見え始めた中国株“反転シナリオ”、日本株上昇は海外復活後か <東条麻衣子の株式注意情報>

市況
2018年6月18日 20時00分

前週末の海外市場では、米国が中国の知的財産侵害に対する報復措置として500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表したことで、欧州・米国市場ともに下落した。

これを受けて、週明けの日本市場も海外要因に引っ張られる形でマイナスで推移しているが(本稿執筆時点)、筆者は米国、中国など海外市場もそろそろ上昇基調に転換するとみている。

■米国経済指標が示唆する米株上昇

米中貿易摩擦により各国の経済成長が押し下げられるとの懸念を背景に、世界の株式市場では総じて上値の重い展開が続くが、今回の通商摩擦の震源地ともいえる当の米国の経済指標は良好である。

6月5日付のコラム(「ショック安は一瞬、“貿易摩擦懸念”で下押しなら買い場に」)でも指摘した通り、米中間選挙に向けてトランプ大統領のパフォーマンスは当面続くだろうが、現在の米国の経済指標をみる限り、一気に世界経済が鈍化するとは考えにくい。

前週末に発表された米国の経済指標をみても、6月ニューヨーク連銀製造業景気指数は予想18.8に対し25.0と上昇し2017年10月以来8カ月ぶりの高水準を記録、また6月ミシガン大学消費者態度指数・速報値も予想98.5に対し99.3と3カ月ぶりに上昇している。

貿易摩擦懸念が完全に払拭することはないにせよ、強い経済指標を背景に米国市場は徐々に業績を意識した上昇相場に転じていくと予想する。

前週末15日のNYダウの動きをみるとマイナス圏で終えているものの、日足は長い下ひげをつけ(一時の280ドル安から下げ幅を84ドル安まで縮小)、出来高も大きく増えている。市場は弱気一色にあるのではなく、懸念で下げたところは拾いたい投資家の動きが表れていると言えるのではないか。

■騰落レシオからみえる中国株反転シナリオ

一方、今回の貿易摩擦問題の主要な相手国である中国。その株式市場では下落基調が続くが、こちらもそろそろ反転するとみている。

その根拠は「騰落レシオ」だ。騰落レシオは80を切ると売られすぎ、120を超えると買われすぎとされるテクニカル指標。実際には120を超えても買いが続きやすく相場の強さを示すことが多いものの、80を切った時の「売られすぎ」の際には底値を示現する確度が高く、下落基調からの反転をみるのに有効な指標だと考えている。

中国市場の25日騰落レシオをみると(6月15日の終値ベース)

「中国上海50A株指数」 80.923

「中国上海180A株指数」 80.967

「中国上海シンセンCSI300指数」 79.792

といずれも“80”近辺で推移している。

こうした米国・中国の株価の動きから、筆者はそろそろ両国のマーケットは落ち着きをみせると考える。

現状ではドル円も110円台で推移し落ち着きをみせており、米中マーケットで上昇基調が鮮明になれば、これまで上値の重かった日経平均株価も2万3000円の節目を越えてくるのではないか。

今週、筆者が注目しているのは6月19日に発表される「5月住宅着工件数」である。米住宅着工件数と米国株の推移をみると、株式よりも先に住宅着工件数が方向転換をみせることが歴史的に多い。4月の住宅着工件数は年換算で128万7000戸と前月比3.7%減だった。5月分の予想はプラス2.0%となっており、これを機に米国株価は上向きに転じる可能性もあろう。

◆東条麻衣子

株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。

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