窪田朋一郎氏【強弱感が対立、リスクオン相場復活の条件は?】(1) <相場観特集>

特集
2018年6月18日 18時30分

―重要イベント波乱なく通過も、盛り上がらない買い意欲―

週明け18日の東京株式市場は終始売り優勢の展開となり、日経平均株価は反落。6月初旬に急速な戻り足でザラ場2万3000円大台乗せを果たす場面もあったが、前週後半から“一進二退”で足もとは2万2600円台まで水準を切り下げている。重要イベントを波乱なく通過したとはいえ、簡単にリスクオンとはいかないのが相場の難しいところ。第一線で活躍する市場関係者の目に今の相場の風景はどう映っているのか、意見を聞いた。

●「上下2000円幅のボックス圏推移に」

窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)

東京株式市場は、6月以降向こう3ヵ月(7-9月)のタームでみてボックス相場が続く公算が大きいとみている。日経平均のレンジとしては下値2万1500円、上値2万3500円の上下2000円幅のゾーンを往来するイメージだ。

日米欧の中央銀行の政策スタンスをみると、ECBは量的緩和を終了するが引き締めにはまだ時間的な猶予がある局面で、FRBは既に国債売りの立場をとっている。一方、日銀は引き続き国債の買いを継続する姿勢を示す。結果としてFRBと日銀で国債の売り買いのバランスはほぼ相殺されており、全体ではフラットな状態となる。これまでの金融相場の色彩は消え、量的緩和で上がる相場は終焉したといえる。

一方、企業収益はどうかといえば、米国企業の業績は至って良好で、日本企業も為替の想定レートと実勢の差を考慮すれば19年3月期は小幅増益を確保できそうだ。業績相場という観点では下値リスクについても限定的といえる。

あとは、トランプ米大統領の保護主義色を前面に押し出した通商政策がどのように相場に影響するかというところ。今後もトランプ発言に一喜一憂するケースは多くなりそうだが、基本的なスタンスとしてトランプ発言で全体相場が下押した場面では押し目買い、上に振れた場合は噴き値売りで対処するのが実践的だ。

物色対象としては、貿易摩擦問題に左右される輸出株は当面神経質な値動きが想定され、相対的に好業績内需株のほうに優位性があると考える。内需株では業種として食品や化粧品およびトイレタリー、鉄道などディフェンシブセクターが狙い目となる。また、あすはマザーズ市場としては超大型IPOとなるメルカリ <4385> [東証M]が上場するが、個人投資家の注目度は高く、初値形成後も徐々に水準を切り上げる展開が想定される。その場合は潤った資金が新興市場に還流する可能性も十分で、中小型株物色の流れを後押ししそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)

松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウオッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。

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