「アベノミクス3.0」本格始動、外国人買い誘い株高コースへ <株探トップ特集>

特集
2018年9月25日 19時30分

―補正予算で建設株など再浮上局面に、消費増税の動向に関心高まる―

20日の自民党総裁選で安倍晋三首相(党総裁)は3選を果たした。21年9月までの3年間が任期であり、これを全うすれば12年12月から約9年にわたり、国政を担う超長期政権となる。こうしたなか、市場では、日銀の異次元緩和と積極財政から成る経済政策が第三幕を迎えることに関心が向かっている。果たして、「アベノミクス3.0」はどこへ向かおうとしているのか、そして株式市場の評価は――。

●先進国では稀な政治の安定性評価、10月の内閣改造にも関心

安倍首相の3選は、足もとの東京株式市場の上昇の契機となったとの見方がある。「アベノミクスが継続することが好感され、市場には外国人買いが流入している」(アナリスト)とみられているからだ。安倍政権は、先進国では数少ない長期安定政権と受け止められ 日経平均株価の2万3000円台の「壁」突破の原動力となった様子だ。

当面は10月1日を軸に予定されている内閣改造も関心を集めている。ここでは、麻生太郎財務相や茂木敏充経済再生相など、主要経済閣僚は留任となる見通し。さらに、財政再建派ではない、経済成長推進派の人材登用が進めば、アベノミクスは一層路線が明確となり、市場は好感するともみられている。このなか、市場にはTPPを推進した甘利明氏の再登場に期待する声も出ている。

●補正予算は数兆円規模の観測、「防災・復興」「景気対策」の2段階実施も

そんななか、10月下旬にも召集される見通しの臨時国会では、補正予算が打ち出されるとの期待が強い。この補正予算には、今年夏の西日本豪雨や北海道地震などに対する災害復興に加え、来年10月から予定されている消費増税に伴う景気落ち込みを防止するという2つの意味がある。このため、今回の補正予算は2段階で実施されるとの見方もある。

その規模は現時点では不確かな面が多いが「数兆円規模では」(エコノミスト)との見方が出ており、まずは、水害や地震などの 防災に向けた国土強靭化や公立学校へのクーラー設置などに向けられるとみられている。

気になるのは来年10月に予定されている 消費増税だ。過去2回、実施は延期されており市場には「今夏に相次いだ災害の影響で7~9月期の国内総生産(GDP)が大幅に落ち込めば、3度目の延期があるかも」(ストラテジスト)との見方もある。その意味で11月中旬と12月中旬に発表される7~9月期GDPの第1次・2次速報値は注目される。

●「ポスト安倍」意識も当面は安定評価、年末に日経平均2万6000円期待

とはいえ、「世界中で株価が急落するような事態が発生しない限りは、さすがに今回は消費増税の延期はないだろう」(第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミスト)との声は少なくない。藤代氏は消費増税の実施を前提に「財政刺激策と黒田日銀総裁が推進する金融緩和を、今後も変わらずに打ち出していけるかが、第3期安倍政権の最大の焦点となる」という。

市場では19年後半頃からは、徐々に21年9月の任期満了を視野に入れ「ポスト安倍」が意識され始めるともみられている。しかし、それはまだ先のことであり、当面は安倍政権の継続を好感するラリーが続くと予想されている。

アイザワ証券の清水三津雄ストラテジストは「外国人投資家からは今後も、大量に売り越した日本株を買い戻す動きが見込める。外国人買いを背景に、日経平均株価は年内に2万6000円前後まで上昇してもおかしくない」と年末に向けての強気相場を見込んでいる。

●当面はTOPIX優位か、防災や銀行、クーラー関連など注目

そんななか、アベノミクス3.0を背景に年末に向けどんな銘柄が活躍しそうなのか。当面、注目されるのは大成建設 <1801> や大林組 <1802> などといった建設株だ。この日は復興関連のショーボンドホールディングス <1414> やライト工業 <1926> などが新高値に買われたが、清水氏は「建設株の相場は終わっていない」とし年末に向けての上昇相場が期待できるとみている。災害復興関連では、大豊建設 <1822> 、前田工繊 <7821> や帝国繊維 <3302> 、コンドーテック <7438> などに注目したい。

また、日経平均株価に対する TOPIXの出遅れ感が顕著となるなか、三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> といったメガバンクや伊藤忠商事 <8001> や三菱商事 <8058> 、三井物産 <8031> などの商社株、それにクーラー関連のダイキン工業 <6367> 、富士通ゼネラル <6755> などの活躍も期待できそうだ。

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