すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 www9945さんの場合 - 3
年収300万円から資産4億円、海外株にも目を向けたワケ
登場する銘柄:QQQ、VOO、スリーエム(MMM)、ビナミルク(VNM)、ノイバイ貨物サービス(NCT)、ティエンロン文房具グループ(TLG)、不二製油グループ本社 <2607>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
年収300万円の清掃員時代に、100万円を元手に始めた株式投資で4億円以上の財産を築きあげたサラリーマン投資家の星。投資歴は20年を超え、投資スタイルはバリュー重視。日本株以外にも米国株やベトナムなどの海外の割安株にも手を広げている。趣味は銘柄発掘も含めた街角ウォッチング
www9945さんは日本株以外に米国株やベトナム株などアジア株にも投資し、その額は資産全体の4分の1になる。個人投資家の中には、海外株を投資信託やETF(上場投資信託)で持つ人も多いだろうが、www9945さんの場合は個別株が主体だ。
ただし、海外個別株は、日本株に比べて情報が入手しにくく、また新興国株の場合は売りたい時に売れないといった流動性の低さが気になるところだ。それでもwww9945さんが海外株に資金を振り向けるのはなぜか。またどのように銘柄を選んでいるのか。今回はそれらを見ていこう。
「海外株はROA(総資産利益率)が高水準で、配当利回りが高い割安の優良銘柄が、ゴロゴロしている」。こう話すようにwww9945さんが海外株を選ぶ際に、まず重視しているのが安定したインカムゲインを得られるか。値上がり益は長期的に狙う戦略だ。対象にする業種は日本株同様、自分の目で見てトレンドをつかみやすい消費財などの内需系が中心だ。現在は米国株の7割をたばこ関連銘柄に振り向けている。
例えば、米たばこ大手のフィリップモリスを傘下に持つアルトリア・グループ(MO)やフィリップモリス・インターナショナル(PM)、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BTI)などだ。下のようにこれらの銘柄は配当利回りが高く、割安水準のものも多い。
米国経済はピークアウトし景気後退に向かう可能性が高まっている。たばこ関連は景気後退でも、需要急減で収益が大幅に落ち込みにくい。いざ景気後退に入った時にはこうしたディフェンシブ株に資金が流れ込んでくると見ており、今は高配当の恩恵を受けながらその時期を待つ戦略だ。
■主なたばこ関連銘柄の概要
銘柄名 | ティッカー | 株価 | PER | 配当利回り |
---|---|---|---|---|
米アルトリア・グループ | MO | 59.82ドル | 11.27倍 | 5.34% |
米フィリップモリス・ インターナショナル | PM | 82.32ドル | 19.98倍 | 5.36% |
米ブリティッシュ・ アメリカン・タバコ | BTI | 51.95ドル | 2.34倍 | 5.04% |
一方で、現在も脚光を浴び、長期的にも大きな成長を期待できそうなFANG(交流サイトのFacebook、ネット通販のAmazon.com、動画配信のNetflix、検索エンジンのGoogleの4社を示す)を代表とするIT関連銘柄の上昇を、手をこまぬいているのもつらい。
さりとてwww9945さんはIT関連の銘柄分析はそれほど得意としないため、個別銘柄を選ぶ自信はない。それらもありITを代表としたハイテク分野はETFの投資で利益を狙うことにした。「5~10年先を見据えると、正直、IT関連ではどこが覇者になるのが読めないため、リスク分散しておく必要がある」(www9945さん)
現在、保有しているETFは、米ニューヨーク証券取引所に上場する銘柄。ITに限らずバイオ関連も組み込む「インベスコ QQQ トラスト シリーズ1」(ティッカー:QQQ)。そして米国の主要500銘柄で構成されるS&P500指数をベンチマークとする「バンガードS&P500ETF」(ティッカー:VOO)の二つ。それぞれを毎月6万円ずつを積み立てている。銘柄分散と同時に、投資タイミングを分散させて高値づかみを回避しながら長期での運用益を狙う方針だ。
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