有望市場「スマートホーム」、暮らしを豊かに変えるのは <株探トップ特集>

特集
2018年5月19日 19時30分

―AIスピーカーなど対応のIoTデバイス増加が市場拡大牽引―

IoT(モノのインターネット)AI(人工知能)といった技術の進展に伴い、今後の成長が期待されている分野のひとつが「スマートホーム 」だ。総務省が昨年7月に発表した情報通信白書によると、全世界でのIoTデバイスは2020年に約300億個(16年は約173億個)に拡大すると予測されており、AIスピーカーなどに対応するIoTデバイスは今後さらに増加する見通し。経済産業省が主導するかたちでスマートホームの国際規格づくりも進められており、関連銘柄に注目しておきたい。

●経産省は国際規格づくりを進める

スマートホームとは、IoTやAIを活用して家庭内の電化製品や情報家電製品を一括管理し、これらをコントロールすることで快適なライフスタイルを実現する住まいのこと。具体的には、触って操作しなくても音声でテレビや室内掃除ロボットを動かせるAI スピーカーや、外出先から照明やエアコンを操作できるアプリ、室温や湿度を感知して自動で開閉する窓などが挙げられる。経産省が16年4月に取りまとめた「新産業構造ビジョン中間整理」でも有力分野と位置付けられており、IoT技術などによって家庭内の機器をネットワーク化し、それらのデータを活用することで、既存ビジネスモデルの変革や新たなビジネスモデルの創出が期待されている。

ただ、スマート化に対応した機器やシステムを導入していくと、複数の動作の組み合わせや、周囲の状況などにより、思わぬ不具合が生じる可能性がある。こうしたなか、経産省は今年1月、同時に動作する機器やシステムの機能・安全について規定する提案が国際電気標準会議(IEC)に承認され、国際標準の開発が開始されることになったと発表。この提案は産業技術総合研究所とミサワホーム <1722> に委託した「IoT社会実現に向けた住宅設備連携における機能安全に関する国際標準化」の検討結果に基づいたもので、日本主導で国際規格が確立すれば高い成長が見込める市場となり、国内企業が活動しやすくなりそうだ。

●ぷらっとホーム、ユビキタス、図研エルミックなど注目

スマートホームを巡っては、タマホーム <1419> が13年4月からスマートフォンを利用して住宅設備や電化製品をリモートコントロールできる「i TamaHome(アイタマホーム)」を提供しているのをはじめ、大和ハウス工業 <1925> が17年11月からAIスピーカー「グーグルホーム」を活用したスマートハウス「ダイワコネクト」プロジェクトを始動するなど住宅大手を中心に積極展開。また、ぷらっとホーム <6836> [東証2]は、米インテルの日本法人が17年4月に実施した家庭向け宅内IoTプラットフォームの実証実験にIoTゲートウェイ製品を提供した実績などがある。

このほか、スマートハウスを実現するミドルウエア製品「ECHONET Lite」を手掛けるユビキタス <3858> [JQ]や図研エルミック <4770> [東証2]、IoTサービスの開発・運用に必要なバックエンドシステムをワンストップで提供するACCESS <4813> [東証M]、インターホン向けIoTシステムを展開するアクロディア <3823> [東証2]なども関連銘柄として注目。

sMedio <3913> [東証M]は17年7月にIoT製品の開発・販売を手掛かける子会社を吸収合併するなどIoT分野に注力しており、同年にはソースネクスト <4344> に見守りカメラサービス「スマートホームカメラ」のOEM提供を始めている。

●大東建託は東電HD傘下企業と実証実験

今年に入っても企業の取り組みは活発で、クックパッド <2193> は今月8日、キッチン家電向けに同社のレシピを提供するスマートキッチンサービス「OiCy」を公開するとともに、OiCyに対応するキッチン家電の開発に取り組むパートナー企業の募集を開始。同日にはアプリックス <3727> [東証M]が、AIスピーカーを使って日本語の音声で家電を操作するための「AIアシスタント対応家電開発支援サービス」の提供を開始した。

4月にはノーリツ <5943> がIoT技術をリモコンに導入し、入浴者を見守る機能を業界で初めて搭載した高効率ガスふろ給湯器を9月に発売すると発表。また、同月にはLINE <3938> がAIアシスタント「Clova(クローバ)」によるホームIoTサービス「Clova Home」の提供を始め、KDDI <9433> は社会で関心の高いニュースをきっかけに広がる対話が特徴の「雑談対話型AI」を開発したことを明らかにした。

また、大東建託 <1878> と東京電力ホールディングス <9501> 傘下の東京電力パワーグリッド、およびギガプライズ <3830> [名証C]は共同で3月末から、業界初のスマートライフサービスを提供するスマート賃貸住宅の実証試験をスタート。試験期間は6月末までを予定し、今年度中にも大東建託グループが首都圏で管理する賃貸住宅に本格導入する計画だ。

GMOクラウド <3788> は3月、日栄インテック(東京都荒川区)および中国企業と、スマートホーム事業領域での製品・サービスの企画開発、製造、販売展開で協業することで合意したと発表。同社は企業のIoTビジネス化をサポートする「IoTの窓口byGMO」を通じて、クラウド環境やセキュリティー技術の提供と、スマートホーム製品の企画開発・サービス化を担うとしている。

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