルで予想を下回ることは少ないが、今回の第1四半期決算も予想を上回る形になるだろう。大手銀行の決算発表が4月13日より始まるが良好な決算内容が想定されるうえ、大型減税で恩恵を受けるセクターの一つに金融が挙げられていることも加味すると、売り方にとっては売り仕掛けが難しい局面になるのではないだろうか。今回の米国決算ではトータルで2ケタ増益が見込まれている。

●日銀のETF買い

昨年までの日銀ETF買い入れを見ると、TOPIXの前場終値が前日終値から0.15%下落しているとほぼ買いを入れていた。だが、この3月はTOPIXの下落率が0.15%以下であっても買い入れており、合計11回、金額ベースで8300億円強(新型ETF含む)もETF買いを実施している。日銀のETF買い予算は年間6兆円、月平均にすると6~7回であることから、なりふり構わず日本の株式市場を買い支えていたともとれる。

米国の長期金利は一時期より低下傾向にあり、日銀のETF買いの結果を見ても、海外勢からすると「日銀の金融緩和の縮小懸念は遠のいた」と受け取るのではないだろうか。

また、為替も一時期よりドル高・円安で推移しており、最近の日本のマーケットは米国に比べ底堅さもうかがえる。米国市場との連動性の高さから、ボラティリティが高く不安定な相場が続いているが、海外勢の本格的な買い転換など需給が改善されれば方向転換の可能性は十分にある。これに加えて、米国の需給(還付金)の時期を踏まえると、今週が最大の買い場になる可能性があるとみている。

◆東条麻衣子

株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

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