【北浜流一郎のズバリ株先見!】 ─ ゴーン逮捕の衝撃、“カリスマ”去りし後

市況
2018年11月25日 9時30分

「ゴーン逮捕の衝撃、“カリスマ”去りし後」

●クーデターを生んだ、乗っ取りへの危機感

とんでもないことが起きるものだ。もちろん日産自動車 <7201> のゴーン会長逮捕の件だ。

一報を知った時、私は「これはクーデターだ」と直感した。日産社長は否定したものの、どう見ても日本人の幹部たちによるゴーン会長の排除だ。

ゴーン会長は日産再建の立役者。今日の日産があるのは同会長の手腕に負うところが大きい。

しかし、現状のままでは日産はルノーに組み込まれる。それに対する危機感とともに、ゴーン会長の役割はもう終わったとの判断があったと見てよい。

販売台数で世界2位まで上り詰めたのだ。三菱自動車工業 <7211> を買収したことでそれを果たしたのだが、日本人幹部たちの視点でそれを見ると、もう十分だとなる。ゴーン会長、お役目ご苦労さんでした、ということだ。それに今後は自分たちでやっていけるという自信も戻ってきたのだろう。

もちろん、ゴーン会長の度外れた金銭欲が、会長排除の手掛かりになってくれたことになる。結果的に見ると、会長の天井知らずの強欲が日産が独立性を保つ道を開いたわけで、日産の今後にとってはプラスだ。

●中長期の視点で日産、三菱自を狙う

ところで、日産株は今回のことを織り込んでいるのだろうか。

株価の推移を振り返ると1月に1197円の高値をつけたあと下落を続けており、この原稿を書いている時点で960円だ。

ただ、自動車株はトヨタ自動車 <7203> 、ホンダ <7267> なども同様に下げ続けていて、日産株が特別に軟調だったわけではないことを考えると、株価は今回の事件を先見していなかったことになる。

では、今後はどうか。カリスマ経営者として知られたゴーン会長の解任なので、これまでのような躍進経営とはならないだろうが、すでにゴーン氏の役割は実質的には終わっていたと見てよく、日本人幹部たちの経営でも十分に世界市場で戦っていくことができると考えられる。

そこで、ここでの注目銘柄は、まずは日産自動車 <7201> になる。続いて三菱自動車工業 <7211> だ。強欲なグループトップが去ることで経営が再び傾くことなどないのだから、株は中長期的な観点からはここで拾っておきたい。

ヒット製品を持っていても、株価は市場環境の悪化に耐えきれず急反落してしまうことが多いが、そんな銘柄は市場が落ち着きを取り戻すにつれ回復に転じる。この観点からは、自動通訳機「ポケトーク」の需要好調が続くソースネクスト <4344> だ。

医療器具業界でも隠れたヒット製品があり、その一つが朝日インテック <7747> のPTCA(冠動脈疾患治療)用のガイドワイヤだ。株価は高値圏ながら、技術力の高さと製品力の強さからさらなる高値が見込める。

そして最後は、食品輸入専門商社で チーズに強いことで知られるラクト・ジャパン <3139> だ。 クリスマスが近づいてくる。わが家でも毎年クリスマスにはチーズフォンデュを食する。それがラクトジャパンの商品であるとは限らないものの、これからクリスマスにかけてチーズ需要が急増するのは間違いない。株も期待が持てる。

2018年11月22日 記

株探ニュース

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