見逃された好決算――“大幅増益&割安”掘り出し銘柄リストアップ <株探トップ特集>
―大量決算発表に埋もれた好業績予想銘柄は?―
18年3月期決算や19年3月期業績見通しの発表が一巡した。すでに、その内容を反映して株価が変動している銘柄も多い。ところが、連日の大量発表に紛れて評価が追いついていないケースや、いったんは買われても、なお株価指標面で割安水準にとどまっている銘柄も少なくない。そこで、こうした掘り出し銘柄候補を緊急検証した。
●三井松島、石炭販売の増加で経常利益は38%増予想
三井松島産業 <1518> は11日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は730億円(前期比10.1%増)、経常利益は29億円(同38.1%増)、最終利益は17億円(同11.8%増)を見込んでいる。エネルギー事業の石炭販売分野および石炭生産分野での販売数量の増加などにより売上高は前期比10%増収を見込んでいる。また、電子部品や飲食用資材など生活関連主要事業の収益が引き続き好調に推移することなどにより、経常利益は同38%増益となる見通し。
●日本コークス、コークスや原料炭の市況や需給好調が寄与
日本コークス工業 <3315> は11日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は1240億円(前期比12.6%増)、経常利益は37億円(同14.7%増)、最終利益は17億円(同64.7%減)を見込んでいる。同社の中核である コークス事業で、コークスや原料炭の現在の市況や需給状況などを踏まえ、今期も増収を見込んでいる。なお、18年3月期の最終利益は48億1800万円(同2.5倍)となった。これは、特別損益で、投資有価証券売却益などにより特別利益が39億7000万円となったのに対して、固定資産除却損などにより特別損失13億9400万円を計上したためだ。
●日本ケミコン、主力のアルミ電解コンデンサなどの成長見込む
日本ケミコン <6997> は10日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は1400億円(前期比5.0%増)、経常利益は70億円(同58.5%増)、最終損益は55億円の黒字(前期は160億5600万円の赤字)を見込んでいる。主力製品のアルミ電解コンデンサを、今後も市場の成長が期待される車載分野および産業機器分野へ重点的に拡販することにより、売り上げ向上につなげる。一方、積層セラミックコンデンサ、電気二重層キャパシタなどの製品については、地域別に重点拡販製品を明確化することなどにより収益性の向上を図る。
●有沢製作所、台湾子会社でのスマホ向けFPC増産などに期待
有沢製作所 <5208> は9日に発表した19年3月期通期の連結業績予想は、売上高が477億円(前期比16.6%増)、経常利益は54億5000万円(同34.8%増)、最終利益は36億円(同4.3%増)を見込む。同社はプリント基板向けなどを主体とする電子材料メーカーで、台湾子会社でのスマートフォンなどに使うフレキシブルプリント基板(FPC)用の電子材料生産能力増強などに伴い、今期も成長トレンドが続く見通し。
●ヨコオ、全セグメントでの受注増加を見込む
ヨコオ <6800> は10日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は545億円(前期比5.0%増)、経常利益は35億円(同20.2%増)、最終利益は25億円(同7.0%増)を見込んでいる。車載通信機器、回路検査用コネクタ、無線通信機器のすべてのセグメントで受注が増加する見通しであることから、増収増益を見込んでいる。
●トピー工、自動車・産業機械部品のグローバル化を加速
トピー工業 <7231> は10日、19年3月期通期の連結業績予想を発表した。売上高は2830億円(前期比22.8%増)、経常利益は101億円(同25.7%増)、最終利益は68億円(同23.6%増)を見込む。同社グループは、16年度からの3年間を実行期間とする中期経営計画「Growth & Change 2018」を推進中。この計画で、成長ドライバーと位置付けられる自動車・産業機械部品事業のグローバル展開の加速化、鉄鋼事業の独自技術を生かした製品群の拡充。さらに、災害や事故などの危険な現場で、レスキュー活動や関連作業を遂行するクローラーロボットや、化粧品などの原料として使用される合成マイカ(雲母)といった新事業への挑戦などの諸施策を着実に推進し、事業の持続的な成長を目指す。
●スクリーン、データセンター向けなどメモリー需要向け半導体製造装置が拡大
SCREENホールディングス <7735> が8日に発表した19年3月期通期の連結業績予想で、売上高3840億円(前期比13.2%増)、経常利益510億円(同23.4%増)、純利益370億円(同29.8%増)と大幅増益を見込み、年間配当は前期比45円増の155円を予定している。データセンターやストレージ向けのメモリー需要拡大に加え、人工知能(AI)や5Gなどで半導体需要が見込まれることから、引き続き半導体機器事業が牽引役となる見通し。また、スマートフォン用の有機ELディスプレー向けなどにディスプレー製造装置および成膜装置(FT)なども好調に推移する見通しで、業績向上に貢献する。
◆主な19年3月期経常利益大幅増益予想の割安銘柄(7日以降発表分)◆
増益率 増益率
銘柄 <コード> (前期実績)(今期予想) 株価 PER
三井松島 <1518> 2.2倍 38.1 1587 12.2
サンテック <1960> [東証2] 14.6 60.1 891 8.9
日本コークス <3315> 2.6倍 14.7 120 20.9
芦森工 <3526> 42.9 23.3 2781 11.1
フマキラ <4998> [東証2] 11.7 11.6 2210 19.5
有沢製作所 <5208> 50.3 34.8 1253 12.5
冶金工 <5480> 18.8 2.0倍 374 10.5
ツガミ <6101> 2.3倍 19.8 1239 15.3
Tスマート <6246> [東証2] 24.1 42.1 1262 12.1
オカダアイヨン <6294> 16.4 18.1 1503 13.1
サンデンHD <6444> 黒転 58.7 1690 11.7
オリジン電気 <6513> 61.7 57.2 2386 7.9
タムラ製作所 <6768> 7.7 11.3 815 14.2
ヨコオ <6800> 11.6 20.2 2138 17.3
ウシオ電機 <6925> 9.5 16.2 1542 17.1
日本ケミコン <6997> 2.2倍 58.5 3895 11.5
トピー工 <7231> 31.4 25.7 3495 12.1
今仙電機 <7266> 66.1 14.7 1285 9.9
東京計器 <7721> 20.7 29.1 1409 16.6
スクリーン <7735> 29.1 23.4 9770 12.3
リンテック <7966> 17.2 19.6 3315 14.9
椿本興業 <8052> 32.9 17.8 3970 8.7
ベルーナ <9997> 8.7 17.0 1423 13.2
※株価は16日終値(単位:%、円、倍)
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