大谷正之氏【底入れ反転! 期待と不安の狭間の先に見えるもの】(3) <相場観特集>

特集
2018年7月9日 20時00分

―崩れそうで崩れない相場、ここからの展望と物色対象は?―

週明け9日の東京株式市場では、リスクオフ巻き戻しの流れが続き、日経平均株価はフシ目の2万2000円台を回復、一時300円を超える上昇をみせた。米中貿易摩擦問題は両国が関税引き上げを実際に発動したことを受け“貿易戦争”の様相を帯びてきた。ところがマーケットはこれを織り込んだ形で上値追いを加速させた。この環境下での株高は何を意味するのか。また、個人投資家が土俵とする東証マザーズなど新興市場の傷みが顕著となるなか、今後の小型株の見通しはどうか。先読みに定評のある市場関係者に全体相場に対する見解と個別株物色対象について話を聞いた。

●「好業績銘柄の個別物色を支えに比較的堅調な値運びに」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

8月のお盆休み前までの約1ヵ月間の東京株式市場は、日経平均株価にして2万2000円を軸にやや強含みもちあいの推移となりそうだ。今後、米国や日本企業の4-6月期決算の発表が本格化してくる。こうした環境のなか、業績好調な個別銘柄物色を支えにして比較的堅調な値運びを想定している。

現状の1ドル=110円台の為替水準であれば、輸出企業を中心に堅調な業績内容が想定される。ただ、現在発表が佳境を迎えている19年2月期決算企業の第1四半期(3-5月)決算では、人件費や原材料費の上昇などにより利益が圧迫されているケースもあることから、4-6月期についても個別で明暗が分かれることになりそうで吟味が必要だ。今後約1ヵ月間の日経平均の想定レンジは2万1200~2万2800円程度になると判断している。

6月以降、下げが加速して先週5日まで株価指数が年初来安値を更新していた東証マザーズ市場などの新興市場は、急速な戻りは難しそうだ。主な需要主体である個人の投資意欲が後退している。IPO自体は活況状態にあるものの、波及効果に広がりがみられない。さらに、本格的な戻り相場実現に向けては、全員参加型となるような人気の投資テーマや、物色の柱となるような個別銘柄の出現が必要となる。

個別銘柄では、不採算のデジカメから撤退し、時計事業で「G-SHOCK」のラインアップ拡充、新ジャンル製品の投入、インターネット販売の増強などによりさらなる事業拡大と高収益性を維持するカシオ計算機 <6952> に注目。高速道路などをはじめとした橋梁の更新・メンテナンスの大型プロジェクト需要が目白押しの状態にある横河ブリッジホールディングス <5911> 、ネット通販やカタログ通販で、定期購入、頒布会業務に必要な管理業務(注文管理、カード決済、出荷、販促、分析など)を自動化し、通販業務の運営を支援しているテモナ <3985> [東証M]の独自のビジネスモデルにも注目している。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)

1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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