【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ “突風的”急落の後に来るもの
「“突風的”急落の後に来るもの」
●マーケット動揺の主犯は中国か?
前回、私は「東京市場の月初めは大抵波乱になることが多い。これが私の基本的な認識だが、今月もその通りの展開になっている。(中略)しかし、現在の下落が米国金利の上昇懸念にあることを考えれば、それが永続するものではないことが分かってもらえるだろう」――以上のように書いたが、正直なところここにきての急落は極端すぎる。背景にあるのは、もちろん米国の金利上昇。こういうことになるだろうが、私が「主犯」と見るのは、中国の預金準備率引き下げだ。
中国人民銀行は7日、今年4回目となる預金準備率引き下げにより、1兆2000億元(1750億ドル)の流動性を放出すると発表した。
米中経済戦争により輸出減少の懸念があるばかりか、それが国内経済を失速させる恐れがあることを考えると、輸出を減らさないためには 人民元安が都合がよい。この点を考えての預金準備率の引き下げと見てよい。
この金融政策で思い出されるのは、2015年8月に実施されたいきなりの人民元引き下げだ。不意打ち的な引き下げであり、かつ2日連続でそれを実施したことで、内外市場は大きく反落してしまった。それとともに世界から批判を受けた。
今回中国は、同じ手法を使うわけにいかず、預金準備率の引き下げという手法によって人民元引き下げを狙ったと見てよい。
●全般ツレ安の急落株を吟味
トランプ大統領がこれをどう見るか。常々、人民元安を中国政府が意図したものとして批判しているので、今回もそれを強めることが考えられる。
しかし、直接人民元を引き下げたわけではないため、強い口調で批判&非難しにくい。そのため、中国製品の輸出は減らず、トランプ大統領をますますいらだたせることになろう。
その結果、米中関係はさらに悪化しかねないものの、それによって米国経済が急失速してしまうことはまず考えられない。対中貿易戦争による中国製品への課税強化がもたらす消費財の値上がりは、米国の消費者の家計にとってさほど大きな負担ではないからだ。
このような点を考えると、目先市場はなお不安定と見ざるを得ないものの、市場を全崩壊させてしまうようなものではなく、基本的には突風のような一時的現象と見てよい。
そこで、ここでの投資はもちろん特に経営に問題があったり、収益が悪化したわけではないのに、市場全体の急落に巻き込まれて急落してしまった銘柄を狙っておきたい。
具体的には、まずはソフトバンクグループ <9984> だ。8月初めの水準に戻ったので投資しておきたい。同様の観点からソニー <6758> も。
久しぶりに、保管・搬送システムに強いダイフク <6383> も、現在の水準なら安全度が高い。
今回の下げの影響が軽微だった銘柄にも目を向けておこう。キッコーマン <2801> 、ブレインパッド <3655> がある。
そして、私好みの銘柄を。朝日インテック <7747> 、野崎印刷紙業 <7919> [東証2]だ。
2018年10月12日 記
株探ニュース