【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(1):◆重み増す米中間選挙◆

経済
2018年9月23日 9時40分

〇対中制裁第3弾発表、米政策に中間選挙の重み増す〇

速報で、トランプ米大統領は対中貿易制裁第3弾を発表した。税率は当初の25%でなく10%にとどめ、24日から実施する。アップルウォッチやワイヤレスイアホン、フィットビットのウェアラブル端末など一部が適用除外との報道もある。数日前から報道があり、17日の米株市場はNYダウが0.35%安、ナスダックが1.43%安。目立ったところでは、アマゾン3.2%安、アップル2.7%安(報道で時間外で1%台に戻す)、ツイッター4.2%安、小売株が幅広く下落し小売株指数は2.1%安など。

注目は上海株。総合指数は17日1.11%安で14年11月以来の安値。15夏-16年春のチャイナショック時を下回って来た。中国政府は反撃するとの姿勢を示し、閣僚級協議の拒否、米国のサプライチェーンに影響する部品輸出制限などの憶測が出ている。人民元相場は基準値で1ドル=6.8509元、スポット市場で6.87元水準で推移。17日も1年物で2650億元の資金供給を行っており、「流動性緩和と為替安定の持続不可能なバランスを実現しようとしている」と指摘されている。米国が早晩、資本自由化(人民元自由化)を迫ると見られていることも重石。

トランプ陣営にも衝撃が走った。14日、トランプ選対本部長だったマナフォート氏が司法取引、ロシア疑惑捜査に協力することで合意した。詳細は不明だが、消えたと思われたトランプ弾劾の可能性が再燃するリスクが指摘されている。中間選挙で敗北すると、その可能性が高まるので、トランプ陣営にとって背水の陣が際立つとの見方だ(共和党自体は、ペンス副大統領待望論も根強いので、影響は限定的との見方)。

第3弾の税率が25%でなく10%に引き下げられたのは、米国内消費者の反発を警戒してとの見方に通ずる。対中制裁自体は米国内での反発は限定的、議会はむしろウイグル人権問題、台湾問題、「一帯一路」侵略批判などで対中強硬姿勢にある。トランプ大統領としては、カナダとの農産物協議で折れ難くなり、雇用を抱える対日自動車批判はやり辛くなるとの見方になる。その分、中国との軋轢が当面際立つことになると考えられる。

買戻し相場で14日の日経平均は2万3000円台を回復、ドル建て日経平均は206.29ドルと205ドルを超えてきた。一般論で言えば、22000~23500円ゾーンの前半部分(22000~22750円)から後半部分(22750~23500円)にシフトしたと受け止められるが、売り方が一転、再攻勢を掛ける可能性はある。攻勢度合いの分岐点として22750円を割り込むか注視したい。

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/9/18号)

《CS》

提供:フィスコ

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