すご腕投資家さんに聞く「銘柄選び」の技 www9945さんの場合 - 4
年収300万円から資産4億円、稼ぐ秘訣は「安さ&全力投資」へのこだわり
SCSK <9719> 、神戸物産 <3038> 、JT <2914>
金融機関出身のフリーライター。株式、投資信託、不動産投資などを中心とした資産形成に関連する記事執筆を主に担当。相続、税金、ライフプラン関連も数多く執筆。
年収300万円の清掃員時代に、100万円を元手に始めた株式投資で4億円以上の財産を築きあげたサラリーマン投資家の星。投資歴は20年を超え、投資スタイルはバリュー重視。日本株以外にも米国株やベトナムなどの海外の割安株にも手を広げている。趣味は銘柄発掘も含めた街角ウォッチング
www9945さんのような億マン投資家さんの紹介記事で読者からよく寄せられる感想の中に、取引金額が小さい自分には「参考にならない」というものがある。たしかに相続などで初めから大きな資産を持っている人の例ならば、「自分には関係ない」と思われても致し方ない面はある。
だが、www9945さんは年収300万円のサラリーマン時代に1年半かけて貯めた100万円を元手に、限られた銘柄を小さな投資単位で取引して、利益を積み上げていった。今は一つの銘柄に数千万円を投じることもあるが、そうなるまでには数十万円、そして数百万円という時代を経ている。
その点を意識すればwww9945さんの例は、決して「雲の上の人の話」ではないことがわかる。最終回の今回は、投資を始めたばかりでまだ資産が少ないという人や、思い通りに資産が増えないという人に参考になる話を、これまでの記事を振り返りつつ紹介していこう。
財布の中が50円になって、手放さざるを得なくなった株
まず参考になるのが「あきらめない」こと。「最初の10年ほどは鳴かず飛ばずの状況だった。それでも地道に続けてきたから、ここまでたどり着いた」とwww9945さんは言う。個人投資家の夢であり大きな目標である資産1億円に到達するまで、20年ほど掛かっているので、その半分の期間は「忍耐の時期」だったことになる。
投資を始めた1990年代前半はバブル崩壊後で株式市場は低迷していた時期。もちろん下げ相場のときでも儲けのチャンスはあるが、投資に使える種銭が乏しく、思うように利益を膨らませられないことに焦りを感じていたという。
この頃は新卒で入社した会社を辞めていたので、株式投資の儲け以外の収入はゼロの状態だったという。投資では稼げない状況が続く中、アパートの家賃や食費といった固定費が貯金を食いつぶしていく。コツコツ貯めた生活費は3カ月で底をついてしまった。
交通量調査のアルバイトを見つけ糊口を凌いでいたが、この仕事もなくなり、ある日財布を見ると中身は現金50円だけに。ここまで窮したところで、泣く泣く当時、持っていたCSK株(現 SCSK <9719> )全株を売却してしまった。何とか食べていくためとはいえ、やっとのことで手に入れた株を売るのは「成長の芽」を摘み取るようで耐えがたい思いだった。
しかも、よりにもよってこのCSK株は売却後に約2.3倍に高騰。「この時儲け損なった30万円は、当時の自分にはとてつもない大金で本当に悔しかった」と苦笑いする。この悔しい経験は今もトラウマとして残る一方で、よい教訓にもなっているという。投資で成功したいというモチベーションが高まったと同時に、「きちんと貯金をして生活費は確保し、自分にとっての“本業”である投資が犠牲にならない工夫をしなくては」と意識するきっかけになった。
SCSKの1993年末から96年末までの株式チャート
とにかく株が好き
この後、www9945さんは清掃サービス会社の正社員として再び働き始め、手取り給与額の35%を貯蓄に振り分けながらコツコツ運用資金を積み上げる生活が続く。CSK株のような悔しい経験や、苦労話は山ほどある。そうした“失敗”を重ねながらも、億単位の利益を生む成功を手にしたのは一時も相場から逃げなかったから。「休むも投資」という格言はあるが、www9945さんにとっては、どんな相場でもチャンスはあると投資の勉強を続けていた。
それができたのは「とにかく株が好きだから」(www9945さん)。これが参考になることの2番目だ。「好きこそものの上手なれ」ということわざ通り、投資に限らずどんなことでも好きになることが上達の鍵になる。好きならば勉強や努力が苦にならない。スポーツや芸能、芸術、そして仕事。どんな分野でも「それが好き」であることは、その道を極めるための必要条件といっていいだろう。
ここまで挙げた1番目と2番目は理念に当たるものだが、ここからは実践的なことに触れていく。学ぶべき3番目は「割安株へのこだわりにブレがない」こと。初回の記事で紹介したように、www9945さんは二つの視点で割安株を狙っている。
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