為替週間見通し:底堅い展開か、9月米雇用統計はドル買い材料に

通貨
2018年9月29日 15時16分

【先週の概況】

■ドル強含み、米利上げ継続観測で年初来高値の113円71銭

先週のドル・円は強含み。米中貿易摩擦の長期化は避けられない見通しとなっているが、米国経済の持続的な成長への期待は低下せず、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となった。一時113円71銭まで買われており、年初来高値を更新した。

9月25-26日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合で、政策金利を0.25ポイント引き上げることが全会一致で決定された。ただ、声明文には「金融政策の運営姿勢は引き続き緩和的」との文言が含まれていなかったことやインフレ見通しは変更されなかったことから、市場関係者の間で「利上げ終了の時期は遠くない」との思惑が広がり、ドル売りが優勢となった。

しかし、27日発表の8月米耐久財受注速報値は市場予想を上回ったことや、日米首脳会談で物品貿易協定(TAG)の交渉開始で合意し、自動車関税の引き上げは当面回避されることになり、リスク回避のドル売りは縮小。一方、日米金利差の拡大を想定したドル買い・円売りが活発となった。

28日のニューヨーク市儒では、8月のコアPCEが市場予想と一致したことや株高を好感してドル・円は113円71銭まで上昇し、113円69銭でこの週の取引を終えた。先週のドル・円の取引レンジは112円29銭から113円71銭となった。ドル・円の取引レンジ:112円29銭-113円71銭。

【今週の見通し】

■底堅い展開か、9月米雇用統計はドル買い材料に

今週のドル・円は底堅い展開か。10月5日発表の米9月雇用統計は雇用情勢の改善が続いていることを示す内容になると予想されており、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ継続方針の妥当性を証明する材料になることから、リスク選好的なドル買いは続きそうだ。

米中貿易摩擦の長期化を警戒したリスク回避的な円買いは一部で継続する可能性があるものの、米利上げは2020年まで継続すると予想されており、雇用統計など主要経済指標が市場予想に沿った堅調な内容だった場合、ドル買い安心感が広がりそうだ。

ただし、NYダウの反落や米10年債利回りの低下などはドル買いを抑制する要因となる。トランプ米政権は貿易赤字解消に向けた強硬な通商政策を緩めておらず、相手国との軋轢(あつれき)が生じていることもドル売りにつながる可能性がある。特に、カナダとの貿易摩擦が顕在化した場合、国際貿易環境の悪化を嫌気してリスク回避的なドル売りが再び広がる可能性がある。

【米・9月ISM製造業景況指数】(10月1日発表予定)

10月1日発表の米9月ISM製造業景況指数は60.3で8月実績の61.3をやや下回ると予想される。ただ、製造業景況指数自体は60を超える高水準とため、市場予想と一致した場合はドル売り材料にはならないとの見方もある。

【米・9月雇用統計】(10月5日発表予定)

10月5日発表の米9月雇用統計は、失業率3.8%(前回3.9%)、非農業部門雇用者数は前月比+18.8万人(同+20.1万人)、平均時給は前年比+2.8%(同+2.9%)と見込まれる。市場予想とおおむね一致すれば、12月追加利上げの可能性は高まり、ドル買い材料になるとみられる。

予想レンジ:112円00銭-115円00銭

《FA》

提供:フィスコ

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