檜和田浩昭氏【ついに2万3000円の壁突破、夏相場はこうなる】(2) <相場観特集>

特集
2018年5月21日 19時45分

―風向き変わる東京マーケット、ここからの展望と戦略は―

週明け21日の東京株式市場は上値指向を強め、日経平均株価は上値の心理的なフシ目となっていた大台ラインをついに突破、2月2日以来の2万3000円台乗せを果たした。米長期金利の上昇を懸念視する動きは今のところ限定的、足もとは米中貿易摩擦に対する懸念も後退したことで日米ともに株価の先高期待が漂い始めた。ここからの株式市場の見通しと物色の方向性について、先読みに定評のある有力市場関係者の見解を聞いた。

●「海外懸念要因をこなしジリ高歩調を堅持」

檜和田浩昭氏(東洋証券 マーケット支援部長)

週明け21日の東京株式市場は、日経平均が2月2日以来約3ヵ月半ぶりに終値で2万3000円台を回復してきた。18年3月期決算と19年3月期の業績見通しの発表が終了して手掛かり材料が不足するなかでも、全体相場は堅調地合いを維持している。今後は6月に掛けて一本調子の上昇は想定しにくいものの、ジリ高歩調は十分期待できそうだ。

日米ともに決算発表シーズンが一巡したことで、株式相場はマクロ経済にも左右されることになる。当面の注目材料は米中の通商協議の行方と、6月12日に開催が予定されている米朝首脳会談に向けて両国の駆け引きを巡るさまざまな動きだ。これら海外動向によって、一時下押す場面も想定されるが、早晩ジリ高歩調に復帰する可能性が高い。6月中旬までの今後約1ヵ月間の日経平均の想定レンジは、下値2万2300円、上値2万3500円程度と見ている。

19年3月期の企業サイドの業績見通しは、総じて保守的な数値を開示しているケースが多いうえに、主力輸出企業の想定為替レートの多くは1ドル=105円近辺となっており、足もとの1ドル=111円台前半水準を考慮するとさらに、余裕のある業績想定といえる。このまま推移すれば、当然のことながら19年3月期の第1四半期、第2四半期時点での通期業績の上方修正の可能性が浮上してくることになる。

今後の物色対象は、人工知能(AI)IoT(モノのインターネット)の普及加速に伴って需要が拡大し続ける半導体を筆頭とする電子部品関連セクター。内需では、6月19日に東証マザーズ市場に新規上場が予定されるメルカリ <4385> [東証M]に関連して、インターネット関連の小売りやサービス業種の銘柄にも改めて注目が集まりそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)

1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長を経て2015年11月から現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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