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2018年6月23日 19時30分
【特集】 5G関連“55兆円”巨大投資がもたらす株価「大変貌」の序曲、特選銘柄リストアップ <株探トップ特集>


―関連株の株価織り込みいまだ序章、通信メガキャリアの本気が向かう先―

 東京市場は、なりふり構わず保護主義路線を走る米トランプ政権を横目に不安定な相場展開を強いられている。しかし、決して売り一辺倒の地合いではない。輸出主力株は手掛けにくい環境であることは否めないが、だからこそ内需系好業績株への注目は怠れない。そうしたなか、是非ここで注目しておきたい有力テーマが浮上している。

●エンタメ、自動運転医療など多岐に可能性広がる

 次世代通信規格である「5G(第5世代移動通信システム)」関連銘柄が再び脚光を浴びそうな気配だ。5GはLTEの1000倍以上の大容量化や、最大で10Gbps以上の通信速度を実現するほか、あらゆるものをオンライン化する IoT社会で必須の同時接続についても、接続端末数を4G比で100倍以上(1平方キロメートル当たり100万台)にできるなど圧倒的な強みを持つ。超低遅延技術もポイントで、送受信の際のデータ遅延時間を4G比で10分の1以下(1ミリ秒未満)に抑えることができ、遠隔地にあるロボットなどをリアルタイムで正確に操作することも可能となる。

 5Gは、 動画配信はもちろんのこと、世界の自動車メーカーやIT企業が開発にしのぎを削る自動運転など、新たな巨大市場を縁の下で支えていく。このほか医療やエンターテインメント、建設など産業界の極めて広い範囲にわたって多大な進歩をもたらし、これまでにないサービスを創出する可能性を内包している。

●世界の5G投資加速、日本も東京五輪までに整備

 IoT社会ではビッグデータや人工知能(AI)の発展と歩調を合わせ、そのサービス領域も大きな広がりをみせることが予想されるが、飛び交う膨大なデータを遅滞なく処理するインフラが存在しなければ画餅に帰す。例えばIoTの象徴となるスマートシティー構想コネクテッドカーなどは大容量・高速通信技術が普及の前提となっており、5Gなくして成長市場は生まれない。裏返せば5G分野に経営展開する企業はビジネスチャンスに富んでおり、今後成長期待を背景とした株価の変貌余地が意識されていくことになる。

 既に5Gの商用化に向けて米国や韓国の通信事業者や機器メーカーが一斉に動き出しており、2020年の商用化を19年に1年前倒しする方向で注力の構えを見せている。米半導体大手のインテルは19年以降に焦点を合わせ、新型モデムチップの量産体制を構築、5G向けで主導権を握ることに野心を燃やしている。また、韓国サムスン電子はAIやビッグデータ用にデータ処理速度が高速の「AI半導体」を開発中だ。このAI半導体は5Gの実用化でも基幹技術になるとみられている。

 日本では政府主導で昨年度から実証実験を開始、東京五輪開催年である20年に国内で商用化の計画にあるが、世界の後塵を拝することなきように、官民を挙げて5G分野への投資を加速させる必要に迫られている。投資の規模も超巨大といえ、20年時点で5G関連投資は世界ベースで55兆円、日本国内だけでも10兆円レベルに及ぶとの試算もある。今後継続的な投資需要が見込まれることから、物色テーマとして長続きしやすく、折に触れメディアなどを通じて政府の政策アナウンス効果も発現されることで、株価の刺激材料には事欠かない。

●通信メガキャリアやトヨタが“本気モード”に

 日本の通信メガキャリアの5Gを巡る動きも活発化している。NTTドコモ <9437> は法人営業とR&Dが一体となった商品開発に積極的に取り組んでおり、5Gをベースとした新商品やサービス開発の時間短縮化を図る方針。5Gと相性の良いスポーツ関連分野を軸にスタートアップ企業との連携に目を光らせる。

 KDDI <9433> は米ネットフリックスと業務提携し、NTTドコモやソフトバンクグループ <9984> と比べやや立ち遅れていた動画配信の強化に本腰を入れる構え。もちろん5G商用化に伴う動画配信サービスの高付加価値化や市場拡大を意識してのものだ。また、ソフトバンクグループも今年に入り料理動画運営会社などに出資、5Gを念頭に置いた種まきに余念がない。

 自動車業界ではコネクテッドカーで先行するトヨタ自動車 <7203> の存在が注目される。同社は20年までに日米で販売するすべての乗用車に車載通信機を搭載する計画で、KDDIと連携してグローバル通信プラットフォームの構築に取り組んでいる。また、NTT <9432> との間では自動車・超高速無線通信技術で提携しており、5G普及に向けた布石は万全だ。

●5G象徴株のアンリツ、意外性ならアルチザ

 関連株は数多いが、株価面から“5G時代”を織り込んだとは言えない銘柄のオンパレードといってよい。同テーマのシンボルストックは通信計測器大手のアンリツ <6754> だ。同社は16年に米アジマスシステムを子会社化しフェージング(電波の受信レベルの変動)に関するソリューションを強化、早くから5G関連需要への対応を進めている。会社側では「17年5月に(電波の発信状態を調べる)シグナルアナライザーを発売、今年2月には(端末開発に使う基地局シミュレータである)シグナリングテスターを発売しているが、いずれも需要が動き出している」という。また、「業績面では今期、来期と徐々に(両製品など5G関連の)収益貢献度が上がっていくと思われる」(同)としている。

 また、アンリツと同様に通信計測器を手掛けるアルチザネットワークス <6778> [東証2]も意外性ある銘柄として注目。同社は基地局向けに負荷試験装置で高いシェアを持っており、市場がニッチなこともあり5G関連需要の囲い込みが期待される。足もとの業績は低迷しているとはいえ、これは株価には織り込み済み。会社側では「19年7月期から(5G対応の)需要が収益に反映されてくる見通し」としており、来期以降の業績回復に対する手応えを感じている様子だ。

 このほか、次世代通信制御システム構築やメンテナンスを展開するネクストジェン <3842> [JQG]、情報機器を輸入販売する理経 <8226> [東証2]、通信機器主力にソフト開発を手掛けるサイバーコム <3852> なども関連有力株としてマークしておきたい。

●通信工事会社や光ファイバーメーカーにも恩恵

 通信機器メーカー以外にも関連銘柄は多い。例えば5Gインフラの担い手である通信工事会社にも商機が生まれる。通信工事トップのコムシスホールディングス <1721> は5G関連の基地局工事の受注が来20年3月期から本格的に収益に反映される見通し。豊富な手持ち工事を擁し、この売り上げ計上が業績成長を後押しする形となる。また、M&Aにより業容拡大路線を走る協和エクシオ <1951> も今秋に名古屋に上場しているシーキューブ <1936> [名証]など3社を経営統合し、一段の施工能力強化で5G関連需要を取り込んでいく。

 さらに、5G普及期にはデータセンターの増設が必至とみられている。これは半導体メモリーやSAWフィルターなど電子部品需要を押し上げるだけではなく、通信基地局とデータセンターを連結する光ファイバー需要も喚起する。したがって古河電気工業 <5801> やフジクラ <5803> などの電線メーカーにも活躍余地が膨らむ。そのなか、古河電工は20年3月期までに光ファイバーの生産能力を17年3月期比で倍増させる計画にあり、業績飛躍の足場とする構えだ。

●買い場の3銘柄はアイレックス、原田工、イード

 このほか、今が買い場と思われる株価変貌余地の大きい銘柄として以下の3銘柄に注目したい。

 まず、システム開発会社では通信コア技術で優位性を持ち、NECグループやパナソニックグループを主要販売先とするアイレックス <6944> [JQ]が面白い。300円前後と株価低位に位置しており上値への思惑が膨らむ。19年3月期経常利益は前期比3.7倍の2億9000万円が見込まれる。

 また、日本アンテナの車載用アンテナ部門譲受でシェアを拡大している自動車用アンテナトップの原田工業 <6904> [東証2]も底値圏にあり注目。IoT、5Gと相性の良いコネクテッドカー向けで新たな需要を確保できそうだ。株価は年初来安値に接近しているが、ここからは買い下がって報われそうだ。

 自動車やIT関連のウェブサイトを運営しているイード <6038> [東証M]も妙味がある。同社は昨年8月に「イード5Gモビリティ」というビジョンを掲げ、収益機会の獲得に乗り出しており、5Gデータセンターの活用でブロードバンドタワー <3776> [JQ]と協業するなど思惑を内包している。

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