【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(4):◆安倍三選への評価◆

経済
2018年9月23日 10時15分

〇国土強靭化などへの期待高まるか〇

安倍長期安定政権と言うこともあって、日本の株式市場では、国内政治はあまり材料視されてこなかったが、予想通りの安倍三選となって、このところの戻り相場を支える安心材料となっている可能性がある。NYダウが8か月ぶりに最高値を更新、日本株の追随能力が期待される局面だ。

「石破善戦」を野党・反安倍メディアは持ち上げているが、結果票数はダブルスコア以上の大差。海外から見れば、最も安定した政権と映ることになろう。例えば、日米枢軸によるインド太平洋戦略は強固と評価され、米中貿易戦争懸念を和らげると考えられる。

次の焦点は内閣改造に移るが、早々と「麻生・菅続投」が報じられている。二階幹事長の去就が焦点になるが、安倍政権の骨格は維持される見込み。課題のポスト安倍を巡る若返りは来夏の参院選後以降に先送りされる格好。海外情勢激変への対応能力や政策遂行能力が問われる展開で、後継は石破、岸田世代より、もっと若返る公算が大きい(ただし小泉氏には飛ばない)。閣僚では河野外相、世耕経産相等の去就、安倍側近からは萩生田氏等も注目される。

モリカケ騒動で停滞感のあった政策では、「今後3年間でデフレ脱却の道筋」、「防災のための国土強靭化」を真っ先に掲げた。10兆円規模との声もある大型補正予算や新たな国土強靭化の枠組みが注目されよう。その動向次第で、金融政策依存から財政政策へのシフトが軸になる公算がある。今年注力した「働き方改革」、「外国人労働者50万人受け入れ」は批判的意見も強く、企業負担の緩和効果も不透明。少子高齢化対策にも不満の声が強い。単に安倍政権での課題ではなく、日本経済の長期的課題だが、改善イメージを上げられるかが焦点となろう。来年の憲法改正、天皇陛下退位・新天皇即位の歴史的転換の流れに覆われて行く可能性がある。

日程では、25日の国連総会、トランプ大統領との日米首脳会談(日米自動車協議が注目されている)、30日の沖縄知事選(結果次第で米軍の東アジア展開に影響する可能性を秘める)、10月は1日が有力視される内閣改造で始まり、18-19日がベルギーで開催されるアジア欧州会議(ASEM)、そして23日が日中平和友好条約40周年での訪中計画(日中関係改善の方向性が問われる局面)、下旬に臨時国会召集。11月は米中間選挙(結果次第でアジア政策展開を注視)を経て、14日に7-9月GDP速報、ここが来秋の消費増税実施の最終判断局面となる(デフレ脱却と相容れないため、再々々凍結観測は燻る)。11月後半は17-18日APEC、30日-12月1日G20の予定。

出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(18/9/21号)

《CS》

提供:フィスコ

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