富田隆弥の【CHART CLUB】 「続く重要イベント」
◆サッカーのワールドカップが14日に開幕した。世界の目が集まる4年に一度の祭典だが、開催国ロシアが初戦のサウジアラビア戦に5-0で快勝したこともあり一層盛り上がるに違いない。
◆一方、日本の株式市場は盛り上がりに欠ける日が続く。先週は米朝首脳会談、FOMC、ECB理事会、日銀金融政策決定会合と重要イベントが続いたこともあり、様子見を強めるのも仕方なかったが、売買代金で2兆円ソコソコというのは寂しい。そのような中で、日経平均株価は5月30日の2万1931円安値から6月12日には2万3011円まで上げ、日足はV字回復で5月21日高値2万3050円に迫ったが、14日は227円安の2万2738円と急落。RCIやサイコロジカルなど日足のテクニカル指標が高値圏にきており、イベント後の動向が注視される。
◆日経平均2万3000円まで上昇時の中身を見ると、ユニー・ファミリーマートホールディングス <8028> 、ファーストリテイリング <9983> 、ソフトバンクグループ <9984> 、花王 <4452> 、資生堂 <4911> など一握りの値がさ株で上昇させており、全体として力強さに欠けることは否めない。
◆FOMC(13日)では今年2度目の利上げを実施、年内あと2回(年4回)の利上げを示唆した。ECB理事会(14日)では量的緩和の年内終了を決めたが、利上げは2019年夏以降とした。これを受けて為替市場ではドル高ユーロ安が進んだが、円は対ドルで110円台のもみ合い、対ユーロでは128円10銭近辺まで円高を進めるなどマチマチ。日銀金融政策決定会合(15日)の結果は現時点で不明だが、おそらく現在の緩和政策を継続すると思われ、サプライズは期待薄だろう。
◆米国ではNYダウの上値は重いものの、ナスダックが最高値を更新するなど引き続き力強さを見せている。「ドル高」で世界の投資マネーが米国に還流し、FAANGと称される有力IT株に資金が集中している。また、「ユーロ安」を背景に英FT指数や独DAXが再び切り返しの構えを見せている。その欧米株に対して日本株の動きは鈍い。堅調な欧米株に追随するのか、それとも欧米株が調整に転ずるのか、重要イベントを終えた後が夏相場を占う意味でポイントになるだろう。
◆5月21日高値2万3050円を突破するなら、日本株にもサマーラリーの兆しが出てくる。だが、注意点も押さえておかねばならない。例えば、19日に話題のメルカリ <4385> が東証マザーズに上場するが、証券界にとっては夏のボーナス資金を獲得するためにここで相場を盛り上げようと尽力するに違いない。日経平均を一握りの値がさ株で支えているのも、その地合い作りと見ることできる。だが、メルカリが上場を終えると“お役御免”として証券界は手を緩める可能性があるので注意したい。また、「ドル高」は新興国からの資金流出を加速させかねず、南米や東南アジアの通貨と株式市場の下落が続くと地政学リスクが台頭しかねない。こちらも要注意だ。
◆サッカーワールドカップの日本初戦は19日(対コロンビア)で、メルカリ上場と同日だ。どちらも盛り上がりが続くこと願いたい。
(6月14日 記、毎週土曜日に更新)
株探ニュース