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【杉村富生の短期相場観測】 ─キオクシアホールディングスを買う!

市況
2026年8月2日 9時15分

「キオクシアホールディングスを買う!」

●強烈な買いシグナル(売買代金、カイリ率)が点灯!

いまこそ、突っ込み買いのチャンス到来である。古来、肝要なのはリスクを取る勇気、という。キオクシアホールディングス <285A> [東証P]は7月30日に、3万6020円の安値まで売り込まれた。6月22日の上場来高値(11万2700円)比の下落率は68%に達する。3分の1以下の水準だ。何と、時価総額は38兆円が吹っ飛んだ勘定になる。

まさに、需給悪と人気離散に直撃された格好である。そう、需給はすべての材料に優先する。いやはや、恐ろしい。株価は天には届かず、地には落ちる、ということか。しかし、ここ数日、筆者はキオクシアの4万円前後を「断固、買い」と叫んできた。多くの人に、「エッ?」と反論された。だが、ここを買わずに、どこを買うのか。

需給悪は株価調整によって、修正される。これはほぼ終わった。なにしろ、株価は3分の1以下に売り込まれたのだ。それと、筆者が注目するのは売買代金の膨らみである。7月30日の売買代金は実に、3兆6953億円、東証プライム市場の29%を占めた。これは投げ売りだけではない。新たな買い手の出現を意味している、と思う。

実は、これはテクニカル・アプローチ(チャート解析)の基本だ。高値圏での大陰線、出来高増は警戒シグナルになる。逆に、底値圏での大陽線、出来高増は相場の反転(底入れ→上昇)を意味する。実際、29~30日には100万株単位の買い注文が断続的に入っていた。機関投資家の買い戻しに加え、富裕層(大口顧客)の出動があったのは確かである。

さらに筆者は、マイナスカイリは“富”の源泉と主張している。11万2700円の高値時点の25日移動平均線とのプラスカイリ率は49.6%だった。間違いなく過熱ゾーンだ。それが28日、29日にはマイナス48%になった。文句なしに売られ過ぎである。突っ込み買いはギョッとするような局面を買うことだが、“恐怖”こそが明確な買い指標となる。

●材料はあとから貨物列車に乗ってくる!

ウォール街には「材料はあとから貨物列車に乗ってくる」との教えがある。株価が下がると、不思議に悪材料が続出する。すべて後講釈だ。この局面において、株価が売られた要因を解説しても“あとの祭り”だが、参考のために貨車の中身をチェックしておこう。まず、アルファベット<GOOG>が開発中と報じられた新型AI(人工知能)チップである。

この「Frozen(フローズン) v2」はAIモデルの一部を半導体上に直接実装、メモリー間のデータ移動などを削減し、エヌビディア<NVDA>のGPU(画像処理半導体)のみならず、SKハイニックス<SKHY>、マイクロン・テクノロジー<MU>のHBM(高帯域幅メモリー)の需要を減少させる、と懸念された。しかし、この新型AIチップの市場投入は2028年以降である。悪材料は急激に織り込む。

さらに、中国メモリー大手のCXMTの上海上場(7月27日)をきっかけに、中国が最先端半導体の輸出攻勢をかけるのではないか、と危惧された。鉄鋼、化学製品、EV(電気自動車)太陽光パネルなどのようにだ。ただし、最先端半導体の安値輸出ラッシュが実現するのは3~5年後といわれている。

中国がオランダ半導体製造装置メーカー、ASMLホールディング<ASML>が独占する液浸型深紫外線(DUV)露光装置の製造を開始した、とのニュースもあった。こうした状況に、SKハイニックスの株価は暴落、時価総額が92兆円消えた。これが需給と人気の怖さである。下げの途中では「キオクシアのアナリスト予想のPER(株価収益率)は5倍なのに」といった見方は何の役にも立たない。しかし、次は逆目が出る。

また、エヌビディアが、オープンAIが計画するオハイオ州のデータセンター向けに最大2500億ドルの資金保証を検討とのニュースに対し、マーケットは「顧客の信用リスクをエヌビディアが負う」、「AI投資を自己資金だけで賄えない」、「極端な話、これは循環取引じゃないか」と嫌った。まさしく、泣きっ面に蜂ではないが、悪い時にはみんな悪材料になる。

いや、だからこそ、キオクシアは1カ月ちょっとの間に、7割もの暴落になった。アメリカでの特許権に絡む訴訟の敗訴もあった。賠償金は371億円だ。とはいえ、これは決定ではないし、会社側は争う姿勢を示している。それに、2027年3月期のアナリスト予想の税引き利益は3兆8500億円だ。十分に吸収可能だろう。

なお、会社側は31日引け後に、決算発表と同時に9月末割当の1→3の株式分割、3000万株(8000億円)を上限とする自社株買いを発表した。これは会社側が株価を意識している証拠だろう。当然、上値のメドは想定よりも高くなろう。

2026年7月31日 記

株探ニュース

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