決算先取り、4-6月期【大幅増益】候補リスト[第1弾] <成長株特集>

特集
2018年7月12日 19時45分

東京株式市場は米中貿易摩擦を背景に波乱展開が続くなか、投資家の関心は今月下旬から本格化する18年4-6月期決算発表へ向かっている。本特集では、足元で業績拡大トレンドが続き、4-6月期に大幅増益が期待できる銘柄を探ってみた(7月12日現在)。

下表では、時価総額300億円以上3000億円未満の銘柄を対象に、3月期決算企業の直近3ヵ月実績である1-3月期(第4四半期)に経常利益が前年同期比で「3四半期以上連続で2ケタ増益」を達成した銘柄をピックアップ。さらに、会社側が今期(通期計画)も増益を見込み、かつ予想PERが30倍以下と割高感が強くない32社を選び出し、1-3月期の増益率が大きい順に記した。持続的に大幅増益を続ける企業は、安定的に成長する可能性が高く、4-6月期も好業績が期待される有力候補として注目していいだろう。

増益率トップとなった日本板硝子 <5202> の18年1-3月期(第4四半期)税引き前利益は82億円と前年同期を3.6倍も上回って着地。自動車用ガラスの販売が好調だったうえ、金融費用を削減したことも利益を大きく押し上げた。18年3月期の税引き前利益は前の期比50.3%増の221億円に拡大し、続く19年3月期は240億円に伸びる見通しとなった。業績回復を踏まえ、前期配当を6期ぶり20円で復配し、今期は創業100周年記念配当10円を積み増し30円を計画する。株価は成長路線への復帰が好感され、5月18日に約2年9ヵ月ぶりの高値となる1210円まで上昇した。その後は調整局面が続くが、予想PER8.2倍、配当利回り2.82%と指標面で割安感が強く、株価の水準訂正余地は大きいとみられる。

2位のブイ・テクノロジー <7717> は中国向けを中心に大型液晶ディスプレー製造装置の販売が絶好調で、1-3月期の経常利益は53.7億円と3四半期連続で過去最高益を更新した。海外パネルメーカーの設備投資意欲は強く、19年3月期の同利益は前期比31.0%増の162億円に伸びる計画だ。4月には中国に半導体ウエハー用研磨装置をはじめとする半導体製造装置の合弁会社を設立するなど、成長投資にも余念がない。半導体製造装置事業と部材事業をディスプレー製造装置事業に次ぐ新たな柱として育てる構えである。

3位のツガミ <6101> は設備投資需要が旺盛な中国を中心に自動旋盤の販売拡大が続き、6四半期連続の2ケタ増益を達成した。また、前期の配当と自社株買いを合わせた総還元性向は188%と3期連続で最終利益を上回る利益還元を実施しており、積極的な株主還元への評価も高い。選出リストでは、好決算の発表で株価が上昇したあと、米中貿易摩擦懸念を背景に下落基調に転じている輸出関連企業が目立つ。4位のFUJI <6134> は電子部品実装機の好調が続いたほか、工作機械事業の業績回復も寄与し、1-3月期の経常利益は前年同期比2.4倍の67.6億円に膨らんだ。

5位のオークマ <6103> はコンピューター制御による工具自動交換機能を備えた工作機械であるマシニングセンターの高水準な販売が続く。自動車や半導体製造装置、産業用ロボット、航空機向けなど国内外で旺盛な需要を捉えている。工作機械メーカーでは28位に牧野フライス製作所 <6135> もリストアップされた。また、10位に入ったエレクトロニクス商社の伯東 <7433> はスマートフォン関連投資の活発化を背景に、アジアで真空機器やプリント基板製造装置の販売が好調だった。いずれの企業も予想PERが10倍前後と割安感が強く、決算発表を機に買い戻しが入ることが期待される。

四半期2ケタ増益の連続期数が多い銘柄に目を移すと、日本ライフライン <7575> が12四半期連続でトップ、次いでMARUWA <5344> 、JCU <4975> 、日本バルカー工業 <7995> が7四半期連続で並んでいる。日本ライフラインは循環器領域の医療機器というニッチな市場で活躍する企業で、商社機能とメーカー機能を併せ持つ。足元では不整脈の治療法の1つであるアブレーション治療の症例数が高水準で増加するなか、EPカテーテルを中心に心房細動関連の自社製品の販売拡大が続いている。また、MARUWAは半導体向けセラミック部品、JCUはプリント配線板用めっき薬品、バルカーはシール材など半導体製造装置部品の好調が高成長を支える。いずれも成長市場の需要取り込みに成功しており、持続的な業績拡大が期待される。

※16日(月)19時30分に、時価総額が300億円未満の銘柄を対象とする【第2弾】を配信する予定です。ご期待ください。

 ┌─ 経常利益 ─┐  増益   今期  予想

コード 銘柄名    増益率 1-3月期  連続期数  増益率  PER

<5202> 板硝子      261   8207     3    8.2  8.2

<7717> Vテク      168   5374     3   31.0  9.8

<8279> ヤオコー     143   730     4    2.3 20.3

<6101> ツガミ      142   1797     6   19.8 12.4

<6134> FUJI     141   6760     5    0.3 10.5

<6103> オークマ    71.1   6942     4   17.3 10.8

<5344> MARUWA  65.8   2267     7   11.1 16.8

<4708> りらいあ    62.9   1864     3   14.2 28.4

<6157> 日進工具    62.8   731     4    1.7 18.3

<7433> 伯東      62.8   687     6   25.7  9.4

<2317> システナ    60.6   1441     4   11.0 29.3

<3221> ヨシックス   57.8   508     4   14.4 23.9

<9994> やまや     54.3   1322     4    0.1  9.6

<3465> ケイアイ不   38.7   1942     3   14.3  9.4

<2763> エフティ    31.5   1684     3   10.2 15.2

<7245> 大同メ     31.2   1969     3    2.9  9.1

<7595> アルゴグラフ  30.0   1278     4    3.5 13.6

<6516> 山洋電     27.4   2393     4   30.0 11.7

<9037> ハマキョウ   26.6   2265     3    5.1  9.6

<6744> 能美防災    26.2   6535     3    1.7 14.8

<4975> JCU     25.7   1909     7    4.7 14.9

<7575> 日本ライフL  25.7   2857    12    7.0 29.5

<9375> 近鉄エクス   24.8   5373     4    7.2 17.4

<9303> 住友倉     23.0   2773     3    0.9 13.8

<7220> 武蔵精密    20.5   5450     5    1.7 10.7

<6951> 日電子     20.0   3164     3   26.1 26.7

<7995> バルカー    19.8   1345     7    4.3 12.9

<6135> 牧野フ     18.7   7032     5    0.3  8.0

<9882> イエロハット  16.2   2067     4    1.0 10.0

<8084> 菱電商     15.3   1430     3    6.8 10.1

<4216> 旭有機材    13.9   944     3    2.9 12.8

<6652> IDEC    13.8   1250     5    9.5 16.2

※経常利益の単位は百万円。増益率は前年同期に比べた増加率、単位は%。連続期数は前年同期比10%以上増益の連続回数。

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